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〈本の話〉が好きな理由。読書家とは言えないけれど。

知り合いのいない土地に来て約2年。人と話したいとか友達が欲しいと思ったとき、イベントバーや交流会を覗いてみたりもするが、一番好きなのは〈読書会〉である。そんなに頻繁に開催されているわけではないし、雰囲気の好みもあるので参加したのは2年間で5回程度だが、イベント情報などでつい読書会や本の話ができる場を調べてしまう。私は熱心な読書家ではない。読めても月に3冊くらいだし、1冊をなんとか読むような月もある。なのにどうして本の話をしたいのか考えてみた。


相手のことを知れるから

一番はこれかなと思う。本の話を通じて、相手がどんなことに関心があって、どんなことを素敵だと思ったり嫌だと思ったりするのか知ることができる。嫌なことについても悪口にならず話すことができるのは〈本の話〉の良いところのひとつだと思う。「こういう人がこんなことを言っていて嫌だった」みたいな内容はリアルな出来事や人間関係のことだと話しにくいが、物語についてであれば不快にならず話せる。

体験よりも内面をシェアしたい

以前、趣味を聞かれたときに「いろんな喫茶店に行くこと」と答えていたことがある。お相手も喫茶店は好きなようだったが、それだと何処何処の何が美味しかったとかの話に留まってしまう。私は、体験よりももっとその人のことを知りたい。特にテーマのない交流会でたまたま同席した人と話すとき、なんとなくその場は和やかなのだがうわべだけをなぞっているような会話をして解散、となってしまうことがよくある。そこからもっと展開できればいいのだが、コミュニケーションが得意とはいえない私にとって、話題として本があるのは大きな味方だ。

本はハードルが低い

まず、全国どこでも手に入る。喫茶店巡りの話であれば距離的に行きづらかったり、私のような県外から来た者は話題に挙げづらい。また、本(文芸)は文字だけなのでイメージが先行しにくい。漫画だと(私が漫画に馴染みがないせいもあると思うが)イラストの印象で「ちょっと好みじゃないかも」と思ってしまったりする。これらの点で本はハードルが低く「相手の話していたものを試しに読んでみる」ということが気軽にでき、同じ体験をしやすい。私もそうして面白い本に出会えて嬉しかった。

また、読書はほとんどの人が経験しているのも利点だと思う。いま本を読んでいなくても、子どもの頃に絵本を読んだり、国語の教科書で作品を読むということはたいていの人がしている。読書会のような場でなくても、軽いトークであっても本は話題に挙げやすい。子どもの頃に読んだ本のラインナップは多少世代が違ってもみんな知っていたり、お母さん世代の方が子どもに読んだと話してくださったりする。

以上が私の〈本の話が好きな理由〉である。そのうち、ゆるく本の話をする場を自分でも開催できたらなとぼんやり思っている。

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