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阪急電車

関西に住む人ならば、何かしら愛のある人は多いと思う。えんじ色のボディと深緑のふわっとした高級感のある座席、レトロな雰囲気が残る車内。映画化もした有川浩さんの「阪急電車」の中の登場人物のように、電車に自分の想いを重ねてしまう人は私だけじゃないはず。

宝塚線。聞こえると毎度顔を上げて、ホームに目を凝らして、その姿を探してしまう駅名がある。姿が見つかることはないけれど、駅名が幸せな瞬間をフラッシュバックさせて、自分が降りるいくつかあとの駅までぼんやりと浸ってしまう。皮肉なことに、忘れたいのに何度も聞くせいで、忘れられない思い出だらけの駅名もある。今津線は苦手。気づけばそこを通らない行き方を探して避ける自分がいた。ありがたいことに、阪急電車はいろんな線があるから割と通らずに行き来ができている。

就職は関西がいい。朝は苦手だし家の近くがいいけれど、満員じゃなくって座ることができる阪急電車での通勤なら、大丈夫な気がする。聞くといい思い出が浮かぶ駅名がどんどん増えていけばいい。いやな思い出があるなら、上書きしてくれる人の肩に頭を乗せて行けばいい。お昼すぎ、電車の中に差し込む光と影を見ながら、ふとそんなことを考える。

有川浩 (2010) 「阪急電車」
https://www.gentosha.co.jp/book/b4248.html
映画 「阪急電車 片道15分の奇跡」 (2011)
https://www.toho.co.jp/movie/lineup/hankyudensha/

#日記 #エッセイ #阪急電車 #思い出 #有川浩 #宝塚線

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