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友達とそうじゃないひと

パートナーと他愛のない話をしていた。

“友達”と”友達ではない人”について。

どうしてそういう話になったのか思い出せないのだけど、たしか彼のひょんな一言から始まった。


え?
おもちにとって、A先輩は”友達”じゃないの?


私にとって、A先輩は先輩だ。言われてみて初めて認識したけど、たしかに先輩は先輩で、友達と思ったことは一度もなかった。

A先輩は大学時代のサークルの先輩で、同じサークルに所属している彼からしても先輩だ。しかし彼はその先輩のことを友達だと思っているようだ。


「じゃあ、Bは!?」

「後輩だね」

「え!あんなにおもちと仲がいいのに友達ではないんだ。あくまで後輩なんだね。」

書き出してみるとなんてへんてこな会話だろう。だけどその時は私も彼も夢中で話していた。


彼の中ではサークルのみんなは”友達”であった。たしかに私たちが所属したサークルはそこまでマンモスサークルではなく、人数も限られていたので先輩後輩の垣根もなくみんな仲良しだ。

だけど私にとってAは先輩だしBは後輩だ。どんなに仲が良く、個人的にご飯に行く仲だとしても。


じゃあ同い年はどうなるのだろう?彼も同じ疑問を抱いたらしい。尋問は続く。

「Cは友達?」

「Cは友達だねぇ」

「じゃあDは?!」

「同期!」

「ええ〜!」

パートナーは面白がった。両者の違いは何?と。

Cはサークルで知り合った同期で、社会人になった今も時々ご飯に行く。年に一度は二人でプチ旅行に出かける仲だ。大切な大切な友達だ。


Dは……サークルの”同期”だ。

なんかドライな響きになってしまうけれど、嫌いなわけではない。

パートナーに指摘されて初めて気が付いた。私には明確な”友達”とそうじゃない人のラインがあるらしい。決まった条件があるわけでもないし、あなたは友達です!あなたは違います!なんて偉そうに区切っているわけでも当然ない。


友達とそうじゃない人。

違いなんてまじめに考えたことなかったけれど、パートナーとした会話を思い出して、一人の時間にぼんやりと考えた。


知り合ってからの年数とか?

高校までの同級生はみんな友達、とか?

同じ趣味を持っていることがラインなのか?

あれこれ考えてみたけど、正解はない。


だけど一つだけ思うことがあった。

会話の内容だ。


友達は話す内容が実に幅広く、そして深い。恋愛、人生、将来のこと、仕事、家族、悩み。なんでもかんでも話せるというわけではないけれど、話す内容は尽きない。一つのテーマから始まってあっちに行ったりこっちに行ったり、うすーい会話をしてみたり深ーい会話をしてみたり。

対して友達じゃない人はどうか?

思い返してみると、しっかりした共通項がない限り話は広くも深くもならない気がする。例えばサークルの同期との共通項はサークルの話である。あの先輩この後輩がどうなったとかの噂話、合宿やイベントでの思い出話とか。結構盛り上がるのだけど、言ってしまえばそれしかない。

単純に会話をする回数が少ないし、そもそもの関係性が同期以上でも以下でもないのだと思う。共通のテーマを失うと、途端に会話が途切れてしまうような気がして、とりあえずサークルの話を続けてしまう。会社も一緒だ。

個人の趣味や生活の話をすることもある。だけど気づいたら共通のテーマに戻ってきている、なんてことも多い。


友達だって、会話が途切れないわけではない。沈黙もある。だけど不思議なことに、一緒にいる時の空気自体が共通項になってくれる。決まったテーマは必要ない。いつでもどこからでも共通項が湧き出てくる、そんなイメージだ。



***

これが解なのか?といえば否。つっこみどころ満載で穴ぼこだらけの考え方だと思う。でも半分は合っているような気がしている。

友達との間には、もはや共通項が必要ないのだ。

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