こんなに違う?欧州をアップデート①国民性・コミュニケーションなど

「ヨーロッパ大陸内の引越しは、(日本)国内の引越しと同じようなもの」

これは私がルクセンブルク(小国)からオランダへ引越すことが決まった時に、他の日本人から言われた言葉でした。

地続きのヨーロッパでは、週末に小旅行で国境を越えることが当たり前の生活。(コロナ禍はお預けでしたが..)

引越しの3日前までは夫婦共に通常通りに働き、2日前になって本腰を入れて引越し準備に取り掛かりました。

そして引越し当日。引越し業者への荷物引き渡しや退去手続きを終え、我々家族は自家用車でオランダへ出発しました。

ルクセンブルクを出て、ベルギーを通過し、オランダへ入国。もちろん途中でパスポートを提示するようなことはなく、たった4時間弱のドライブでオランダに到着しました。

その日はビジネスホテルで一泊し、翌日、新居の鍵を受け取りました。

もともと何年いるか分からないヨーロッパ生活。家具などの生活用品は最低限しかありません。業者の方に手伝ってもらい荷解きもすぐに終わりました。

「やっぱり国内引越しだったね〜」

と家族で会話をし、その夜は新しい家でいつもの家具に囲まれ、安心して眠りました。

さて、物語はここからが始まりでした。(笑)

翌日から、オランダという新しい国、新しい言語、新しい社会システムの中での新生活がスタートしました。

引越しのスムーズさとは打って変わって、何もやるにも「どうやるのか分からない」「聞ける人もいない」という状況に陥りました。

いくら英語が通じる国でも日常生活で使われる言語は当然、母国語である、オランダ語。今までいたフランス語圏と同じアルファベットを使っていても全く異なる言語

生活の全てで「分からない → 調べる」「Google Translateのカメラをかざして翻訳」というストレスフルな行動がついて回りました。

移住から3ヶ月目頃までは、ほとんど何をしたのか記憶もない程、毎日が大変だったようです・・・・・・。

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私はこれまで縁あり、ルクセンブルクのようなマイナーな国から、オランダ、フランスの欧州の大国にも住む機会がありました。(今現在も)

日本で生まれ、日本の生活が長かったので、
ヨーロッパはどこか「似たような集団(一つのカタマリ)」のようなイメージを持っていました。

日本では「欧州」や「欧米」としてニュースに触れることが多いので、
毎回「ヨーロッパのどこの国の話か?」とは、意識的に考えていなかったんですね。

実際住んだの感想は..「ヨーロッパの一国一国が全く異なる」ということでした。どう違っていたのか、私の体験をベースに書いていきます。

欧州の国民性・コミュニケーション・食事

「国民性」という言葉でまとめるのは好きでは無いですが、それでもヨーロッパこそ国によって性格があり、コミュニケーション方法も異なります

エリン・メイヤー教授の著書「異文化理解力」で、ヨーロッパも国によりコミュニケーションの方法が全く異なるということが明らかになりました。(参考:図1-1)

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ローコンテクスト、ハイコンテクストという言葉が使われていますが、
ローコンテクストでは「厳密でシンプル、明確な、ダイレクトなコミュニケーション」が使われ、ハイコンテクストでは「空気(行間)を読み、含みのある曖昧なコミュニケーション」が使われます。

英語圏、オランダ、ドイツ(北欧)がローコンテクストで、
日本などのアジアがハイコンテクストであることは、なんとなく納得感があるのではないでしょうか。

そして注目すべきなのは、フランス・イタリアが意外にもハイコンテクストということです。(これについては後述します)

オランダ移住の際は、オランダ人のダイレクトコミュニケーションに心を傷つけられるのではないか、と少し恐れていました。

しかし実際に多くのオランダ人と話し分かったことは、何も怖がる必要が無かったということでした。

オランダ他、英語圏の人も同じ傾向があると感じますが、理由はいかの2つに集約される気がします。

1. 自分の好奇心に素直  空気を読んで質問を控えることをせず、頭に浮かんだ疑問/知りたいことは素直に質問している。
2. 高いコミュニケーション力と気遣い ポジティブに相手の話を受け止め、さらに「もし差し支えなければ質問させてください」というような相手を気遣う言葉を必ずつけるため、質問された方は尊重されているように感じる。

それに加え、オランダ人はオープンで人(話)好き。初対面の方からも質問責めに合うことがたまにあります。病気で地元のかかりつけ医のところに行った時には、症状に関する質問よりも(先生の興味による)個人的な質問の方が多かったです。笑

一方、フランス人(同じくフランス語圏のルクセンブルク人も)は、カルチャーマップの通り、どちらかというとクローズなコミュニケーションを好む印象がありました。

仕事において、フランスなどラテン圏は、ローコンテクストが健在で、話があっちこっち行きます。イギリス、ドイツやオランダは「結論を先に話す」慣習があるので「日本のような結論が最後」のラテン圏の慣習に、同じ欧州人ですら戸惑うそう。

ちなみにオランダでは一言目で結論を言わないと、街のおばさまにも話を遮られます。笑 
とはいえ話好きのせいで、会議も長くなってしまうこともあるらしい...。

時間にルーズのイメージが強いラテン圏ですが、スペイン人はわりと時間や期限を守るといった一面も。一方、ドイツやフランスでは期限内に仕事終わってなくても定時に切り上げて帰るという話も聞きます。(期限内に終わらないことは悪ではない、という考え方のため)

人種は、植民地時代の名残でアフリカ系・中東系出身者も多く、どの国も非常に多様。しかし、各国が異なる国を植民地としていたので、国によって構成する人種が少しずつ異なるのも大きな違いです。

例えば、オランダはインドネシア、トルコ、南アフリカなどを植民地としていたのでそれらの国々の出身者が大半を占めます。実は、食事も旧植民地の影響を多分に受けており、スパイスが強めに効いた料理があったり、ハーブティーが人気です。

ルクセンブルクは、フランスやドイツの支配下に置かれたことがあり、ルクセンブルク人は非常に少なく、数代前にフランスやドイツから移民した人が現在のルクセンブルク人の多くを占めます。フランス語が実質的な公用語ですが、郷土料理はドイツの料理に瓜二つな国です

ルクセンブルク郷土料理(ベーコンやソーセージがメイン)

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"um Dierfgen"のFacebookページからお借りしました。

おわりに

欧州の違いについて書いてきましたが、欧州人同士はライバルでもあり仲間のような感覚があるようです。毎年、EUROヴィジョン(国の代表による歌の決戦)・EUFA(欧州サッカー大会)など、EUとその周辺国が一丸となる恒例イベントがあり、その期間は街に装飾がなされたり大盛り上がりです。

その仲間意識のせいか、英国がEUを離れたばかりのEUROヴィジョン2020でイギリス代表歌手は最下位。視聴者・審査員投票ともに「0ポイント」という結果でした。MC達も英国に対してノーコメントを貫く制裁ぶりに驚きを隠せませんでした。政治が投票結果に繋がるそうです。(歌手の方に罪は無いのですが..。)

そんな知れば知るほど面白い欧州事情や欧州人。これからの投稿でも色々と考察していこうと思います。

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最後まで読んでいただきありがとうございました。


ニケ

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