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干渉しすぎない、受容する、公平であること。ロンドンでの働き方。

当時(2012年)、イギリスの大学院を卒業すると2年間のプレ就職なるビザがもらえました。
留学で貯金を使い果たし、一度日本に戻り、3ヶ月生活できる分だけのお金を用意して再度ロンドンへ。
地図を片手に設計事務所にポートフォリオを持ち込み、運良く13人ほどの事務所に就職できました。

◯ 「tea anyone?」イギリス人は紅茶を仕事中に5杯は飲む

事務所は3分の2がイギリス人、ドイツ人、ギリシャ人、イスラエル人、そして私。多国籍だった大学院に比べてイギリス人と接する機会が多く、イギリスの文化により触れられた気がします。

まず驚いたことは、紅茶を一日に何杯も飲むこと。
9時ころに出社して18時ころに家路につくまで、最低でも5杯は飲みます。

仕事はじめの一杯、11時にちょっと休憩の一杯、お昼ご飯と一緒に、食後の一杯、15時におやつ休憩と一杯。
プラスで帰宅前に飲む時もあります。

紅茶が飲みたいと思ったら ”Tea anyone? (紅茶飲む人?)” と呼びかけ、みんなの分も準備。男女、上司部下関係なくフラットにみんなが淹れます。

そして、この人はミルク多め、この人は砂糖何杯、など、みんながそれぞれの嗜好を覚えています。

給湯スペースに集まって世間話をしたりと、会話のきっかけになるのもよかったです。いわゆる日本のタバコミュニケーションが紅茶で成り立っていました。しかも平等に。
日本の「タバコを吸いながらコミュニケーション」という空気(時代的に)が、吸わない人にとっては平等でなくとても嫌でした。

紅茶文化は一緒に仕事をする人たちを知るための良いコミュニケーションでもありました。

◯ 子ども連れでも気にしないオフィス環境

勤務時間は、なんとなく9時から17〜18時ころでしたが、フレックスタイム制だったので、7時に出社して15時頃に子どものお迎えをしに帰る人や子供の送りをして遅く来る人もいました。

小学校が長期休みのときは、たまにオフィスに子どもを連れてきて仕事をする人もいます。スタッフも子どもがいる環境に慣れているので、程よい距離感で仕事をします。

イギリスも日本と同じ島国であるにもかかわらず、大陸と近く移民を受け入れてきたからなのか、人に対して良い意味で干渉しすぎず、環境や状況に対して寛容であるのが印象的でした。

日本でも子どもと出勤できる会社も増えてきましたが、まだまだネガティブな意見も聞きます。
機会が増えればそういう環境に「慣れ」ていくはずなので、日本でも当たり前のことになると良いなと思います。

◯ 長期休暇は1ヶ月以上、2週間はただの休暇。

小学校の子どもがいる家庭は、夏休みが約2ヶ月休みになるのでこのタイミングで長期休暇をとる人が多いです。
学校の休み期間に合わせて親も率先して休み、子どもと過ごす時間を大切にしているのです。

わたしの事務所はボスが3人いたので交代でそれぞれ1ヶ月の長期休暇をとっていました。

スタッフもプロジェクトを調整しながら長期休暇をとります。
提出期限がある場合はその期日を調整したり、定例の日付を変更したりと、必要な場合はボスが直々に取引先に電話をして休みをとることに協力的。
そして取引先も当たり前のこととして対応してくれます。

2週間の休暇がほしいとボスに相談したときは、「たった2週間ならいつでも大丈夫!」と言われてびっくりしたのを覚えています。

長い休暇に慣れていなかった私は2週間以上の休みをとる勇気がありませんでしたが、長期間仕事から離れて旅行をしたりのんびりすることで、頭がすっとしてまた仕事に集中できるサイクルができることを知りました。

◯ 仕事の後の一杯は、本当に一杯

イギリスに紅茶文化があるのと同様に、パブ文化も忘れてはいけません。
花の金曜日は特に夕方早い時間からパブの外は人で賑わいます。

ただ、日本の飲みニケーションとは違い、長居を強制しません。
家族がいる人は一杯付き合って夕飯は家で食べる人も多く、残りたいひとだけが残って楽しみます。

同僚とは仕事の話はいっさいしませんでした。
週末何をしたのか、料理や趣味の話など、仕事とプライベートをしっかり分けることで効率よく働いているのがわかります。

日本では仕事をしてなんぼの世界だったので、プライベートを充実させることが得意な彼らに、生活の豊かさを教えてもらいました。

帰国後はこの時の考えを忘れないよう、模索しながらも働き方を整えています。

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