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犬山の生活史

「犬山の生活史」プロジェクトがスタートしました。

21世紀も4半世紀が経とうとし、20世紀の記憶が薄れつつあります。犬山も世代交代が進み、古い家や町並みが取り壊され、昭和時代の面影がどんどんとなくなり、新しい風景に上書きされています。公共施設の竣工や公共のイベントといった「大文字の歴史」は記録に残されることが多いですが、まちの日常を生きる庶民の生活は時代を経て消えていく。本プロジェクトはそれを留めおこうとする試みです。

芸妓さんが闊歩し三味線の音が聴こえるまちの音
酒蔵があったまちの匂い
映画館があった頃のまちの遊楽
ダムができる前の自然の川
尼僧さんのいた風景

そうした記憶をもつ人の語りをとどめることは、過去を知ることにとどまらず、犬山のこれからの未来を考える上での豊かな文化資源となります。
このプロジェクトは、犬山の昔を知る人の知恵、記憶を、かけがえのない文化遺産として、現在、そして未来に生きる人につなげる試みです。

みんなのアーカイブでは、犬山の昔を知る何人かの方たちに聴き取りをスタートしました。

何十軒という置屋が軒を連ねていた頃の城下町。三味線や踊りの練習に明け暮れる見習い芸妓さん。夕方になると芸妓さんを乗せたタクシーが、川沿いに立ち並ぶ料亭へと向かっていく。そんなまちの状景を横目に、夕方に出前をとって食べたお饂飩の味。

城下町のある北側とはまったく違った趣を見せる南の地区。犬山市に合併される前はいくつかの村が集まっていました。尼僧学林に通う尼僧さんたち。尼僧さんが住職をつとめられた寺で営まれていた保育園が、市立の保育園へと移行していった頃の想い出。屋根に干されたお布団からあふれるお日様の匂い。

このプロジェクトは犬山市市民活動団体助成金の補助をいただいております。犬山の出版社ラントシャフトとの共同企画で、年度末には冊子にまとめる予定です。お楽しみに!


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