Last pie

命は無機質の反対にある。代謝を繰り返しかんたんに形が変わる。かんたんに壊れる。生きている。いつ終わるのか分からない。自分で終わらせることもできない。どうしてうまれたのかも分からない。気づいたらただここにある熱くて、儚い、だけど確実に脈打っているものである。


40分間、見たことのないエネルギーを目の当たりにした。


命の果てを追求しているようだった。群舞の叫び声が飛び交う混沌とした世界で踊るその人は命そのものみたいだった。回るたびに彼の体から水滴が飛び散り、そのたびに彼の生命が消耗されていくみたいだと思った。それでもなお、その人の体は踊り続けていて、間違いなく、生きていた



カーテンコールで、立つこともできずダンサーさんに抱えられてかろうじて舞台にいる状態の彼が、朦朧としながらふいに子どもの泣き顔みたいな顔でぐしゃっと泣いた瞬間、ふらっときたのか、顔を上に向け失われたバランスに必死に耐え、懸命に立ち続けるのを目にしたとき、








私もきみみたいに

100%で生きたい

と思った





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