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Photo by
chikaonishida
シガレット
月灯りの下
煙を吐くその男の姿を眺めるのが
好きだった
煙草をそっとはじく指
落ちていく灰
風に揺れる白いレースのカーテン
窓からみえる 流れる雲
ふと からむ視線
幾分か退廃的にみえるその姿に
幻想をみる
満月は夜には眩しすぎると思う
そっと近寄る匂いと
気配を 感じながら
私は眠ったふりをする
白く照らされたその横顔に
なにを考えているのかと
想いを馳せ
袋小路に迷う子猫のように
怯えながら
いくつもの夜を超えた
そうして 結局 私は
なにも言わずに
なにも聞けずに
煙草を吸わない男と
結婚した。
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