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飲酒ガイドライン 飲酒量は、リスク飲酒だけ、それとも低リスク飲酒を入れるべきか?

以前、7月5日開催「第4回飲酒ガイドライン作成検討会」を傍聴し、これで飲酒ガイドラインもほぼ確定かと思いレポートを投稿しましたが

9月28日開催「第29回アルコール健康障害対策関係者会議」にて全くリスタートの感じになったようなので、ご報告します。
資料 https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000202961_00027.html

●純アルコール量の表記はどうなるのか?

いちばん問題になったのは、純アルコール量の数値の表記です。ガイドライン(案)の記載は下記になります。

(2)飲酒量と健康リスク
世界保健機関(WHO)等{22,23,24}では、飲酒量(純アルコール量)が少なくなるほど、飲酒によるリスクはより少なくなることを報告しており、飲酒量をできる限り少 なくすることを提唱しています。
飲酒量(純アルコール量)の参考となる数値としては、第2期計画や令和6年度から開始予定の健康日本 21(第三次)において、「生活習慣病のリスクを高める飲酒量」として、「1日当たりの純アルコール摂取量が男性 40g以上、女性 20g以上」が 示されています。これよりも少ない量での飲酒を心がけることは、生活習慣病のリスクを減らすことにつながると考えられます。
なお、飲酒の影響を受けやすい体質を考慮する必要がある場合などには、より少な い飲酒量(純アルコール量)とすることが望まれます。飲酒量(純アルコール量)が 多くなることは、身体へのリスクを高める{25,26}だけでなく、飲酒後の危険な行動につ ながる可能性も高めます。これらを避けるよう、飲酒量(純アルコール量)に注意し ていくことが重要です。

【資料4】 健康に配慮した飲酒に関するガイドライン(案)

純アルコール量について、今までは下記のように、提示される数値が複数あり、それぞれ意味合いが違います。
60g以上 は「多量飲酒」
40g以上は「生活習慣病のリスクが高まる量」
約20gは「節度ある適度な飲酒」(健康日本21第一次表記あり、以降の計画には記載はなし)

普及啓発には、分かりやすさからも
「1日当たりの純アルコール摂取量が男性 40g以上、女性 20g以上」を生活習慣病のリスクが高まる数値として、一つのみの数値を表記して普及啓発していくことにする、というのが7月5日の検討会での了承事項という認識でいました。
(この回の検討会しか傍聴していませんでしたが、「節度ある適度な飲酒」という表記はいかがなものかという議論があったのかもですね)。

今回の会議では、この数値について、複数の委員から「これは飲んでもよい量ということになる」と意見が複数出ていました。

メディアからの委員は
「このまま出して、リリースのみを読んだ記者が記事にすると、数値だけをトピックとして、新聞の見出しは『飲酒量 適正飲酒は男性2合、女性1合まで 厚労省発表』というものになる可能性がある。内容の見直しとガイドライン発表時には記者発表が必要では」と。

アスクの委員からは
「低リスク飲酒」の量を入れないと、「リスク飲酒ギリギリまで適量」という誤解が国民に広まってしまう」という意見も。
意見書 https://www.mhlw.go.jp/content/12205250/001151475.pdf(資料6)

またこれに対して別の委員からは
「今回のガイドラインはJカーブを否定して、少なければ少ないほどよいことを明確にしている。ここまで飲んでもよいという量を表記するのは、前に戻ってしまう」という意見も出ていました。
うーーん、どうなるのか。傍聴していて、全くわからなくなりました。

他にも、
○1日単位の量を入れるべきか、週単位の量にすべきか。
○資料にあるアルコール依存症の患者数の推移や保健所及び精神保健福祉センターにおける相談件数(アルコール)などを都道府県ごとのデータを提示しては。
○アルコール摂取は少量でも発がん率が上がること記載すべき。
○妊娠に気づく時には摂取している可能性があることなどから、妊娠・授乳時のアルコール摂取のリスクはガイドラインの前の方に入れては。
○アルコール飲料の主成分は、エチルアルコールという依存性薬物であるということを入れるべき。
○普及啓発用リーフレット案については、リスクの色の段階が違う、注意点の標語でなく、飲酒後のサウナは危険などもっと実効性の高い内容を。
○アルコールの計算式を記載しても計算しない。web上で飲んだ量を入れれば計算してくれるものを紹介すべきでは。

などの意見が出ていました。
ガイドラインについて見直しは必須かも。次の会議、検討会を注視したいと思います。

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