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Meglog【街ゆく人に話し掛けろ 出川English 】

Introduction 
 
今日はある度肝を抜く英語学習プログラムについて。
聞いたこともない革新的な方法でスピーキング力を鍛えるのですが、言語習得の核をついた極めて原始的方法です。
私は去年の夏、トロントで2カ月間のこのプログラムを受講しました。
 
 
 
私にとって英語習得のハードルとなっていたのはスピーキングでした。
英語学習の常識と言えば、文法や単語張で学んだ知識をもとに、読解や作文をする座学が思い当たります。さらにYouTubeやInstagramの英語コンテンツ、洋画、アプリなどを活用して英語に触れる機会を増やす方法はたくさんあります。
しかし実際に話す場面となると、文法は間違えるし、覚えた単語でさえも口から出てこないのです。
 
 
 
そんな状況を打開するため参加した英語プログラムの内容は、他に類を見ない、常識を覆すものでした。

「街の人に話しかけて、とにかく英語を話す」
まず先生である一人のEnglishコーチから,会話のお題となる内容を含む質問文を教わります。その後ランダムに街の人に話し掛け、その文を「会話ツール」として駆使し、話し、話し、話すのです。
そのプログラムこそ、OSL(On the Spot Language)です。
 

今日は、まるであのテレビ番組の人気コーナー「出川English」かのように街を舞台に英語を使う超実践型英語プログラムOSLについて、その授業内容と型式、私がOSLに参加したワケ、そして効果をお話していきます。
 
Outline
1. OSLの授業形式 
2. OSLに参加した理由
3. OSLの効果
Conclusion
 
 


1. OSLの授業形式 
“Sorry put you on the spot.” (困らせてごめんね。)
このコンセプトをもとにトロントを拠点に10年以上続いているOSL、それは教室のない体験型学習です。
 

OSLの授業内容は授業中と授業後の2つに分かれます。
授業中には、英語コーチ1人と生徒3人でトロントの街を歩きながら、ネットに載ってないようなローカルスポットや地域歴史にまつわる場所を周ります。授業中に教わることはFocus sentencesと言われる短い完全文や、ローカルスポットの知識。
 
Focus sentencesとは会話を始めるときや会話を展開させるときに必要な質問文など、会話ツールとなる文です。一日2つの文だけに集中して丸暗記し、反復練習します。

コーチがスポットにまつわる様々な質問をくれるので、その答えを探すため、授業後には生徒だけでそこら辺にいる人に自発的に話しかけ、Focus sentencesを使って答えを聞き出すのです。
 
また教室がないので、毎日の集合場所もコーチのヒントを元に自分で探し出します。他の生徒と一緒に周ることも1人で周ることもあります。
 
知らない人に話し掛けたら、もちろん答えを聞き出すだけでは終わらせません。
 
用意した質問はただ会話を持つためのきかっけで、その後会話を展開させるのです。その会話で得る収穫こそ、このプログラムの本質。
自分がどんな人か相手に話し、そして相手のことについても知ります。話し掛けられた人にとっても、話し掛けて来た相手は気になるんですね。
 
私「私は日本人です。まだトロントに来て2カ月で、今年度末に日本に帰る予定です。」
相手「Wow, 日本人なのね、日本では何をしているの?」
私「日本では中国語を専攻する大学生で、今は英語も話せるようになりたいという目標を叶えるためにトロントへ来ました。」
相手「そしたら中国語も話すのね、トロントではどこの学校に通っているの?」
私「OSLというプログラムに参加しています。OSLは教室がない学校で、こうして街で人に話し掛けて会話する経験型プログラムで、~」
 
 
会話に出て来る頻度が高い自己紹介文の一部を紹介しました。
 
そして会話相手のその人はどんな人なのか、ときには自己紹介からその人の人生についてまでも話題を掘っていくんです。街のそこら辺にいる人に話し掛けるだけですが、長く深く話した先にはたくさんの知らなかったことや面白いことが隠れているのです。
 
 
そして会話を重ねることで掴める自信やコミュニケーション能力、英語力、人との繋がり、視野の広がりこそ、プログラムの収穫となります。
 
 
 
2. OSLに参加した理由
「せっかくトロントに行くんだから、OSLに行く価値はあるよ」

始めてOSLの存在を知ったとき、内容を聞いてスピーキングが成長する事は確信していました。しかし私にはハードルが高すぎる、クレイジーだと思い普通の語学学校に通い始めるのです。
しかし、私がトロントに行った英語の目標は、日常会話を流暢に話せるようになることだったんです。スピーキングに完全に集中するつもりで行きましたが、普通の学校で始めに学んでいたのは座学でした。スピーキングはどうやったら伸ばせるのか、自分の目標に照らしたら、もうあとは署名してただ挑戦するだけでした。
 
それに、現地と関りを求めていました。学校と家の往復で建物の中に篭っていたらあまりに自分の住んでいる場所や人について知らない事が多く、不安が大きかったのです。
トロントに住むというのに、トロントに知人はほぼいないし、地域について分からないことが多く、街と自分との間に距離を感じていました。
学校の先生やホストマザーと話す内容にも、街のどこに何があるとか、街で有名なアレとか、そんな内容は頻繁に出てきますが、話される内容が分からないのです。トロントの街に馴染むため、自分の身を外に置くのに良い機会でした。
 
もう一つの理由、それはOSL創設者でありコーチであり、今は友達のAneshという人に興味があったからです。
一言で言うと、彼は7言語話すマルチリンガルで、さらにコミュニケーション能力の超人です。またあなたがもつあらゆる常識を超えて来る考え方を持っています。何度心を動かされたことか分かりません。
授業中に求められる会話法はまさに彼の人となりに影響を受けたもので、彼について行けば、必ず面白いことを経験するだろうと期待感が膨らみました。
 
 
知らない人に話し掛ける不安と、それでもやってやるぞという覚悟、一方で面白いことが起こりそうだという期待感ももって始めたOSL。2か月後、確実に私を成長させ、一生の財産をくれることになります。
 
 
 
3. OSLの効果 
知らない人に話し掛けるとき、相手に怪訝な顔をされることは珍しくはないんですね。
 
さらに自分の英語は100%ではないので、たくさんの間違えをしながらでも話さなければ会話を進めてはいけません。毎度毎度トライ&エラーの連続です。
 
たった2カ月の短い間でしたが、濃厚な時間でした。何百という人に話し掛け、彼らの話や街の歴史から新しい発見をし、自分の中で変化したことがたくさんあります。大きく分けて三つ、繋がりを得たこと、心理的発見、コミュニケーション能力の向上です。
 
 
◉繋がりを得る
相手がどんな人か分からないけど、直感で人を見て、取り敢えず信頼して低い姿勢で話してみると、相手も自分を信頼してくれることが多かったです。

会話中に共通の話題や自分が興味を持てる内容があると、会話は盛り上がります。相手と自分の何かの違いに気づくと、会話を掘り下げることができます。人生話や連絡先交換までいくと、単に街で会ったとは思えない関係を作り出したことに達成感を感じるとともに、色々な経歴や趣味を持つ人々との繋がりに嬉しくなります。

そこに住む人はどんな人なのか、現地の人に聞く情報、何がどこにあるのか、なぜそこにそれがあるのか、そういった話題の答えは街との繋がりを感じさせ、暮らしやすさや交友関係の広がりに繋がりました。
 

 
◉心理的発見
移民国家カナダの一都市トロントには、世界中から人が集まり暮らしています。彼らの話を聞くと、話しかける人それぞれが違った経歴をもち、これまでまるで知らなかった情報に新たな発見をするのです。育った環境、家族の話、今何をしているのか、それらの話題が、また違った視点、考え方で伝えられ、その多様さに伴って自分の視野が作り上げられました。

例えば楽しそうに働く一人の女性に話掛ける。話を聞くと、カナダへ出稼ぎに来て、母国の家族に仕送りをしていると言う。すると彼女自身の様子だけでなく、彼女の母国の一生活水準、またカナダの移民受け入れ態勢の充実さやカナダでの働き方なんかにも気づくのです。
そうした気づきから視野は広がり、人と接するときにはまずどんな文化や人にも尊敬の姿勢をもつ等、自分の対人スタンスが整えられました。街に出てたくさんの人と会ったからこそ、出会う人の国籍や育った環境が様々で偏りがなく、またその感覚を身に付けるまでの時間が早かったように思います。
 
自分の心的成長も見られました。OSLのプログラムはすべて自分次第でその結果が変わります。人に話し掛けるかも、会話を終わらせるかも全て自分次第。何度も緊張して話し掛け、相手が何を言っているか分からなくても、相手に圧倒されても、ただ引かずに首を突っ込み、言い間違えを繰り返すことで、精神力、英語力、コミュニケーション力、トロントについて知っている知識量に圧倒的な自信が付きました。
 
結構楽しいですよ。
 
 
 
◉コミュニケーション能力向上
そもそも、知らない人に話し掛け、質問の答えを探し出さなければならないのですから、
相手に警戒心を持たれず話始めるにはどう話始めればよいのか、会話を長く続けるには何が必要なのか、自分の話す事柄に興味を持ってもらうためにはどうすればよいのかといった、
本来どの言語を話すに関係ない会話力が必要です。それを実践会話で経験量を積み、失敗と成功から学ぶのです。

講義で英語コーチAneshから教わるFocus sentencesは汎用性が高く、日常会話で頻出する文です。いわば会話ツールとなる文を実際の会話で何度も使って覚え獲得します。
英語の教科書の文を学ぶのではありません。Focus sentencesはネイティブが日常で使う生きた英語で、話している場所も練習場ではなく、いつも本番です。
 
同じ話題を複数の人に繰り返し持ち掛けるので、1つの話題に対する経験量が多くなります。質問にも悩まず、また英語でどうやって聞けばいいのかも獲得したツールがあるので悩まず、ひとつの会話の長さが格段に増えたと思います。結果英語での会話が成り立ち、スムーズになるまで練習した時、もう英語は話せるようになっていました。
 
 
 
Conclusion 
街で知らない人に話し掛け会話を積み上げ英語のスピーキング力を鍛える英語プログラムOSL。スマホを使わずに自分の足で学び周る原始的な方法ですが、
 
現在世の中に数えられないほどの言語学習方法があるなか、
それらとは一線を画し、人間としての成長も見込む言語学習プログラムです。
 
実際に参加して、英語も伸びましたし、OSL参加理由の全てを達成しました。それ以上に、視野の広がりや人としての成長を大きく感じました。行く価値が非常に高いです。
 
 
 
また別の機会には、実際に私が街中で会った人の話や受講時の心情の変化など、OSLの具体的な様子についてお話しします。
 

今日はこれで。最後までお読みいただきありがとうございます。
また次週お会いしましょう:)
 
 

次回、
Meglog【言語習得の定型プロセス】
言語を習得するまでには3パターンの決まった道のりがあります。
言語習得の全体像を掴み、あなたの話す/勉強する言語がどのプロセスを辿ってきたのか振り返ってみてください。
語学学習に悩む人は特に必見! ;)
 
 
 

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