海外駐在前に読みたいおすすめ書籍 #2 - 失敗の科学
自己紹介
ご覧頂きありがとうございます。新卒で食品会社に就職し、営業職を経験したのちにアメリカの子会社に赴任。約10年間海外駐在しています。
自分自身への備忘録も兼ねてアメリカでの体験や自身の考えをnoteに残していきたいと思います。同じ境遇やこれから海外に挑戦したいという方にとって少しでも参考になれば幸いです。
はじめに
読書というのは自分ではない誰かが人生をかけて得た知識や経験を疑似体験できる非常に素晴らしいものだと思います。
海外駐在に向けては渡航する国によって、すべき準備は変わってくると思いますが、読書は渡航先に関わらず大きな助けにとなると考えています。
自分自身が実際に読んで、これは海外駐在前に知っておきたかったなと感じた書籍を紹介させていただきます。
おすすめ書籍#2:失敗の科学(マシュー・サイド著)
ビジネス現場では、よく成功事例の共有が重要だと言われますが、それと同等かそれ以上に失敗事例の共有が重要だと、自身の経験から感じます。
なぜならビジネスにおける失敗というのは無駄な費用(損失)に直結することがほとんどだからです。そして費用というのは利益の消失に直結します。
例えば営業利益率が5%の会社で失敗により1000万円の損失が発生したら、それを吸収するためにはその20倍の2億円の売上を生み出す必要があります。
これは単純な例ですが、いかに無駄な損失を防ぐかということが収益性にとって重要かが分かるかと思います。
しかしながら、失敗したことを共有することは誰にとっても勇気のいることだと思います。まず褒められることはなく怒られる、評価(待遇)が下がるというのが一般的だと思います。そのような心理的安全性の低い環境ではなかなか失敗の共有は難しいのではないでしょうか。
この本では航空業界と医療業界における失敗へのアプローチの違いなど実例を通して、失敗を科学的に分析しその本質と正しい向き合い方に迫ります。
海外駐在の現場においては、失敗に対するアプローチは本国のそれとは比較にならないくらい重要と感じます。なぜなら本国(日本)と異なり経営リソース、その中で最も情報が不足している環境であるためです。
また事業ステージが異なるために多くのチャレンジが必要であり、その多くは失敗に終わることがほとんどです。しかしそのチャレンジの中から失敗を補って余りある成功を生み出していくことが求められます。
成功を生み出すためにも失敗の科学を通して、失敗の本質を見極め成功につなげること、同じ過ちを繰り返さず損失により体力を奪われないようにすることが重要だと感じます。
日本のビジネス文化は欧米のそれと比較すると、「減点方式」であると感じます。失敗することに対する嫌悪が強く、それは挑戦そのものを回避することに通じます。そして実際、挑戦しなかった人が減点されることなく結果的に挑戦した人より評価されていくという仕組みになっている企業も少なくないのではないでしょうか。
確かに失敗することを防ぐことはできるかもしれませんが、それではビジネスとしてもビジネスパーソンとしても成長はありません。
一人一人の日本人の基礎能力の高さは世界トップレベルだと思います。その前提に立つと今の日本に必要なのは失敗に対する正しい向き合い方だと感じます。この本はそれを気づかせてくれる隠れた名著だと感じます。