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ピアノの先生

私は通っていたキリスト系の幼稚園から歩いて30秒くらいの場所にあるピアノの教室に4歳から通っていた。 私の先生は、多分一般的なピアノの先生と違う。どんなに幼かった時も、私が弾きたいと言った曲をやらせてくれて、決して定型的な手順を強要してこなかった。そして、彼女はずっと”感覚”の話をしてくれた。例えば、月の光を教わった時、「この曲の最初の一音は、薄暗い夜にぽかんと浮かんでいる月があるでしょ、それをみたときの音。」(詳細の文言は正直覚えていない。でも月の音だった)と言って、目を

    • 朝におもったこと

      私がずっと考えていたことだった。私はして貰ったことに鈍感なやつだった。だから、本当に、周りにいてくれる人のことを大切にしなきゃってずっと言い聞かせてる。してもらったことだらけのくせに、助けられてばかりのくせに、一人が好きなんてあまりにも傲慢だったんじゃないかって 

      • Bad

        自分がとんでもなく自分勝手で自己中心的なクズなのではないかと思えてきて(私は無能で自己中心的で自分勝手なクズでーすでもそれでいいんでーす)と唱えながら手元の作業をする。私は本当に自分勝手で自己中なのだ。それでも、周りにいてくれる人が好きだし自己中なりに真面目ではあり人に認められたい気持ちも強く結局我儘だなと思う。もうなんでも良かった。私が私なりにすんごく頑張っているからもうなんでもいいと思った。私が頑張ると、ある程度の人がそれに気づいて私のことを気に入ってくれる。評価される。

        • オタクをやめる

          3月からずっとオタクをやめようと意識していた。自分がどれだけアイドルを好きでも、アイドルがどうなろうとも、結局自分の人生の現実は何も変わらないんだという考えがあることをきっかけに強烈に自分にのしかかり、もう離れて自分の人間関係と生活を見つめなければとずっと考えていた。幻想、理想(ファンは無意識でアイドルに理想的な自己を投影しているらしい)を追って”それを好きでいる自分”を軸にすることは結局自分の人生を大切にできていない状態なんだと自覚した。アイドルを好きでいることは、夢を見て

        ピアノの先生

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          踊りって、言葉を超越してるんだよなと改めて思う。理由はなく少し泣いた。なぜ泣けたかなんて言葉にできない。その時に私の心がきみの表現で動かされた、それだけ。誰かの感情が直に伝わってくる方法は言葉じゃないんだと再度君に気付かされる。だからこの世には芸術がある訳で。 こういう体験に出逢わせてくれるからやっぱり織山尚大さんのこと好きになれて本当によかったと思う。理屈じゃないもののおかしみ、尊さを教えてくれる人なんてそう多く巡り会えないのだから。 彼は河童の時期の島動画で「%」とい

          夏の終わりかけの、涼しいようで、じんわりまだ暑い風を感じながら僕は彼女の隣にしゃがみ込んだ。線香花火をしようと言い出したのは彼女の方だった。こうして、夏の暮れに線香花火をするなんて下手なことをするのに恥ずかしい気持ちはあったけど、僕は断らなかった。 「線香花火の火花の現象変化は四段階あるって知ってた?」 特に話すこともなく静かに花火の準備をしていた彼女が急に口を開いた。 「知らない。」 「蕾、牡丹、松葉、散り菊、の四つ。最初はさ、火の玉がちょっとずつ大きくなっていくでしょ。そ

          Last pie

          命は無機質の反対にある。代謝を繰り返しかんたんに形が変わる。かんたんに壊れる。生きている。いつ終わるのか分からない。自分で終わらせることもできない。どうしてうまれたのかも分からない。気づいたらただここにある熱くて、儚い、だけど確実に脈打っているものである。 40分間、見たことのないエネルギーを目の当たりにした。 命の果てを追求しているようだった。群舞の叫び声が飛び交う混沌とした世界で踊るその人は命そのものみたいだった。回るたびに彼の体から水滴が飛び散り、そのたびに彼の生命