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【読書記録】シン・ニホン③

今回は具体的に人間と機械の知能はどう違うのかという話について記述していこうと思います。

前回はこちら↓

人間と機械はインプット→処理→アウトプットという情報処理の基本構造においては同じですが、機械は情報の意味を本質的に理解していないという点で決定的に異なります。
人間はインプットした情報の意味をこれまで積み上げてきた経験や知識を基に理解することができます。例えば、ある情報をインプットしたときに他の情報と結び付けたり、そこから法則を導き出したり、俯瞰して全体像を把握したりすることができます。一方で機械は情報の意味は全く理解していません。関数に従ってひたすらインプット→処理→アウトプットをしているだけです。情報の関連性については座標上で隣接する要素をひとまとまりとして同類のものだとみなしたりすることができますが、全く異なる次元に属する物を結び付けて考えるということはしません。
また、機械には意志がないという点でも人間とは本質的に異なります。人工知能に問題解決を任せるとき、何を基準にして、その基準に従って何を解決したいのかということをあらかじめ教えてやらなければ何も起こりません。例えば人間が株価のデータだけ渡して自動株式売買で儲けようとしても、機械は株価が高い方がいいのか低い方がいいのかもわからないし、最終的に利益を最大化し損失を最小化させればいいのか損失を最大化し利益を最小化させればいいのかすらわかりません。機械にはお金を稼ぎたいという意志もないし、そもそもお金の価値について理解していないからです。そのためいくらAIが人間の仕事を代替することになっても、ありたい姿や目標を意志に従って人間が定める必要があるのです。

したがって、人間は機械には代替されない強みを活かせるような学習をすべきです。具体的には、人から教わったことではなく、自分が直接的に感じた経験を蓄積し、暗黙知を深めていくことが非常に重要になります。世の中の情報には言葉や数字に表されない曖昧なものがほとんどです。このような情報は伝達することは不可能なため自ら肌で感じ取る必要があります。安宅和人さんは「シン・ニホン」でこのことを「「スポンジ力」ではなくて「気づく力」が重要である」と述べています。

では、この力を鍛えるためにはどうすればいいのか、具体的に3つ考えられます。

1、知覚した内容を表現する。
人間は自分が何を理解したのかを表現せずに知覚することが困難であるため、自分が感じたこと、知覚したことをアウトプットして表現することが重要になります。そうすることで自分が何を知覚したのかが明確になり、次の経験における知覚能力を高めるきっかけになります。

2、多角的に物事を見つめる。
もし主観的な視点でしか物事を捉えることができなければ気づきを得られる可能性は著しく減少すると思われます。

3、物事の意味合いを深く、何度も考える。
経験したことや感じたことの意味合いを何度も何度も考え、問いを深めることによってそれがどのような意味合いを持つのかに気づくことができます。そしてそれは次のステップや異なる文脈との関連性に気づくきっかけになるかもしれません。

スポンジのように次から次へと情報を取り入れることが正しいと思われるのは日本の教育システムによる弊害とも言えます。実際にはそうした能力は機械の方が圧倒的に秀でていて人間のやることではなく、人間は対象とのぶつかり合いを通じて自分なりに理解を深めたり気づきを積み重ねていくていくことが重要になるのです。

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ここまで読んでくださりありがとうございます!!

それでは、また。

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