アカシック・カフェ ―全知と珈琲の番人―
「もうアカっちゃいなよー!」
「でも、あたし的にはエージ信じたいし」
常連の女子高生のいつもの恋バナ。しかし、どうも雲行きが怪しい。シュウカがアカシックレコードを提案したのだ。一方ハヅホは曖昧な返事。そりゃそうだ。『世界の真実』によって浮気が確定したら目も当てられない。
十数年前、人類はついにアカシックレコードに接続した。が、蒸気機関やインターネットのように社会が激変することはなかった。一般市民は役所に申請して、運が良ければ少しだけ知れる。それだけだ。
「いらっしゃいませ。お好きなお席に」
二人で姦しい女子高生を見送って、新しいお客。二人よりさらに小柄で、だが成人女性。開口一番に彼女は問う。
「……『天文台』、空いてます?」
アカシックレコード接続方法。要人階級、研究機関、役所申請。
「……えぇ、どうぞ奥へ」
あるいは、うちみたいな裏エージェントか、だ。ドアの掛札を「準備中」にして、お客様と災難を招き入れる。
>>君は次の章を知らない。アカシックレコードは過去でしかないからだ>>
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