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日本人は本当に時間に厳しいのか?

グローバル化の時代、多種多様なバックグラウンドを持った人達が入り交じって働くことが当たり前になっている。

国内で外国人の同僚を持つ人もいるだろうし、海外で働いている日本人もいるだろう。

外国との文化や考え方の差に驚いている人は少なくないはずだ。

世界は細々と国や地域に分けられており、それぞれに独特の文化があるため、自分のホームから出るとたくさんの驚きがあることは当然だ。

特に日本は島国であり、海が陸だけでなく文化も隔ててきた歴史を持つ国だ。
世界の文化はグラデーション的に少しずつ異なるものであるが、多くの場合日本の文化は片方の極端点に位置すると言われている。

しかし、時間に対する厳格性という視点では、日本はグラデーションの中間寄りに位置しているのではないか、ということが今回のテーマである。

いやいや、日本人は生真面目で時間感覚がしっかりしている人が多いでしょ?
電車も時間ぴったりに来るし、会社や学校に遅刻してくる人も少ない。
時間にルーズか厳しいかで言ったら、明らかに極端に厳しい部類に入るのでは?

と、思う方が多いのではないだろうか。

でも、もう少し聞いて欲しい。

会議の開始時間はぴったり守らなければならないけれど、終了時間は毎回ぴったりスケジュールどおりだろうか?

偉い人と待ち合わせをする際に30分早く目的地に着いて待機することは、変なことだろうか?

公共交通機関のトラブルで遅刻してしまったとき、それを想定して早めに行動しなかったことを責められた、または自分で後悔した経験はないだろうか?

これらは、時間に厳格ではないことの例だと私は考えている。
状況によって時間を守らなくていい、守らない方がいい、ということになるからだ。

時間に厳格ということは、無駄な時間を嫌うということでもある。

待ち合わせ時間より30分早く待機するのなら、自分の時間は30分無駄になっているとも言える。
時間ぴったりに到着する文化であれば、その用事の所要時間は偉い人と会っている間だけだが、日本の文化では+30分確保していることになる。

ただ、日本文化において、この+30分を無駄だと思う感覚は鈍い。

ドイツは、時間に厳格な国としてよく例に挙げられる。
ヨーロッパ人は議論が得意だという要素も関係あるが、会議は基本的に決められた時間で終わるようにするし、待ち合わせも時間ぴったりに来ることが当たり前だ。
バスや電車も日本と同じように定刻通りだ。

日本人は、時間以外の何かを特に大切にする文化を持つために、結果的に時間に厳しく行動しているように見えるのだ。

では、その何かとはなんだろう?

それは、人間関係だ。

日本には「相手に迷惑をかけてはいけない」という思いを強く持つ人が多い。
これが、「相手に迷惑がかかるから待ち合わせ時間には自分の時間を犠牲にしても遅れてはいけない」、「ここで結論を出さなければ各所に迷惑がかかるから会議は延長する」という考え方に繋がるのだ。

これは、日本人の慎ましく真面目な気質に起因するものであり、世界に好まれている文化だ。
これはとても素敵な感覚で、日本人として大事にしたいと思う。

しかし、人間関係>時間という感覚なので、「時間に対する厳格性」という意味ではそれ程ではないということになるのではないだろうか。

もちろん、日本人は世界的に見て時間にルーズというわけではない。
世界を見渡すと、待ち合わせに数時間の遅刻が当たり前という国もあるらしい。

日本はかなり偏った文化を持った国であるが、ときには中間的な考え方をすることもある、ということなのだ。

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