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今日のオススメ本:「チームが機能するとはどういうことか」

こんにちは!たかくらです。梅雨に入りましたね。
梅雨のしとしと雨が降る夜は、そう、読書がぴったりです。

今日はチームで働くって面白いね!という本を紹介します。
研究論文のようでありながら読みやすい、ハードカバー本ですよ。

こちらの本は、前職の上司からオススメいただいたことがきっかけでした。
当時自分はチームを前に推し進める役割を担っていましたが、それまでのミドルマネジメントの経験もあまり活かせず、足元にあるものをすべて小さなデッキブラシでひたすらに押し出す、みたいなことをやっていました。

そんなときに、上司からこの本を勧めていただき、改めて
「チームで仕事をすることって難しいけど、科学してみる楽しさがあるな」と感じられました。

この本には付箋をたくさん貼っているんですが、どんな本なのか?がわかるところや、私のお気に入りポイントを書いていきます。

序文は、エドガー・シャイン博士が書かれています。

しかし、会議もチームもその成功はチームワークがうまくいくかどうかにかかっている。
そこで本書は「チーミング」ー効果的な協働の根底にあるプロセスー に注目し、チームワークに不可欠なものについて優れた洞察と理解を提供する。

(中略)これからはチーミングと学習の時代である。それらについて、楽しく学ぼう。

第1部 チーミング

マネジャーはなぜ、チーミングに心を配るべきなのか。答えは簡単だ。チーミングは組織学習の原動力なのである。組織が学習する必要があることは、今では誰もが知っている。代わり続ける世界の中で成功を治めるためである。
しかし、組織がどのように学ぶかについては、あまりよく理解されていない。
(中略)本書では、チーミングを通して組織学習が実際どのように起きるのかという疑問に、具体的に答えていく。

不確実性に直面しても成功する

以前は安定していた業界であっても、ごく短期間に思いもかけない変化がおき、前例のない新たな難題が生じているということだ。
(中略)「今後、真に卓越した存在になるのは、組織内のあらゆるレベルで、人々のコミットメントや学習する力を引き出す組織だろう。
不確実な環境では知識は動く標的となるが、そんな環境で新たなスキルを学ぶことが、およそどの業界でも競争するうえでは不可欠になっている。

チームをつくるために学習する、学習するためにチームをつくる

簡単に言えば、チーミングとは、新たなアイデアをうみ、答えを探し、問題を解決するために人々を団結させる働き方のことだ。ただし、チームをつくることを、人々は学ばなければならない。大半の組織において、ひとりでには生まれないためである。

チーミングはあらゆる企業が成長するのを手助けするが、次のいずれかの状況で成功するには絶対に不可欠である。

・ミスを最小限にしながら複数の目標を達成する必要のある仕事をしているとき
・高いレベルのコミュニケーションと緊密な協調を維持しながら、次から次へとさまざまな状況に対応しなければならないとき
・多様な分野の考え方をまとめることが役立つとき
・異なる場所にいながら協働するとき
・仕事の性質が変わり、事前に計画された強調が不可能、または非現実的になったとき
・複雑な情報がすばやく処理・統合・活用されなければならないとき

リモートワークは「異なる場所にいながら協働するとき」にまさしく合致するのですが、チーミングなくしてリモートワークでの事業成長は難しい、ということですね、、めちゃくちゃ重要やないですか。

それよりなにより、変化の早い環境で、失敗も繰り返しながら船を進めるスタートアップには、チーミングは必要不可欠なことがわかりますね。

学習するための組織づくり

これまで見てきたとおり、競争力を持ち続けるには学習が不可欠だ。そこで、学習するための組織づくりが、重要なチーミング行動を促して集団的学習を進めるリードの方法になる。

集団的学習には次のような行動が含まれる。(中略)
・質問する
・情報を共有する
・支援を求める
・証明されていない行動を試みる
・失敗について話す
・意見を求める

こうした学習行動によって、グループは適応して進歩するのに必要な情報を手に入れ、処理できるようになる。

実行するための組織づくりという古い考え方は、一世紀をかけてつくり上げられた。そのため、習慣と訓練によって多くのリーダーがその考え方を持っていることに何の不思議もない。
実行するための組織づくりには、とりわけ規律や効率性を重視する点に、多くの強みがあるのだ。しかしながら、リスクも多い。
とくに多いのは、きわめて不確かな、あるいは複雑な状況でその考え方がつかわれるときでさる。
そうした状況では、学習するための組織づくりこそ成功に不可欠だ。

効果的なチーミングの四つの柱

チーミングが起きるのは、人々が専門知識を結集して複雑な仕事に取り組んだり、新たな問題に対する解決策を打ち出したりするときである。
チーミングは流れるようなプロセスであり、多くの場合、ほかの人たちとともに行動し、解散し、その後すぐまた別の人たちとともに行動することになる。
(中略)うまいチーミングに必要なのは多くの場合、さまざまな分野からの意見をまとめること、専門知識が他分野にわたるためにメンタル・モデルも多様である仲でコミュニケーションを図ること、加えて、大勢がともに仕事をする場合にどうしても生まれる意見の衝突を管理することである。

成功しているチーミングは次の四つの特別な行動を伴っている。
・率直の意見を言う
・協働する
・試みる
・省察する

4つといい感じで絞ってきましたね。
それぞれがどんな内容なのか、どういう特徴なのか、とても気になります。
(全部書くと長くなるので、気になる方がいらっしゃったら一緒に読書会しましょう 📖 )

第2部 学習するための組織づくり

暗黙の解釈

多忙をきわめる病棟や品質改善プロジェクトや戦略会議などの複雑な状況では、人々はちょっとしたサインを察知し、今起きていることについて結論を導き出す。
認知に関する研究によれば、苦もなく結論の出されるその多くが、暗黙(当然のこと、はっきりとは認識されない、と言い換えてもいい)だが極めて協力だという。
私たちは、ある状況を解釈すると、その本当の意味を自分はわかったと思う。さらには、ほかの人と連携して仕事をすると、解釈を共有することになり、その会社もまた当然になっていく。
結果として、ある職場にいる人たちはたびたび、暗黙の同じフレームを通して今起きていることを見ることになる。

前提を丁寧に共有したり、意思決定プロセスを明確にしていても(もしくはしているつもりだとしても)、暗黙に「このチームではこういう意思決定をする」という基準が生まれていることがあるようです。
外部から新しく入ってきた人や、客観的に意思決定に参加している人からすると「どうやって今のは決まったんだろう?(そもそも決まったのかな?)」となることがあるのは、元々いる人達は「暗黙の同じフレームを通して起きていることをみて」おり、それが言語化できていないからなのでしょう。

専門技術の上での深いかかわりと、気持ちの上でのかかわり

一時的なチームを組んで取り組むプロジェクトの場合、メンバーの役割をフレーミングするのに欠かせないのは、メンバーは理由があって選ばれているのだと明確に伝えることである。

これによって、新技術の導入プロセスに対する専門技術での深いかかわりと気持ちの上での深いかかわりが生まれ、この取組みの実行を手伝うだけでなく、詳細を工夫するよう他のメンバーを促すことになる。

これは、新たな技術によって変化が余儀なくされること、その変化が困難を伴うものであること、変化が成功するかどうかはメンバー全員の力にかかっていることを示すものでもある。

メンバーがプロジェクトのために厳選された素晴らしい人たちであることをリーダーが強く述べると、専門技術の上でも気持ちの上でも深くかかわる意思が生まれるのである。

ぐっときますね。どんなチームのどんな人にも、意味があってそこにいるのであります。
このチームでミッションを達成するために選ばれ抜かれた人たちである、ということを各々認識できると、自然に周りに敬意を表したコミュニケーションができるのではないでしょうか。

理想的な従業員?

(中略)精力的に仕事に取り組み、しかし出しゃばることのない人物が何人かはいるのだ。けれどもそれは本当の問題ではない。いわゆる理想的な従業員について問題になるのは、そういう人が組織が学習するのを困難にしてしまうことである。
学習する組織においては、問題やミスは報告されなければならず、そのために全員が学習することができる。
ところが、仕事ぶりが完璧だと、ほかの人にかかわってもらうことができない。さらにいえば、組織のプロセスには、盲従して実行するのではなく、挑戦する必要もある。(中略)学習する組織をつくりたいと思っているマネジャーは、自分の考える理想的な社員をリフレーミングし、現状をそのままでよしとしない、うるさいほど質問する人を歓迎できるようにならねばならない、と。

マネジメントの立場からだと、質問できる人を歓迎し、そして質問ができる場を常に提供する気持ちで、変化を受け入れる気持ちで。
チームメンバーは、常に「現状が理想でない」と思い、変えていく気持ちを表明する。もしかすると勇気がいることかもしれませんが、どんな立場の人も「表す」「受け入れる」勇気がいることだと、自分だけでないと思えると、少し気持ちが楽になるのではないでしょうか。


職場環境における対人リスク

頻繁にであれごくたまにであれ、公然とであれそれとなくであれ、現況において、組織にいるほとんどの人が評価を受けている。自分より地位や影響力が上の人の前では評価されることにつきものの恐れが増すが、同僚や部下がいる場でもそうした恐れが消えることは決してない。
職場で直面する四つのイメージリスクは次の通りだ。これらの不安によって、積極的に意見をいうかどうかが強力に左右される。

・無知だと思われる不安
・無能だと思われる不安
・ネガティブだと思われる不安
・邪魔をする人だと思われる不安

失敗は話題にするのが難しい

失敗が認識されているときでさえ、社会的要因が建設的な話し合いや分析の邪魔をする。(中略)失敗からの潜在的な学びを明らかにしようとする会話は、叱ったり非難したりする機会へと簡単に退化してしまうということだ。また、自分の失敗が分析されると人々はネガティブな感情を経験し、それによって自信が徐々にむしばまれていく。(中略)
さらには、大半のマネジャーが称賛したり期待どおりだと評価したりするのは、効率性や行動についてであって、深い省察や入念な分析ではない。

しかし効率的なチーミングでは、メンバーは、間違っていたり手助けを求めたりミスを認めたりといった心地よくない状況で心地よくあることを要求される。
また、失敗を分析して話し合うには率直さや辛抱強さ、さらには不明確さに対する寛容さが欠かせない。こうした姿勢は必ず企業文化に組み込まれる。

以下、トヨタ(アメリカ)の例です。

私は会議に出て、うまくいったことにいくつかを報告するようになった。ある金曜日、私たちが取り組んでいる活動を報告していて〇〇活動について暑く話した。少し得意げにもなっていた。二、三分して私は腰をおろした。
張氏が私を見つめていた。なんだか戸惑っているようだった。それからこう言った。
「ジムさん、あなたが優れたマネジャーであることはみんな知っています。そうでなければあなたは雇ってはいません。ただ、私たちがともにと組めるよう、あなたが抱えている問題について話してください。

報告をしてください、と言われると、なんとなく「良い報告」をしたくなりませんか?「悪い報告」を聞くと、相手の機嫌が悪くならないか?場の雰囲気が悪くならないか? そんなことを誰しもが心配すると思います。
これは仕事だけでなくプライベートでもそうですよね。
「よい報告、悪い報告、どっちを先に聞きたい?」といったコミュニケーションも、悪い報告を聞いてからよい報告をきくと、なんとなく場が明るくなって終了することが見越せるから、悪い報告とセットでいい報告を聞いてもらおう、ということだと思います。

この例をみると、「悪い報告」は悪いことではなく、「チャレンジすべきこと」と捉えられているのだろうな、と思います。
客観的にみて「今は悪い」ということも、それらのために紡いできた人々の努力や、努力した時間があったことを背景に
「もっと頑張れるところ」を常に探せるようになれると、よりよい状態になるのだと思います。

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さて、第2部までピックアップしましたが、この本は「第3部 学習しながら実行する」まであります。
全編400ページほどで、企業やチームの研究結果を事例として取り上げていて、具体的なイメージをもちやすいと思うので、興味を持っていただいた方はぜひ。

それでは、また次回お会いしましょう✋

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