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Di(e)ry.11 汚ったない湯船が好き

風が寒いと感じる事が多かったのに、そんな風が最近心地よいと感じるようになってきた。

今日も私は、いつもの様にお風呂に入る。

「いやぁ…今日も汚ねぇ…」

湯船の蓋を開けると、そこには白く濁った湯が7分目くらい入っている。
綺麗な透明色は、白濁色。
なんかゴミみたいなものが浮いてる。
ホコリとか毛もゆらゆらと泳いでいる。
そして、なんだか臭う…。
なんて言うんだろうか、なんか、汗のきつい臭いが少し緩和された様な感じ?

まぁ、簡単に言えば不快だ。

入浴剤が入っていても、私が入る頃にはもう役目を終えてしまっている。

これは、今日だけじゃなくてよく見る日常の風景の一部だ。

でも、私はこの湯船を見ると嬉しくなる。
変態?そう思われても良い。

何故嬉しくなるかって?
それは、家族が今日も一生懸命働いてくれた証拠だからだ。

家族は、自営業で電気の仕事をしている。暑かろうが寒かろうが、毎日現場で外仕事をして家に帰ってくる。
作業着ボロボロで帰ってくる事もあるし、夏になれば鼻がエグれそうなくらいの臭いをまとって帰ってくる。本当に最悪だ。本当に死ぬと思う。

そんな日は、必ず湯船が汚くなる。

私は、学生の頃こんなお風呂が大嫌いだった。
もう少しキレイに入れば良いのにって毎日の様に思っていた。

しかし、私が社会人になり、社会という中で働く大変さを知っていくたびにそんな思いはいつのまにか消えていった。

逆に毎日大変な思いをして、頑張って仕事をした証なんだという思いが、だんだんとこみ上げて来た。
これは、ただの親父が汚してるわけではなく、私たちの為に働いてくれた大事な証拠なんだ。

だから、私は汚ったない湯船が好きだ。

家にいる時は滅茶苦茶ウザいし、ただのビール腹のつまらん親父ギャグばかり言うダラシない親父だけどな。

毎日毎日本当にありがとう。

決して口には出さないから、ひっそりとここに残しておく。

今日のお風呂もきっと汚いだろうなぁ。笑

#日記 #エッセイ #日常 #家族 #お風呂 #感謝 #ありがとう #実体験 #短編

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