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2021年に再考する「R&Bの死」

皆さん音楽好きですよね!私は好きです!

今回はコテコテR&B記事です!

少し前にH.E.R.の記事を書いていて思ったことがあります。彼女自身が主催するフェス『Lights On Festival』のスローガンとして、2019年頃から口にしている「R&B  Is Not Dead」というフレーズあります。力強い言葉のようにも聞こえますが、現行R&Bシーンの最前線に立つミュージシャンが「R&Bは死んでいない」って言うのは、裏を返せば彼女自身一度は死んだと実感したことがあったと言っているようなもんで、結構残酷だなとも個人的には思っていました(深読みしすぎかもしれませんが)。

イチR&Bファンとして、ちょっともやもやするというか違和感というか寂しいというか、何しろ「こんなにもR&B良作がでているのにそんなことない!」みたいな、いまのR&Bシーンがいかに面白くなっているかを伝えたい、そんな一心で指を走らせたら、気づいたら27000字超えてました(笑)

というわけで、今回はH.E.Rの「R&B Is Not Dead」という言葉をきっかけに、アメリカの作家ネルソン・ジョージさんが1990年に出版した著書『リズム&ブルースの死』から引用して、「R&Bの死」について自由気ままに再考しています。まず1章でシーンの変遷を追い、その上で2章で「R&Bの死」という問題に向き合い、3章でその言葉の真偽を改めて検証する、そんな流れになっています。自由気ままにと書いたのはあくまで私個人のR&B体験に基づいて適当に書いているので網羅性とかは全くないですし途中ロジックとかが変なところもあります。とはいえ、内容はR&Bファンの方であればめちゃ共感できる部分とかも多いと思うので、リズムに乗りながらR&Bについて皆さんと対話できたらと思っています。記事用のプレイリストも作ったので是非です。


1. 故きを温ねて新しきを知る

まずは、90年代〜現在までのR&Bシーンの変遷を俯瞰的な視点から振り返ります。なんでそんな事するかというと、「R&Bの死」という言葉を点で捉えてそこから話を拡げるより、ある程度R&Bシーンの歴史や文脈とかを知っていたほうが本質的な問題により触れられると思ったからです。

じゃあ1940年代に誕生したR&Bなのになんで90年代からなんだー!とお叱りを受けそうなので途中ちょろっと90年代より前の事にも触れています。逆に90年代までのことをしっかり理解したいという方はピーター・バラカンさんの著書『魂(ソウル)のゆくえ』がオススメです。まあゆうても私自身ミレニアム世代(ギリZ世代)ということもあり、興味自体が上記のディケイドに偏っているということもあり、、、お赦し下さい。


1-1. 1990s 

1-1-1. メインストリームへの台頭とチャート支配

R&Bの話をする際、黄金時代の90年代は避けて通れないですよね。それはなぜかと言うと、もちろんR&Bはそれより前から存在していたわけですけど、メインストリームへの台頭とチャートの支配という意味では、90年代は間違いなく最盛期だったと言えるからです。当時第一線で活躍していたLauryn Hill、D'Angelo、TLC、Boyz II Men、SWV、Toni Braxton、Mariah Carey、Brandy、Joe、702など、たぶんR&Bファンでない方も一度は聴いたことある方が多いはずです。

その実績を具体的に見てみると、例えばTLC「No Scrub('99)」は99年ビルボード年間シングル・チャート2位、K-Ci & JoJo「All My Life ('98)」全米シングル・チャート1位、98年ビルボード年間シングル・チャートは7位、Boyz Ⅱ Men「End of the Road ('92)」全米シングル・チャート13週連続1位を獲得するなど、アメリカの若者の中でのシーンはR&B一色と言っても過言ではないくらいR&Bが聴かれてました。この前ちょうどNetflixの『This Is Pop: ポップスの進化』を見たんですけど、ちょうど1話がBoyz Ⅱ Menがテーマになっていて、当時いかに彼ら人気があったかが映像で見る事ができます。ほんの50年くらい前までは白人を見るだけで逮捕されたり奴隷として残酷に扱われていた黒人の苦い歴史を塗り替えるかのように、4人組のボーカルグループは白人のラジオ局に出たり、白人の若い女の子の注目の的になっていたりと、全米の女の子の目線は彼らに向いていまいsた。色々個人的に想うこともありましたが、そんくらい人気があったのです。

サウンドは一括りには言えないですが、(ニュー・ジャック・スウィングとかの要素は一旦抜いて)R&Bに限って言えばダウンテンポのスロージャムが多い印象です。個人的に聴くと泣いちゃうのは、Brandy「I Wanna Be Down ('94)」やMonica「Before You Walk Out Of My Life ('95)」、D'Angelo「Brown Sugar('95)」、Erykah Badu「On & On('97)」、Lauryn Hill「Tell Him('98)」TLC「Waterfalls('94)」とかですかね。どれも有名どころ過ぎてこいつにわかだな?って思われそうですね(笑)それでもいいです、だって良いんだもん(笑)それまでのソウルミュージックに通ずる「歌唱」に重きを置いている事、BPMは100前後、基本的にはリリックは感情的で官能的な愛の物語を歌います。ジャンルのソウルフルでちょっと大人っぽいかっこいいイメージとは裏腹に、結構エグい事歌っているものが多かったりします。後述もしますが、もはやネタにはできないR氏の楽曲をはじめ、Trey Songzも「#1Fan」「Panty Droppa」「Animal」とセックスシンボルらしい歌詞が多くみられますが、「I Invented Sex」を初めて聴いた時はさすがに笑ってしまいましたよね。この辺りの楽曲の本国での評価はマジで気になります(笑)まあそんな過激な性愛についてだけでなく、もちろんTLC「No Scrub」やDestiny's Child「Bills, Bills, Bills」(最近だと確かBilly Irishの新曲もそんなテーマだったような、、)はダメ男へのメッセージを歌う女性のエンパワーメントする内容になっていますしこれも後述しますが、Franc OceanやSydは自らのカミングアウトと共にLGBTQに関する歌詞を書いたりしています。また、ちょっと時代は前になりますが、Janet Jackson『Rhythm Nation('89)』では人種差別などの社会問題へのメッセージを歌っていたりと、愛やセックスなどのイメージが強いR&Bですが、それだけってことでもないっぽいです。

1-1-2. ヒップホップ・ソウル

あと忘れてはいけないのが、ヒップホップからの影響ですよね。それまでのアメリカ南部の広大な農場を彷彿とさせる土着的なソウルミュージックとは明らかに違う、都会のストリート(ゲットー)の空気感やブロックパーティの情景を彷彿とさせるようなサウンドを纏ったR&Bが誕生しました。

例えばMary J. Bligeの「Real Love('92)」はそのジャンルをヒップホップ・ソウルと言われたように、ブーンと響く重たいベース音と彼女の象徴的なダンスが印象的です。2021年R&Bアルバムで一番聴いたと言っても過言ではないJoyce Wriceの記事でも書きましたが、Amerie「Why Don’t We Fall In Love (feat. Ludacris)('02)」やMariah Carey「Fantasy (feat.ODB)('03)」、Fabolous「Into You (feat. Tamia)('03)」も同じ系譜と見ていいと思います。「Real Love」も後にNotorious B.I.G.とフューチャーすることになります。ここで特筆すべき点として、それまでのリミックスといえば曲のアレンジを変えることを一般的に言っていたのが、この辺りからラッパーを客演に迎えることがリミックスと言われるようになるのです。今では当たり前すぎる事かもしれないですが当時は画期的な出来事で、いかに当時のPuff Daddyの戦略がすごかったかがわかります。また、ヒップホップのようなトラックの上でラップするように(ラップするリズムでメロディーを)歌うという歌唱スタイルも、今となってはDrakeとかが顕著な例ですが、90年代初期はても斬新なものでした。全然話は逸れるんですけど、LEX『Logic』バカ良かったですね。彼も歌うようにラップするタイプのラッパー?かと勝手に思っているんですが、フローがそれ単体でメロディを奏でていて、それだけで歌に聞こえます。個人的にLEX「なんでも言っちゃって (feat. JP THE WAVY)」は前述したTLC「No Scrub」(をはじめとしたダメ男をテーマにした曲)へのアンサーソングのようにも聴こえて、かっけ〜って思いました(笑)

さておき、90年代R&B最高ですよね。なんていうんでしょう、このノスタルジックサウンドたまんないですよね。ブルックリンの煉瓦の匂いとかが馨ってくるような、ロウアーイーストサイドの夕焼けの暖かさを想い出させるような、そんな”いなたさ”がこれ以上ないくらい詰まっていますよね。

(余談)「R&B」と「Soul」の違い

ここでちょっと話が逸れるんですけど、そもそも「R&B」と「ソウル」の違いって知っていますか?音楽チャートや批評サイトでも「R&B/Soul」と一緒にカテゴライズされていることが多いですよね。

イメージ的にソウルの方が昔の音楽っぽく聞こえますが、実は歴史はR&Bの方が長いんです。R&Bの誕生は1940年代で、背景には第一次世界大戦によるアメリカ北緯部での重工業の発達があります。北部重工業の発達→労働力の需要増加→南部黒人の大量移動→南部生まれのカントリー・ブルースが北部へ伝達→北部の都市での生活環境の変化(南部は農地です)+3,40年代に開発されたエレクトリック・ギター/ベースなどの電気楽器の影響→R&Bの誕生という感じです。もっと細かい話をするとブギウギ(ジャズ)のブームによって生まれたジャンプ・ブルースという都市型の音楽が源流の一つともいわれていて、たくさんのジャンルの音楽要素が源流にあることがわかります。この動画はR&Bの先駆者と言われているRoy Brownのジャンプ・ブルースです。

そして50年代に入るとRay CharlesやSam Cooke、James BrownらがR&Bの世界にゴスペルの要素を持ち込んで、60年代にソウル・ミュージックが誕生するわけです。その後ソウルミュージックは、洗練された都会的なソウルサウンドで人気を得たモータウンと、もっと泥臭くてゴスペルの影響を直接感じさせる、メンフィスのスタックス・レコード(サザン・ソウル)などのインディーレーベルの奮闘によってブームとなったわけですが、その流れも70年代初頭のディスコブームによって下火になってしまいます。

ディスコの話はさておき、その後ソウルミュージックがどうなったのかというと、当時流行っていた「ヒップホップ」という言葉がアメリカで一般的になった83年頃に、そのサウンドを他のジャンルに取り入れようとう動きが始まります。その第一人者と言われるのが、当時ベーシストとしても活躍していたプロデューサーBill Laswellです。フランスのセルロイドというレーベルからラテンやジャズの要素を持ったたくさんのレコードを出していた彼の人脈の中に、ターンテーブルを初めて楽器として使用(スクラッチ)したGrand Mixer DXTがいたのです。そんな彼の技が収録されたのがHerbie Hancock「Rock It('83)」で、この曲がヒップホップとソウルの初めてのミクスチャーだったかもしれません。

上記の前段があって、前述したMary J. Bligeのヒップホップ・ソウルへの流れに繋がります(90年代初頭にArrested Developmentがデビューアルバム『3 Years, 5 Months and 2 Days in the Life Of...』でソウルやレゲエの要素を取り込んで、ヒップホップにメロディを取り入れた話とかもありますが、私があんまり聴いてなかったので一旦割愛します)。これまた余談なのですが、この前ソウルミュージックを扱うレコード屋さんに行った際に、90年代のヒップホップ/R&Bの話をしても全然食いついてくれなかったのですが、もしかしたら当時のヒップホップから連想される機械感とかソウルが持っていた人間味というかメロディひいてはグルーヴの喪失感、ヒップホップが持つ暴力性とかがあまり好きじゃないのかな〜なんてふと会話しながら思いました。

1-1-3. R. KellyとAaliyah

最近ストリーミング解禁したAaliyahについても触れておきたいです。が、その前に触れなければいけない人物がもう一人います。R. Kellyです。

R&Bファンの方々であれば既にご存知かと思いますが、彼については私もあまり書きたくない、というか彼の事を書くことで少しでも不快な想いをする方がいると思うので、もしそういう方がいればこの章は飛ばしていただければと思います。じゃあなぜそこまでして書くのかというと、ゆうても彼のR&Bシーンにおける功績や影響は無視できないほど広く深く根強いもので、まさしくR&Bの帝王だからです。私もゆうても死ぬほど聴いてました。

92年にメジャーデビューしたシカゴ出身の彼の作品『12 Play('93)』と『R. Kelly('95)』は共に500万枚以上の大ヒットを放ち、98年発表の二枚組作『R.('98)』の「I'm Your Angel」が全米総合新曲チャート6週連続1位を獲得し、アルバム単位でもキャリア最多となるセールスを達成しました。その後自身がプロデュースした「I Believe I Can Fly('96)」でグラミー賞を受賞し一世を風靡するとともに、シンガーとしてだけでなくプロデューサーとしての才能も開花させた彼は、Aaliyahのデビュー作「Age Ain't Nothing But A Number」やMichel Jackson「You Are Not Alone」、Maxwell「Forunate」、他にもJanet Jackson、Mary J. Bligeなど多くのR&Bシンガーのヒット曲に携わるようになります。90年代後半には自身のレーベルも設立し、Sparkleなど新人R&Bアーティストを輩出するようにもなります。その後2003年にリリースした自身のアルバム『Chocolate Factory('03)』は先行シングル「Ignition - Remix」のヒットも手伝い、R&B/HIPHOPチャート初登場一位を獲得しました。当時連続1位を記録していた50Cent『Get Rich or Die Tryin'』の記録を塗り替えヒップホップチャートでも一位を獲得したことは前述したヒップホップとR&Bの融合が00年代にはもはや当たり前になっている(リスナーにも受け入れられている)事を裏付ける事象でもあります。

最後にAaliyahの話です。おそらくリアルタイムで聴いてなかった人もデビューアルバム『Age Ain't Nothing But A Number』の黒ビーニー&サングラスのアートワークは知っている人が多いのではないでしょうか。インスタを見ていると彼女のビジュアルにインスパイアされたような方をよく見かけますよね。彼女もまた現行R&Bに多大なる影響を与えた人物の一人です。AaliyahについてはReal Soundさんの記事が素晴らしい記事になっているのでこちらを読んでいただければと思いますが、セカンドアルバム『One In A Million('96)』は当時のR&Bシーンの流れを変えた革新作でした。全体的には前述したようなクールでどちらかというとダークなヒップホップソウル作品ですが、このアルバムこそがR&Bが持つ「成熟」や「大人っぽさ」というイメージをR&Bたらしめたと言っても過言ではないと思います。というのも、それまでのR&Bは「歌唱」が重要視されていたのでパワフルに歌い上げるタイプのものが多かったのですが、彼女のボーカルは良い意味で親しみやすく控えめなものでした。後述するSevyn Streeterも「協会出身の私にとって高音が出せないと歌えないと言われる事があったけど、彼女は全ての曲で叫ばなくても良い事を教えてくれたわ。」と語っています。今年新作『333('21)』をリリースしたTinasheも「今までR&Bにはなかった新しいボーカルスタイルをアリーヤが持ち込んでくれた。全てアップテンポに歌う必要はないと教えてくれたわ。私たちのチルなバイブスは彼女のおかげなの。」と語っています。彼女たちが言っている通り、今聴いても何も違和感ないというか古臭く感じないですよね。簡単に言ってしまえばそれこそがこのアルバムの凄さです。

ちなみに、プロデューサーは当時無名のTimbaland(Timbalandについては次章で詳しく書いてます)とMissy Eliottが参加していたり(これはこれですごい)、Darkchild、Rodney Jerkins、Kay-Gee、Jermaine Dupriなど大御所プロデューサーがこれでもかと参加していますし、いかに彼女が期待されていたかがわかります。そしてIsley BrothersやMarvin Gayeをカバーしていたりとファンを唸らせるような細かい仕掛けもたくさん用意されていてもう何も言う事なしです。記事の中にもありますが、彼女の後続シーンへの影響は計り知れず、例えばSevyn Streaterはインタビューの中で彼女の影響を受けていると答えており、実際13年に「Come Over」のカバーで敬意を示していますし、Chris Brownとの「It Won't Stop」ではAaliyahのフレーズが聞こえてきます。ロンドンのR&BミュージシャンJVCK JAMESも最近同じ動画をアップしていたのでついでに載せときます。


(一息)もう書くの疲れた、、、、
ネオソウルやTeddy Rileyのニュージャックスウィングについても触れたかったのですが、ネオソウルについては以前日本のミュージシャンの906 / Nine-O-SixとZIN、FKDのことを書いた時の下記の記事でさらっと纏めているのでそちらをご覧いただければというのと、ニュージャックスウィングは厳密には誕生したのは80年代後半と言われている&私があんまり好まなかったので、一旦省略しちゃいます〜。暇があれば追記したいと思います!


1-2. 2000s

1-2-1. より速く、より分かりやすく、よりポピュラーに


00年代は基本的なサウンドの変化として、ファンクやディスコ、ダンスミュージックなどより早いテンポの音楽的な要素が取り入れるようになります。Destiny's Child「Survivor」やAmerie「One Thing」、Ciara「One, One, Two Step(feat. Missy Elliott)」、Keyshia Cole「Let it Go」、Lil' Mo「4 Ever(feat. Fabolous)」などが分かりやすいですね。

当時メインストリームで活躍していたUsherも(『Confessions('04)』は比較的クラシックなスロージャムバンガーがたくさん詰まっているのですが)00年代後半になるとポップやダンスミュージックにより接近するような作品が人気を博すようになります。「DJ's Got Us Falling In Love Again (feat. Pitbull)」とかですね(笑)ちょっと大人の音楽みたいなイメージがあったR&Bですが、クラブバンガーものが増えて、一気に若者向け?になりましたね。私自身も当時学生だったのですが、リアルタイムで鬼リピしてました(笑)

さらに、ちょうど同時期にChris BrownやCiaraもキャリアをスタートさせ、今まで以上にポップスやヒップホップの影響を受けた、よりアップテンポなサウンドのニューウェーブがシーンの中心となりました。10年代はみ出ちゃいますがChris Brown「Look At Me Now (feat. Lil' Wayne & Busta Rhymes)」「Yeah 3x」「Beautiful People」、Jeremih「Birthday Sex」、Lloyd「Get It Get It Shawty」「Lay It Down」らへんです。R&Bっていいなと思うのが、Mariah CareyやUsherなど90年代に登場したいわゆる大御所アーティストがそういったニューウェーブを否定しないことです。Mariah Carey『The Emancipation of Mimi('05)』を聞けば、彼女自身90年代のサウンドから大きく変化していることがわかりますよね。もちろんその心持ちはMaxwell、Floetry、Erykah Badu、Jill Scott、Alicia Keys'、John Legend、Jazmine Sullivanらへんも同様だったのではと思っています。とはいえ、10年代にトラップの流れが来て、それをUsherとかR. Kellyが新作で採用しているのを聴いてよく思わなかった人がたくさんいるのも事実だと思います。


1-2-2. Timbalandのビート革命

次に、前述したAaliyahのプロデュースにも関わっているTimbalandの話をしたいです。彼のすごいところはUS産のヒップホップ/R&Bのサウンドに東洋~中近東音楽の音色やリズムを持ち込んだことです。俗に言うビート革命というやつです。Jay-Z「Big Pimpin'('99)」やMissy Eliott「Get Ur Freak On(’01)」、Timbaland自身の楽曲「Give It To Me('07)」らへんが顕著な例ですが、それまでのスロージャムR&Bにはないような異国のドラムスが特徴的で音風景ががらっと変わります。そんなTimbalandサウンドのなかでもJustin Timberlakeの『FutureSex/LoveSounds('06)』はすごかったですね。同作収録の「SexyBack」や「My Love」はテクノやエレクトロニック・ミュージックの要素を盛り込んでいたり、Nelly Furtadoの『Loose('06)』収録の「Intro/Promiscuous」や「Say It Right」では80'sポップスとエスニック・ミュージックを彷彿させるようなサウンドになっていて何しろ彼のビート革命は文字通り画期的でした。そういえば最近Teyana Talyerが出したアルバム『The Album('20)』の「Boomin (feat. Missy Elliott & Future)」もチキチキしてましたね(笑)チキチキ系敏腕プロデューサーTimbalandのビート革命がR&Bシーンに与えた影響は計り知れないです。

また余談ですが、自身もラッパーとして活躍するTimbalandですが、自身のアルバム『Shock Value(2007)』はFall Out BoyやShe Wants Revenge、スウェーデンのThe Hivesなどエッジの効いたロック・バンドを多数フィーチャーしたことで当時話題になりました。最近専らKMさんの『EVERYTHING INSIDE('21)』を聴いている私ですが、KMさんが強みとするロックミクスチャースタイルは、Lil Wayne『Rebirth('09)』やKid Cudi『Speedin' Bullet 2 Heaven('15)』辺りを思い浮かべますが、もっと元を辿ればTimbalandが源流だったのかもしれません。ちなみに、KMさんのリリパに先日行ってきたのですが、最高過ぎて感無量でした。特にKMさんの奥さんであるLil'Leise But Goldさんの「Stay」のリミックスを聴いて、「歌うようにラップする/ラップするように歌う」ことについて色々思ったことがあったので2章で詳しく書こうと思います。2020年代の日本のヒップホップシーンも楽しみでしかないです。


1-2-3. 踊れるR&Bシンガー

まずはこの動画をご覧ください。

これは04年に公開された『You Got Served』という映画のワンシーンになるのですが、1:25あたりからめちゃくちゃキレの良いダンスを踊る赤いキャップを被った人が誰がご存知でしょうか?そう、この映画で主演を務めるR&BミュージシャンのOmarionです。

言わずもがなかもしれないですが、彼はB2Kのフロントマンとして2001年にデビューしました。B2Kは01〜04年に活躍したボーイズバンドグループですが、ファーストシングルである「Uh Huh」は、Myaの「Case Of The Ex (Whatcha Gonna Do)」を手がけたC. Tricky Stewartがプロデュースを務め、R&Bシングル売り上げチャートでは7週連続1位を獲得しました。セルフタイトルのデビューアルバム『B2K』ではR&Bチャート初登場1位を獲得し、00年代前半のR&Bシーンに、”踊れる”Boyz Ⅱ Menの再来を予感させましたが、その後B2Kは04年に解散してしまいます。その後Omarionだけソロとして成功します。この映画も全米映画興行成績1位を獲得したのですが、シンガーとして活躍していた彼は、役者として、また圧倒的なスキルを持つダンサーとしても人気と地位を確立しました。全然話は変わるんですけど、この時代のY2Kファッションが個人的に大好きで、ツバをおらないニューエラを斜めに被って上半身ピチピチ下半身ダボダボのシルエットは今見ても刺激的で、自分には絶対まねできないですが、この時代を象徴しているなぁと思います(笑)

という話はさておき、真面目な話ヒップホップ/R&Bミュージシャンで踊れるか踊れないかって意外と大事な要素だと思うんですよね。ましてやこの頃はもっと大事だったかと思います。というのも前述もしたように、この頃のR&Bはよりポップに近づいていたからです。そしてみんなが目指すポップスターといったらMichael Jacksonしかいませんよね。ポップスターにダンスは必須の要素というイメージが当時はあったのではないかなと思います。まああとは、R&Bはラップと違って韻踏んだりしないし、あくまで「歌唱」に注目が集まるわけはないですか。ってなった時に特にステージパフォーマンスとかに見る人に長い時間スロージャムを聴かせても飽きられちゃいますよね。あとは歌詞が恋愛に関するものが中心なので、極端な例ですけど16年のKendrickのBETAwardsのような社会的なメッセージを視覚的に見せるよりも、男女が絡んだより肉体的で官能的なパフォーマンスが必要になってくるわけです。OmarionやUsher、Chris Brown、Nellyなど、00年代のヒットメイカーのMVには必ずと言っていいほどダンスシーンがあります。ヒップホップの4大要素の一つであるダンスは、時を経てR&Bシーンにも少なからず影響を与えたのでした。まあ現代は「Hotline Bling」のDrakeを見れば分かる通り全く踊れなくてもスターにはなれますけどね(笑)


1-2-4. エモさの表現方法としてのオートチューン

最後はオートチューンの話です。今やR&Bのみならず特にヒップホップやトラップミュージックでオートチューンが使われることは当たり前になってきたかと思います。日本のラッパーでもBAD HOPやLEX、SPARTAらへんが使用していますし、一時期は賛否両論ありましたが今では世界中で当たり前の技術になっていますね。

オートチューンといえば、T-Painですよね。彼はJennifer Lopez「If You Had My Love (Dark Child Remix)」を聴いた時に、通常の彼女の声じゃない部分があることに気づいて、その謎がオートチューンによるものだと学んで、「これは売れるぞ」と確信したそうです(笑)彼の思惑通り、2005年に自らオートチューンを全面的に用いた「I'm Sprung('05)」でデビューしました。

R&B SOURCE編集部さんの興味深い記事があるので見ていただきたいのですが、当時R&Bの第一線で活躍していたUsherがそんなオートチューンを使って歌うT-Painに対して「お前は音楽をダメにした。シンガーのための音楽を壊した。」と怒ったのだそうです。確かにこの問題は「歌唱」に重きを置くR&Bジャンルからすれば大問題ですよね。その後オートチューンはKanye Westが『808 & Heartbreak('08)』で使用しヒットを記録したことで次第にシーンに受け入れられるようになり、Lil WayneやBlack Eyed Peace、Travis Scott、Future、Lil Uzi Vertをはじめヒップホップやポップシーンでも当たり前のように使われるようになりました。

特筆したいのが、オートチューンがラッパーがシンガーになるための手段、あるいはエモーショナルな感情を表現する手段として機能したのではないかということです。前者については、T-Painのデビューアルバム『Rappa Ternt Sanga』のタイトルから分かる通り、これは「rapper turned singer」の視覚方言で、彼がラッパーからシンガーへ転身したかのような意思が感じられます。この作品個人的には過少評価されていると感じていて、後述するKanye Westのアルバムにも影響を与えていると思っています。後者は『808 & Heartbreak』を例に挙げたいのですが、このアルバムでKanye Westは母の死と元カノへの未練を歌っているのですが、自身の痛烈な苦しみや今にも崩れそうな揺れ動く感情をオートチューンという手段を使って表現したのではないかということです。また、10年代頃からオートチューンを使い出したFutureも、12年には前述したKelly Rowlandを客演に迎えた「Neva End」や14年の「I Won (feat. Kanye West)」でR&B調な曲に挑戦していますし、最近だとJhene Aiko『CHILOMBO』収録の「Happiness Over Everything (H.O.E.) ft. Future, Miguel」の彼のヴァースも非常にメロウで良い感じですよね。あとは単純にDAWプラグインのArcadeとかに代表される、オートチューンの音色ってなんだかそれがあるだけでエモく感じますよね。声色や音程を調整する本来の機能はもちろんですが、それ以上に「エモさ」を表現するためには一番手っ取り早い手段かもしれません。

自分の声に自信がない人でも歌えるという意味でハードルを下げる良い面はある一方、その人オリジナルの声が消されてしまう面もあるので、Jay-Zの「D.O.A. (Death Of Auto- Tune)('09)」に始まり現在も賛否両論が絶えないオートチューンですが、ことR&Bに限ってはそこまでシーンに受け入れられなかったのかもしれません。元Destiny ChildsのメンバーであるKelly Rowlandも、元々R&B×エレクトロポップ路線でオートチューンを使用していた曲を出していましたが、その後R&B回帰の歌唱に重視するようになったとインタビューで答えています。T-PainもNPRが運営するTiny Desk Concertで生歌を披露したところ、その歌声に賞賛の声が集まり、再評価されるに至りました。実際、めっちゃかっこいいし、やっぱりR&Bというか歌モノは地声が響くのかもしれませんね(笑)

って言いながら、今年5月にKehlaniを客演に迎え、自身のヒット曲「Buy U a Drunk(Shawty Snappin') (feat. Yung Doc)('07)」をセルフサンプリングした「I Like Dat」をリリースしたT-Painですが、現役バリバリオートチューンを使っていてなんだか安心感を覚えてしまうのは私だけでしょうか(笑)近年だと、Bruno Marzの『24 Magic('18)』収録の「Straight Up & Down」では作詞で参加していたり、AJ Tracyなど国境を越えてコラボを積極的にしている彼ですが、何かとR&Bシーンに影響を与えている重要人物の一人ですね。全然どーでもいいんですけど、彼の笑顔って癒されますよね。


1-3. 2010s

1-3-1. トラップとR&B

10年代はR&Bというジャンル単体がかつてのようにトップ100チャートの上位を占めることが少なくなったのは間違いないでしょう。そのことについていくつかの視点から考えてみます。まずはもう皆さんご存知のトラップミュージックとの接近についてです。10年代はラップ、なかでもトラップミュージックが世界を支配していましたよね。批評家のタナソーさんと宇野さんの著書『2010s』でもいかにラップミュージックが世界を制覇したのかが書いてありましたね。そしてそのトラップサウンドはR&Bシーンへも確実に影響を与えることになりました。

2015年、Bryson Tillerが「TRAPSOUL('15)」というアルバムを出しました。この作品は読んで字が如く、トラップと90年代のスロージャムR&Bサウンドが混ざったようなサウンドが特徴で、最初聴いた時は「これまた賛否が別れる作品だな〜」と思いました。まあ個人的には大好物なんですけど。具体的にはリバーブがかかったウワモノ、機械的なコード進行、ハイハット、アンビエントな音像が特徴です。中でも興味深かったのは、同作に収録されている「Don't」はMariah Carey 「Shake it off」をサンプリングしており、またBryson Tiller自身もOmarionやR. Kellyから影響を受けたと話しており、あくまで正統派R&Bの延長線上で新たなサウンドに挑戦していることでした。まあでもこれは後になって気づいたのですが、上記のようなサウンドは彼が初めてではなくて、例えばOmarion『Sex Playlist('14)』の「Work」とかも正真正銘トラップ・ソウルですよね。当時その輪郭がふんわりしていたのを『TRAPSOUL』というコピーライトでジャンルを定義した事がでかかったのかなとは個人的には思います。

はい、そんでこのトラップとR&Bが混ざる流れはベテランR&Bシンガーの作品でも同様でした。Usher『Hard Ⅱ Love('16)』では、FutureやYoung Thugを客演に迎えトラップ調の曲をいくつか加えたり、R. Kelly『The Buffet('15)』も同様の挑戦をしましたが、初登場圏外という自身の過去最低のチャートアクションに落ち着いてしまいました。Tank『Sex Love & Pain('07)』の続編である『Sex Love & Pain Ⅱ('16)』とかも、この流れを退屈だと感じる彼のファンにとってはさぞ残念だったんじゃないでしょうか。


1-3-2. 「チル」から生まれたオルタナティブR&B

次は「チル」の影響をうけたオルタナティブR&Bの浸透というテーマで、『ニューエイジミュージックディスクガイド』のTOMCさんの記事があまりにも勉強になったのでめちゃめちゃ引用させていただきます。めちゃめちゃ面白い内容になっているので、是非皆さん本読んでみて下さい。

2016年9月にSpotifyが日本でローンチされました。Spotifyがもたらしたのののひとつとして「Lean Back Listenning(腰を落ち着けた=前のめりではないリスニング)」というトレンドができました。それは簡単に言うとアーティストやアルバム単位で自ら聴きにいくのではなく、リスナーがその時の気分やライフスタイルに応じて、プレイリストを選び、音楽をBGMないしは環境音楽、として需要することです。個人的にこれは良くないというか悲しいことだなとも思いつつ、まあ仕方ないことだなとも思います。そんなトレンド背景の中で普及したのが「チル」という価値観・ムード・タグです。「チル」ってみんなよく使いますけど「チル」っていう音楽ジャンルはないですよね。そんな「チル」というものの感覚がR&Bにも備わったのが、巷で話題のオルタナティブR&Bなのではないか、というのです。いやーなるほど。

オルタナティブR&BはそれまでのR&Bとは一線を画します。リバーブを施したウワモノ、フィルターをかけたビート、機械的で静的なコード進行、アンビエントな音像、対人関係と自省、精神世界に関するリリック、それらは今までのR&Bにはない100%オルタナティブな要素ばかり。そんなオルタナティブR&Bのプロトタイプとも言える2011年の作品群がFrank Ocean『Nostalgia, Ultra』、The Weeknd『House of Balloons』、Drake『Take Care』です。もうどれも超名作ですね。これらの作品には(全ての楽曲に当てはまるわけではないですが)、前述したオルタナティブR&Bのエッセンスが含まれていました。特にFrank Oceanについては、先人R&Bの系譜を引用しているという意味では真のオルタナティブR&Bと言えるのかなと思います(The WeekndはMicheal Jacksonのようなポップスターを目指しているし、Drakeはあくまでラップゲームという戦場での作品に位置づけられるんじゃないでしょうか)。

そんなわけで、本の内容を全部書いちゃうのは良くないのでここでは一部のみ引用させていただきましたが、要するに今や誰もが口にする「チル」の感覚はそれまでのR&Bを再定義し、オルタナティブR&Bに隆盛に寄与しました。多様なジャンルの音楽を飲み込みながら現在進行形で成長しているオルタナティブR&Bですが、おすすめ作品などは後述します。


1-3-3. リリックの変化

最後はリリックの視点から考えたいです。どういうことかと言うと、10年代以降コッテコテなラブソングへの関心が薄れてきたんじゃないか、ということです。R&Bは一般的に感情的で官能的なズブズブの愛の物語というイメージが強いですよね。前述した通りオルタナティブR&Bではより自己の精神世界、内省的なリリックが中心になります。前述したDrake『Take Care』とかまさにそうなんですけど、それまでマスキュリニティやボースティングをしてこそのジャンルだったのが、弱い自分を前面に押し出しています。こういったリリックの変化がR&Bのチャート順位やサウンドそのものにも影響を与えていると思うのです。↓はよう知らん海外の人のツイートですが「いまヒットしているR&Bは感情とか愛を歌った90年代のそれとは違う」と言っていますね。現地の人の温度感もそんな感じなんですね。

もっと具体的な例を出すと、TDEの紅一点SZAのファーストアルバム『Z('14)』収録の「Julia」は献身的な愛を捧げたパートナーに対する不安を謳っていたり、『CTRL('14)』収録の「Broken Clocks」では自身の人生の選択に不安を持ちながらも肯定する心情をうたったり、「20 Something」では自分と周りを比べて鬱になってしまう、というようなド直球の愛を歌っているわけではなく、今の若者でありがちな揺れ動く心情を鮮明に歌っていることがわかりますね。SiRの『Chasing Summer('19)』収録の「That’s Why I Love You」ではお互いに愛を欲しているのにもかかわらず肉体関係までにとどまってしまう(追い求めない)ような複雑な男女の心情を歌っているし、「You Can't Save Me」はOfficial髭男dism「Pretender」を思わせるような涙が込み上げるような叶わぬ恋について歌詞を歌っています。

対してDreamvilleのファーストレディAri Lennox『Shea Butter Baby('19)』収録のJ.I.Dを客演に迎えた「Broke」では、お互いにお金がない経済的な問題を前面に出した作品になっており、それまでの「愛さえあれば何事もOK」的な考え方からより現実的で自分を見つめ直さざる得ないような内容のリアルな様子を伺うことができます。それまでの純愛物語には決してなかった自身の不安や脆さ、痛みなどの内向きの感情あるいは「弱っチー俺」「メンヘラな私」などの自分のウィークポイントをより細かい描写に落とし込んで、もっと精神的なレイヤーでの内省で現在のリスナーのリアルな共感を集めているように思います(ちょっとかっこいい言葉使ってみたけどなんとなくニュアンスわかってほしい)。それらは一括りにラブソングとは言えないですよね。

(反省)なんかもっと良い例あった気がするんですけどど忘れしてしまったのでここも思い出したら追記します。


2. 「R&Bの死」の真意

さて、ここまでR&Bシーンの変遷を見てきました。2章では上記を踏まえて、改めて「R&Bの死」という言葉に向き合いたいと思います。

「R&Bの死」問題は10年くらい前から顕在してました。なんでそんなことが言われるようになったのでしょうか。その真意というかポイントを見ていきましょう。

2-1. メディアとサウンドの変化がもたらしたレーベルによる誤ったレッテル貼り

00年代後半から10年代前半にかけてDatpiffが台頭して、16年にSpotifyが上陸しました(アメリカではもっと前から普及してました)。もはや説明は不要ですが、インターネットの普及によって音楽の聴かれ方はCDからオンラインになり、今ほとんど人はオンラインつまりストリーミングで音楽を聴いていると思います。

ここで忘れてはいけないのが、メディアもオンラインへシフトしたということです。音楽へのアクセスのハードルが下がり、いつでも誰でもリリースと同時に音楽にアクセスできるようになり、ストリーミングで最新の音楽を聴きながらウェブメディアでその新曲の情報や歌詞を見るという風になりました。インターネットの普及に伴ってそれまでの雑誌やCDのライナーノーツなどがウェブメディアやUGC(ブログやSNS投稿)に変わったのです。こうしたメディアの変化と前の章で書いたような10年代以降のR&Bのチャートアクションの低下によって、R&B関連のメディアが少なくなってしまいました。ヒップホップはThe Source、UPROXX、XXL、DL Booth、Okayplayer、Worldstarhiphop、Hip-Hop Wiredなど(まだまだたくさんあります)の大手のメディアが台頭してきたのですが、R&Bに限って言えば当時はSingersroomやThisIsRnB.comくらいでした。加えてVibe.comなどの比較的R&Bにフレンドリーだった既存のメディアもR&B関連記事の数を減らし始めました。

もう一つのポイントが同じ時期に勃興したオルタナティブR&Bです。ここでまたFrank OceanとThe Weekndの話を出すのですが、彼らの音楽って偏にR&Bという1ジャンルで括れないですよね。紛れもなくR&Bと言える一方で、そこにはヒップホップやポップ、インディーズ、エレクトロ、アンビエントなどをはじめとした他ジャンルの要素が非常に強いです。なので必然的に取り上げるメディアもComplexやFader、Pitchforkなどのインディーズ系のものが多くなりました。

R&B専門メディアの減少とオルタナティブR&Bの勃興。それらによって何が起こったかというと、レーベルの戦略が変わりました。レーベルってビジネスなので当然商業的な目線で音楽を売り出しますよね。基本的には世の中のトレンドを読み取って(創ることもありますが)、リスナーがその時求めている音楽を届けることをミッションにしています。再三書きましたが、その頃のR&Bの売上は必ずしも右肩上がりとは言えない状況でした。となると、レーベルとしては簡単です。売れる音楽つまりR&Bとしてではなくポップやヒップホップとして音楽を売る事を優先するようになります。もちろんそれはレーベルだけでなくアーティスト側も同様です。アーティストも売れる音楽を創りたいので、簡単に言うと「私をR&Bシンガーとして売らないで」となってしまったのです。

それが最も顕著になったのは2013年頃です。きっかけはFrank Oceanの『channel ORANGE('12)』とMiquel『Kaleidoscope Dream('12)』が出た事です。もはやその当時商業的に成功していたオルタナティブR&B作品は誰もがR&B作品と認めるようなものではなかったのです。となると簡単です。レーベルは音楽をR&Bとして売らなくなります。

具体的には、T.I.とPharrel Williamsを客演に迎えたRobin Robin Thickeの『Blurred Lines('13)』はビルボードホット100で1位を獲得し、また、同じくPharrel Williamsの「Happy('14)」、Bruno MarsをフィーチャーしたMark Ronson「Uptown Funk('15)」も1位を獲得していますが、これらの曲はR&Bとしてではなく、Popsというレッテルが貼られていました。Marvine Gayeのソウル名曲「Got to Give It Up」を再現した「Blurred Lines」ですらR&Bというレッテルは貼られていなかったのです。また、同年のジャスティン・ティンバーレイクの『The 20/20 Experience('13)』も初週に968,000枚を売り上げ、ダブルプラチナに認定され、ティンバーレイク自身も本作をR&Bアルバムと称しているのにも関わらず、レーベルはPopsで提出しました。一番分かりやすいところで言うと、2016年にリリースされたブルーノマーズの『24K Magic』も90年代のファンク、ニュージャックスウィング、R&BへのオマージュだったのにそのジャンルはPopsです。

長ったらしく書いてしまいましたが、要するにR&Bメディアの減少やオルタナティブR&Bの勃興によって、レーベルの戦略やアーティストの意向が変わり、その結果レーベルはR&B作品を誤ったレッテルで市場に打ち出したことによって、R&Bのアイデンティティが危機を迎えた=死んだも同然の如くリスナーには映った、ということじゃないでしょうか。

2-2. R&Bは変わった!然るべき出口を!

じゃあ考えなきゃいけないのはそのレーベルの誤ったレッテル貼りをどうなくせばいいかという事ですよね。

やっぱりオルタナティブR&Bができた背景として(前述した「チル」の感覚とかはもちろんそうなのですが)R&Bがヒップホップのエッセンスを吸収したことはひじょーーに大きいと思うんです。というのは、それこそがR&Bを死に至らしめたのではないか?と思うからです。

90年代から拡がりを見せたR&Bとヒップホップの融合は両ジャンルをよりエキサイティングなものにしたのは確かです。ただ、それらの境界線が曖昧になった今、その関係はもはや相互に有益なものではなくなっているのではないか、という事は留意した方が良いかもしれません。今までR&Bシンガーはラップとラップを繋ぐコーラスとしてヒップホップから需要がありましたが、今現在はTy Dolla $ignなどクレジットに名前があるだけでストリーミング数が増加するようなトップアーティストを除いて、そのサービスは求められていないと思うのです。メロディックな能力を持つラッパーは自分でコーラスを担当するか、他のラッパーにコーラスをしてもらうようになってしまったからです。

1章で書いたKMさんのライブで感じたことはまさに上記です。今回LEXがお不参加とのことで「Stay (feat. LEX)」をKMさんの奥さんLil leise but goldがカバーするシーンがあったのですが、思ったのです。「LEXじゃなくてLil leise but goldでいいじゃん」と。Lil leise but goldさんがR&Bシンガーを名乗っているかは定かではないですが、まさに歌うラッパーがシンガーの座というか機会を奪った光景を目の当たりにしたような感じでした。

境界線が曖昧と書きましたが、いつまでも曖昧なままだと議論も曖昧になってしまうので強引に今のヒップホップとR&Bのつなぎ目の輪郭をはっきりさせてみます。Bryson Tiller、6LACKなどはR&Bとヒップホップの間をいくハイブリッド型です。例えば代表的なBryson Tillerの「Exchange」を聴くと、一行目のヴァースで彼はラップをしていますが、突然「Lord please save her for me / do this one favor for me」と歌い出すパートがあります。ここまで自然にラップと歌を使い分ける彼はさすがだなと思います。そういう意味で、Rod WaveやToosii、Don Toliverあたりはメロディックなラッパーと位置付けられると思います。逆にGiveonやKaash Paige、Daniel Ceaserなどは純粋なR&Bシンガーだと思います。

何がポイントかと言うと、今やこれらのアーティストは全て同じ「R&B」という土俵に立たされていることです。R&Bは、ヒップホップ、ポップ、エレクトロニック、オルタナティブ、インディーといった隣接するジャンルを吸収する、スポンジのような存在になっています。さすがにFuture『HNDRXX』はR&Bとは言えないかもしれませんが、上記で挙げたようなアーティストは一括りにR&Bとして扱ってあげる必要がある、言い方を変えれば「こんなのR&Bじゃない」という考えは捨てなきゃいけないのかなぁと個人的には思います。あのH.E.R.でさえ、Lil Babyライクな曲を渾身のアルバムにいれているわけですから。今R&Bに求められるのはそんなトラディショナルだとかオルタナティブだとかの線引きを捨てて、R&Bを包括的に受け止めてシーン全体を盛り上げようとする意識を持つ事なのかなぁと思います。それはアーティストサイドも同様です。アーティスト自身も誇りを持ってR&Bアーティストとして活動する必要があります。

そういう意味では、これはR&Bに限った話ではないですが、Spotifyの「Are&Be」やApple Musicの「R&B Now」などのプレイリストは、賛否両論はあるものの今のR&Bミュージシャンにとっては一つの然るべき出口というか目標になっているので良い事だとは思います。例えば、Swizz beatzとTImbalandのウェブ番組バトルシリーズ「Verzuz」もR&Bが盛んな拠点になっていますし、中でもErykah BaduやJill Scott、Brandy、Monica、John Legend、Alicia Keys、Babyface、Teddy RileyなどR&Bミュージシャン同士の対戦は人気があります。そう言う意味でもH.E.R.が自らR&Bの祭典と称して『Lights On Festival』を開催することは非常に意義があることだと思います。若手のR&Bアーティストを目指している人にとっての一つの目標になりますから。

つらつら書いてきましたが、要はレーベルに根本的な戦略をひっくり返さなきゃいつまでも「R&Bの死」とか言われちゃうんです。そこでどうするか、簡単です。R&Bをもっと盛り上げればいいのです。トラディショナルだとかオルタナティブだとか関係ありません。「これはR&Bじゃない!」とかいらないです。もはやリスナーがそこにリズム&ブルースを感じたものは全てR&Bなのです。そうしてR&Bの需要があることをレーベルに突きつける必要があります。じゃあそのためにはどうすればいいか。もうお分かりですね。皆さんがもっとR&Bを好きになってもっとたくさん聴いてシーンを盛り上げましょう!という話になるのです(笑)ちょっと重たいかもしれませんが、その責任はR&Bを前進させようとするミュージシャン、リスナー全員にあると思っています。


3. 新時代のR&B

衝撃的な記事がありました。2020年2月の下記の記事によると、ラッパーのYoung M.A.が「近頃はR&Bのパワーバランスが足りてない」といったニュアンスのツイートをしたらしいのです。

「R&Bは音楽にバランスをもたらしてくれたけど、今は全て(の音楽)が一方的に傾いているから、すぐに消費されてしまうの。バランスのためにはR&Bが必要なの。私が言いたいのは、ラップやトラップミュージックに光を当てるのと同じように、R&Bにももっと光を当てて、そのバランスを保つ必要があるということよ! 以前はHipHop&R&Bだったんだ。あのヴァイブスを取り戻す必要があるんだ。」と語っています。

このツイートからだけだとYoung M.A.の真意は汲み取れません。R&Bが過小評価されている事については少なからず同意しますが、彼女が懸念しているR&Bのヴァイブスが失われつつあつという意見に対しては「決してそんなことはない!」と強く異議を唱えておきたいです。この章では新時代のR&B作品をいくつか例に挙げながらその魅力と可能性をお伝えできればと思います。

3-1. Summer WalkerとH.E.Rの快挙

この2人なしで今のR&Bシーンを語ることはできないんじゃないでしょうか。
1人目はアトランタ出身のSummer Walkerです。Billboardによると、彼女のデビューアルバム『Over It』は全米アルバムチャートにて初登場2位を獲得し、初週売上なんと13万4000枚以上を記録しました。これにより、2019年10月週だけで1億5470万ストリームを記録し、2016年以来Beyonce『Lemonade』が保持していた女性R&Bシンガーとして最大のストリーミング数(週間)の記録を塗り替えました。ポップミュージックシーンの頂点に立つあのBeyonceですよ、すごすぎますよね。

2人目はこの記事を書くきっかけにもなった、カリフォルニア州出身のH.E.R.です。彼女の今年に入ってからの快挙はもはや説明不要ですね。まだご存知ない方は下記の記事を読んでいただければと思います。

彼女達を見れば、Young M.A.が言っている事はいかに幻想であるかが分かると思います。つい先日11/5にはSummer Walkerの新アルバム『Still Over It』がリリースされましたね。ちょっとまだじっくり聴けてないので、これからちゃんと聴きます。。。こういう失恋がテーマのアルバムはリスナーとしてはまた良い音楽ができるので嬉しいと思っちゃいますけど、本人からしたら辛いでしょうね。。。The WeekndもBella Habid?と確か別れた際は、「また良いアルバムができるぞ笑」みたいなツイートを見かけた気がします(笑)


3-2. それぞれのヴァイブス

もちろん上記の二人以外にも、それも全世界に渡って、新時代のR&Bミュージシャン達は勢いを見せています。もうさすがに読む方も疲れてきたと思うので、畳み掛けるように紹介していきます。

ニュージーランド出身のJordan Rakeiは、エレクトロニック・ソウルアーティストであると同時に、他ジャンルのサウンドを融合させたような音楽に挑戦しています。『Wallflower('17)』収録の「Eye To Eye」では、曲の冒頭ではスムースなソウルフル・サウンドで始まり、後半ではフォーキーでエレクトロニカな雰囲気に切り替わり、R&Bというジャンルが更なる進化を遂げていることがわかると思います。

カナダのDaniel Caesarは唯一無二のソウルフルな歌声と得意のファルセットがもう一生聴けちゃうタイプのアレです(語彙力)。イギリスのJocob Collierとのこのライブ映像が個人的にお気に入りなのですが、この観客と一体になって音楽を作り上げていく感たまらないですよね、、何度見ても泣けます。Jacob Collierは決してR&Bと言うジャンルだけでは括れないですが、『Djesse Vol. 3('20)』収録のKiana Ledéを客演に迎えた「In Too Deep」は、比較的R&Bリスナーの方であれば聴きやすくなっていると思います。歌い出し鳥肌止まらんです。

同じくカナダ出身のシンガーCharlotte Day Wilsonは雪国ならではの暖かさが溢れるソウルシンガーです。新作『ALPHA』は繊細で美しい彼女の歌声がまさに暖炉の前とかで聴きたくなるフォーキーな雰囲気が漂っていて、Syd、Mustafa、D MilesなどR&Bシーンの要人も制作に関わっています。

イギリスの話に移せばサウスロンドンの歌姫Ella Maiがいますね。2010年代後半のR&Bは彼女が制覇していたと言っても過言ではありません。Mustardに見出された彼女の音楽は流行りのトラップ調のサウンドだけでなくどこか90年代の雰囲気を漂わせ、実際BrandyやAaliyahから影響を受けたり、Lauryn Hillが自身のアイコンであるともインタビューでも語っています。「Nobody Else」や「Shot Clock」「My Way」などMustard on the beatの上で現代風のR&Bを奏でる一方で、「Own It」のような90sスロージャムを彷彿とさせる楽曲もしなやかにこなし、同志でありライバルであるH.E.R.との「Gut Feeling」は新時代のR&Bのハイライトかもしれません。久しく新作をリリースしていない彼女ですが、最近PharellとJ. Coleとスタジオ入りしていたので新作が待ち遠しいばかりです。

UK繋がりで個人的にホットなのがUKネオソウルシーンです。UKネオソウルもまた別でしっかり話せたら別でしますが、BBCが毎年発表している「Sound Of 2020」でノミネートされた期待の新人ブルースシンガーJoy Crookesをはじめ、アフリカからの影響を感じさせられるCleo Sol、個人的に1番推しの”いなたい”シンガーHope Tala、新作が素晴らしかったRaveenaなど、クアランティン期間のおかげか個性的なクリエイティビティを光らせるミュージシャンが溢れていますね。

あとSnoh Aalegraの新譜も素晴らしかったですね。スウェーデン生まれのSSWの彼女は、自身の音楽のことをシネマティックなR&Bと謳っています。確かにそう厳なストリングスのサウンドや曲展開が映画を彷彿とさせますよね。。アルバム単位で言ったら個人的にはデビューアルバム『FEELS(’17)』がダントツ好きだった私ですが、今年の『Temporary Highs in the Violet Skies('21)』はもう間違いなかったですね。飛びました。あとはDaveとの「Law Of Attraction」も最近ではよかったです。Aimiさんの記事によると彼女もまたWhitney Houston、Michael Jackson、Stevie Wonder、Lauryn Hill、Brandyあたりから影響を受けているそうですね。

その他個人的なフェイバリットとしては、オハイオ州はクリーヴランド出身SSWのCautious Clay『Deadpan Love』、MasegoとVanJessとの「Stickin’ (feat. Masego & VanJess)」が最強過ぎたロンドンSSWのSinead Harnett『Ready Is Ready Is Always Too Late』、Lights On Festivalにも出演していた期待の新人Samaria、H.E.R.のツアーにも同行していたTone Stith、元Fifth Harmonyメンバーで最新曲MVがAaliyahを彷彿とさせるNormani、とまだまだ紹介しきれないですが、もう手が疲れたので一旦この辺で!

R&Bのヴァイブスがなくなっているなんてマジで言わせません(笑)


3-2. 原点回帰

2020年代のR&Bは「原点回帰」というキーワードを避けて通ることはできないかもしれません。それは、前述したSiRがインタビューで「トラップ全盛の地勢を変え、ソウルを取り戻したい」と語っていること、ラッパーのD.R.A.M.が新名義Shelley FKA DRAMとしてソウルアルバム『Shelley FKA DRAM』を2021年にリリースしたこと、Brent FaiyazがEW&Fとコラボしたことなどを例に出せば、説明する必要もないかもしれませんが、何と言っても、彼らが動き出したことが一番大きいですね。Bruno MarsとAnderson PaakからなるユニットSilk Sonicです。

彼らが今年3月になって突如は発表した「Leave The Door Open」を聴いて「2021年の今、これ?!」と思った方は私だけではないでしょう。プロデュースはBruno MarsとH.E.R.の最新アルバムも手がけたD Milesが担当しているのですが、当時リアルタイムでソウルを聴いてない私でも、なんとなく既聴感満点である感じが不思議です。それでいて古臭くなく聴けちゃうのは彼ら二人も当時のソウルをリアルタイムで接していないらしいからですかね。魂に響く音楽はいつの時代も変わらないのかと実感できます。「ドアを開けておくよ、君のために」というあま〜いリリックも良い意味で今らしくなくてにやけちゃいます。コロナ禍における換気という点では現代らしいですが(笑)

2020年代の「チル」の感覚はこういった原点回帰の要素が多くを占めることになるのかもしれないですよね。2022年はもしかしたらあのカルチャーバウチャーのDrakeらへんがフィリーソウルを歌ってバズるかもしれませんね(笑)こちらもまだちゃんと聴けていないのでこれから聴きます!

そういえば、この波に乗ったかのように、Alicia Keysも新曲「Best of Me」で80sUKソウルSade「Cherish The Day」をサンプリングしてましたね。なんかここにきて思ったのですがAlicia Keysのこと全然書いてなかったな、、、小さい頃レンジローバーの中でいっぱいかかってたのに。。。



4. おわりに

というわけでR&Bについて自由気ままに書いてきましたが、以上を踏まえて改めてH.E.R.の言葉というか「R&Bの死」について考えたいと思います。

「R&Bは死んでいる?」

答えはもちろんノーですね。

半ば強引な出来レースなようにも見えますが笑、ここまで長ったらしく書いてきたとおり、新時代において、オルタナティブなR&Bに挑戦するミュージシャンの多くは、メインストリームほど注目を集めることはないかもしれませんが、それぞれ個性的なヴァイブスを持ち、そこには信頼をおけるリスナーをたくさん抱えていることがわかったかと思います。その中には、ジャンル黎明期から放ってきたノスタルジックな感覚を再定義する人もいれば、独自の歌唱あるいは他ジャンルを取り込むことで全く新しいサウンドに挑戦する人もおり、それぞれの革新的なレンズを通してこのジャンルが持つ幽玄さを独自の表現で再定義し、新時代のR&Bを繰り広げています。

あるいはこうも言えるかと思います。90年代や00年代の伝統的なR&Bは、伝統的なサウンドの豊かさを生かしたいくつかのサブジャンルを持つマルチジャンルへと移行し、その過程を経てトラップミュージックと同じく、全ての音楽のインフラと化した、と。ここで忘れてはいけないのは、その甘いメロディー、リズム、そしてソウルの何とも言えないエッセンスは、今でもその中核に残っている、ということです。

2020年代のR&Bめちゃめちゃ楽しみですね。最後はLights On Festivalの様子を見て終わりたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。


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