必要にして十分なキッチンについて
これからの10数年、特に子育てを大切に暮らしていくなかで、都心から少し離れて「農村と郊外のあいだに小さく暮らす」ことにしたわが家。
小さい家だからこそ「必要にして十分な暮らし」ができるよう、モノの取捨選択をしました。
今回はキッチンのレイアウトについて検討したことを記録します。
「家族との暮らし」についてより書いてあるnote↓
◯ 壁付けかアイランドか
人が集まるキッチンにしたい、という漠然とした思いがありました。
食べることが好きなのでつくることも割と好きな方です。
家族と並んで料理をしたり、子供とお菓子作りをしたり、人を気軽に呼んでテーブルを囲む光景を想像して設計しました。
「囲む」というとアイランドキッチンがイメージしやすいのですが、家の大きさはコンパクトにしたい。排気ダクトの計画もシンプルにしたい。
そこで、動線がシンプルで面積を取らない壁付けキッチンを計画し、大きなダイニングテーブルを置くことにしました。
テーブルが作業台にもなり、子供とお菓子作りをするときはスペースが広くとれるというメリットも。
機能を兼用することは家をコンパクトにするための近道にもなります。
◯ 身体スケールに合わせて設計
キッチンのある食卓は基本的には座っていることが多いため、天井高さは低くおさえたいと思いました。
個人的に落ち着きが感じられる天井の高さは2.2m。
(建築基準法で決められている最低高さは2.1m)
2.2mを基準に勾配天井や吹き抜けで空間の強弱をつけました。
キッチンを設計するうえで注意する点は高さ関係。
一番重要なのは、日々作業をするワークトップの高さです。
キッチンの使いやすい高さの計算でよく使われている
「身長÷2+5cm」
私の身長は約160cmなので、作業台の高さは85cmにしました。
次はレンジフードの高さの設計です。
消防法でガスコンロからレンジフードの下端まで80cm以上離す、と定められています。かつ、建築基準法では100cm以内に設置、とあるので、80〜100cm内で設計する必要があります。
夫の身長が163cm。
夫婦で頭が当たらないよう85cmで計画しました。
天井高を220cmで設定すると、
220cm-85cm(作業台)-85cm(レンジフードまでの高さ)=50cm
レンジフード自体の高さは50cmにする必要があります。
H70cmのレンジフードが多いので、特定のものを使う場合は天井高さも考慮する必要があります。
わが家は少し加工して設置してもらいました。
◯ モノや家電の収納
計画当初はキッチン本体の収納に加えて、吊り戸棚も設置する予定でしたが、天井高さ2.2mで吊り戸棚を設けようとすると圧迫感がでるのが懸念点でした。
設計段階で、必要な収納のサイズを何度も検討しましたが、結局は「収納があるだけモノも増える」という結論に。
必要にして十分なモノで暮らすために、そもそもの収納スペースを取捨選択することにしました。
モノを隠すための収納はキッチン本体のみにして、吊戸棚もつけません。
幅2.8mのキッチンにすべて収納しています。
予算的なことも大きかったですが、結果、大切なものだけを残して生活をする基盤がつくれたと思います。
◯ 手放した家電
キッチンの収納を最小限にしたため、家電はすべてオープンに見える計画になりました。
壁付けにしたため、よりキッチンの生活感が見えやすくなります。
モノで溢れないよう、この機会にいくつか家電も手放しました。
・ 炊飯器
何かで兼用できないかと思い無水鍋で炊き始めましたところ、思いのほか美味しく炊けて(むしろ炊飯器より美味しい)、手放しました。
・オーブントースター
パンやピザなどを焼いたり温めたりする時に重宝していましたが、ガスコンロのグリルの方が美味しく焼けることに気づき、おさらば。
必要なもの、兼用できるものを生活しながら吟味して、少しずつモノを整えていけると空間にも心にも余白が生まれます。
小さな暮らしは豊かな生活の一歩になると思っています。
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