#8 黄色い音楽と赤い特別

 #7にて、「オタクに憧れる」と書いた。つまるところ、どちらかというと「全教科平均以上」より「1教科だけ全国1位」タイプの人間になりたいと思っている。そう思っていたのだが、最近ふと気づいた。


 僕の好きな(憧れている?)人たち、何でもできる系の人ばっかりなのだ。


 「いやお前オタクに憧れてないやん」と。確かにそうなのだ。憧れている人が「何でもできる」タイプであるならば、自分がなりたいのは「何でもできる人」タイプ、つまり全教科平均以上タイプの人間のはずだ。しかし、オタクタイプの人間でありたいと思っているのも事実だ(証明のしようが無いが)。かなり支離滅裂な事態だが、これが自分でもよく分からなくなってきた。結局どっちなんだと。

 参考までに、自分の好きな人たちを紹介する。

①星野源

 皆様ご存知、今や日本を代表するミュージシャンである。職業は「ミュージシャン・歌手・俳優・文筆家(wikipedia引用)」と、いわば「ザ・何でもできる人」という感じの人だ。2015年の紅白歌合戦で初めて『SUN』を聴いて以来、僕はずっと星野源のファンである。新しい楽曲は逃さず聴き、過去の楽曲を漁り、執筆した書籍を読み、俳優として出演した作品もいくつか観ている(そこは全部観ろよ)。受験期には毎週オールナイトニッポンを聴いていた(今は無理…)。

 この人のすごいところは、「全教科平均以上」どころか「全教科全国トップクラス」なところだ。楽曲を作れば色々な賞を獲って紅白で歌い、俳優としてドラマに出れば社会現象になる(勿論、脚本など沢山の要素が掛け合わさった結果ではあるが)。連載したエッセイは書籍になるまでの人気ぶり、自身のラジオはギャラクシー賞を獲って、『おげんさんといっしょ』を放送すればtwitterの世界トレンド1位。「この分野だけめっちゃできます!」のレベルを、ありとあらゆる分野で達成してしまっている。本当にすごいと思うし、烏滸がましくも「こんな風になれたら楽しいだろうな」と憧れている。

 ちなみに、個人的おすすめ星野源作品は書籍『そして生活はつづく』である。現在芸能界の最前線で活躍する姿からは考えられないようなダメ人間っぷりを垣間見ることができる1冊である。もしかしたら、

「こんな星野源見たくなかった」

とがっかりしてしまう人もいるかもしれない。そのレベルである。そんな一面も含めて、僕は星野源という人間が好きである。


②ブライアン・メイ

 僕が特に好きなギタリストのうちの1人がクイーンのギタリスト、ブライアン・メイだ。職業はミュージシャン(ギタリスト、シンガーソングライター)、音楽プロデューサー、小説家の他にもう一つ、彼は「天体物理学者」なのである。そう、宇宙とか星とかに関する研究、いわゆる天文学。訳の分からない振れ幅。文武両道も聞いてびっくりすることだろう。

 彼の好きなところはとにかく「異端」なところだ。普通じゃない。

 ブライアン・メイの使うギター「レッドスペシャル」は、彼と彼の父がゼロから作り上げたこの世にたった1本しか無いオールハンドメイドギターである。自宅の家具や友人宅の廃材から木材を調達し、エンジニアの父と電気系統まで自身で作り上げたギターを、通常のピックではなく6ペンス硬貨(イギリスの古い通貨)を用いるスタイルはまさに唯一無二の奏法。世界中いや太陽系じゅう探し回ったって、ブライアン・メイのようなギタリストはいないだろう。太陽系の外は知らん。

 加えて彼は前述の通り天体物理学者であり、他にも動物愛護運動家として精力的な活動を続けていたりもしている。一体どこにまで手を出すつもりなのだろうか。ちなみに好きな動物はペンギンで、生まれ変わったらペンギンになりたいそうである。可愛い。




………紹介した2人共、見事に何でもできる系の人だったであろう。


 じゃあ結局、自分はどうなりたいのか。この間誰かさんの記事に書いてあって気付かされたが、要は「唯一であること」に憧れているんだと思う。

 星野源もブライアン・メイも、それぞれ世界で唯一ともいえる独自性を持っている。星野源は何を作っても星野源らしさが出るし、どんなに上手い人がレッドスペシャルを6ペンスコインで弾いてもブライアン・メイの音は出せない。そういった何かが、今の自分には無いのだ。だから彼らに憧れる。


 恐らく、文字通りの解釈をしていないのだ。「できる=ある程度こなせる」とかそういうことではなく、

「何かができる」ということは、すなわち「何かをやった時、そこに他人とは違う『自分』が存在する」ということ

なのだと、僕は多分そう考えているんだと思う。何かをある程度こなせたところで、それが他の人と同じだったらあまり意味がないのだ。だってそれは自分じゃなくてもできるから。自分にしかできないからこそ、自分がやることに意味がある。「オタクになりたい」というのも、つまりは他人(=一般人)と違う、「ただ1人自分だけ」という存在になりたいということだ。

 そういった点では、やはり自分は「何でもできる系」の人になりたいのだろう。厳密には「何をやっても自分を出せる人間」か。今の自分には程遠い目標のような気がするが、ある種人生の目標だと思って地道に取り組んでいこう。


 …ただ最後に一つ言わせてほしい。パーマかけたのは別にそういうことじゃないからな。

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