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「しろくまほしかったんだよねえ」

私には4歳の甥っ子がいます。

生まれてから今日まで、とにかく可愛がってきました。
私はモノや食べ物で釣るより、体力の許す限り相手をして仲を深めてきて、そうして自他共に認める相思相愛へ。

どれくらいかというと、母親(妹)を差し置いて、彼の“結婚したい相手“の初代に選ばれたほど。(妹ごめんな、でも嬉しい)
あと、抱っこ要員でもあり、彼からせがまれることも多いので、未婚・子なしにも関わらず私の腕には抱っこ筋があります。
そう、とにかく可愛くて仕方がない。
私の宝もの。マイスイート、マイトレジャー。

そんな甥っ子が先日我が家に泊まりにきた際、夜一緒にお風呂に入っていたのですが、そこでハッとさせられることがあったので、記録することにしました。

入浴剤

ことの始まりは薬局で買った入浴剤。
「びっくら?たまご すみっコぐらし ぷっかりすみっコ」
定価418円(税込)。 え、高ない????????

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https://bandai-lifestyle.jp/products/details.php?detail=4549660325512001

つかいかた:
1.アルミ包装からびっくらたまごを取り出し、透明フィルムをはがしたら、入浴に適した温度のお湯に入れましょう。(用法用量を守ってお使いください)
2.びっくらたまごから泡が出ますので入浴しましょう。
3.びっくらたまごの中からマスコットが浮きでてきます。
特徴:マリンのかおりとマリンブルー色のお湯が楽しめます。
  お肌しっとり。乾燥を防ぎ、皮膚を清浄にし、お肌にうるおいを与えます。



私自身はすみっコぐらしについてはほぼ無知で(数年前映画がめちゃくちゃ流行ってたというのを知ってるくらい)、甥っ子にねだられて買っただけでどんなキャラクターがいるのかは全く知りません。

これをエサに彼を風呂へと誘い、彼がこの入浴剤が溶けるのをワクワクしながら待っている間、私は自分の髪・身体を洗っていたら、彼にこう聞かれました。

「オバはなにがでてくるとおもう???」
(私は彼に“オバ”と呼んでもらっています)

なにと言われてもキャラクタがーがわからないので、急いでパッケージを確認してどんな子がいるのか見てから
「オバはねこか、とかげがいいかな〜」
と言うと、彼は

「〇〇(名前)くんはねェ、“ぺんぎん?”!」

とニッコニコで元気に半分ほど溶けた青色の入浴剤を見ながら選びました。

少しして、中身が見えてくると、それはどうやらぺんぎん?でもねこでもとかげでもなくて、しろくまのようで、私が彼に
「あら〜残念〜ちがったねえ〜二人ともハズレたな〜」
と言うと、

「…え?〇〇くんは、しろくまががよかったんだヨ?!」

これ、彼の負け惜しみでも、買ってくれた私への気遣いでもなくて、
“実は欲しかったことで予想が外れてない自分になる=僕の勝ち”
という、私へのライバル心からの発言なんです。

そう言う彼に私が
「え?そうなの?さっきぺんぎん?が良かったって言ってたじゃん」
と言うと、

「ぺんぎん?とぉ、しろくまがほしかったんだよォ」
「だってしろくまかわいいカラ…」

と愛おしそうに、大事そうに、入浴剤の中から出てきたそのしろくまを、風呂に浮かべて眺めていました。

発想の転換

彼のこの一連のやりとりを見て、ああ良いな、と思ったのです。

私だったらどう思うだろう?
きっとねこやとかげでないことを残念がって、なーんだ、と思って、その入浴剤が溶け出すワクワクから一転、つまらないものに変わっていたんじゃないだろうか。

きっと私のことだから、誰も確約していないのに、望んだものが手に入らなかったからと言って自分勝手に落ち込んだりしたんだろう。
それこそせっかく買ってくれた人の前でも、あーあという態度を隠さなかった子どもだったかもしれない。

けど、彼はそれが自分の方がすごい!ということにしたいという気持ちだったとしても、“実は欲しかった”と言うことでそれを特別なものにいとも簡単に変えてみせた。

たった一言、たった一つの発想の転換で、こんなにもその目の前の出来事が変わってくるんだな、と、4歳の彼に教えられた瞬間でした。

もちろん、残念なものは残念だったり、どうしようもないこともたくさんあるけれど、目線を変えてみるということが、いかに大切なのか。
わかっていてもなかなかできないことを、彼があっさりやってみせたことが、私はなんだかとても感動したのです。

しろくまも欲しかったと言う彼に、
「そうだったのか!じゃあ欲しかったものが出てきて嬉しいね、良かったね」
と私が声をかけると、彼はとっても満足そうに、こう言いました。

「オバは、ハズレだったねえ」(すごいニヤリ顔)(完全勝利の顔)

憎たらしいところも、最高にかわいいよ、私の宝物!
いつか“ぺんぎん?“が出てきてくれるといいね。
それまでオバは、このすみっコぐらしの入浴剤(高い)を買い続けるよ!

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後日談

その後、今度はばあばと入浴中に入浴剤を使ってみたところ、私が欲しいと言っていたねこが出て、風呂場から大きな声で呼ばれて行ってみたら

「オバ!ねこ!でた!」

とそれはそれは嬉しそうに私に見せてくれました。
こんな優しくて素敵な子、可愛がらずにいられるかってんだ!(オババカ絶好調)

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