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息切れの私、しゃれた岩峰を目指す(パイネ国立公園/チリ)パタゴニア

2023年11月14日、世界一周旅行の幕が上がる。
南米に始まりじわじわと日本に近づいていく魂胆。だいたい3年ほどかけて巡るつもり。
旅情80%ぐらいのかんじで緩く書いてまいります。

プンタアレナスからバスで約2時間、プエルトナタレスへ。
目的はパイネ国立公園。パタゴニアの一番の見どころのひとつ。

パイネ国立公園の周り方はいくつかあり、ツアーに参加するか、もしくは自力でトレッキング。
自力といっても道はわかりやすいし、辺りには同じくトレッキングを楽しむ人たちがたくさんいるので問題なく進める。
1日で周れるコースもあれば、2〜3日かけてキャンプをしながら周るコースもある。
私たちはテントとかもないし、トレッキング初心者なので日帰りにした。
バス停から山を登りトーレスデルパイネ(パイネ国立公園を象徴する3本の岩峰)が拝めるビューポイントまで行き、Uターンしてバス停に戻るというルート。
所要時間は約9時間らしい。
つまり早朝のバスでパイネ国立公園まで行き、帰りは終バス。
この終バスに乗り遅れると装備無しの野宿をする事になるというちょっとハラハラなトレッキングだった。

朝、まだ暗いうちから起きて朝焼けをみながらバス停へ。

赤く染まるプエルトナタレスの街

かなり寒いけれどいい1日のスタート。
バスの車中も寒くて持っていた防寒具を総動員した。
1時間半ほどの道中、うとうとしてたけど目を開けるとパイネ国立公園のエントランス付近だった。
ちょうどアレーナス湖の横を走っていて車窓からの景色、あまりの美しさに眠い目に突然光が宿った。

美しい目覚めの朝

エントランスに到着し、上を見上げると雲ひとつないきれいな青空。
トレッキング日和だ。
早朝に比べ気温はかなり上がっていて防寒具を全部しまった。
そしてこれから防寒具が登場することはなかった。

バス停がスタート地点、ゴールの展望台までひたすら歩く。
最初はなだらかな道だけど次第に上り坂が急になっていく。
砂利とか岩があり少し大変。
けれど、振り返ると緑と湖がひろがっていて
綺麗な景色に鼓舞された。

まだまだ序盤ながら「こんなに登ってきたー!」と思える眺め

それから道は開けた谷へと続き、山を横切って行く。
ここも景色が綺麗。空が広く清々しい。

連なる山々の中心を歩いて行く。

2時間ほど歩きお昼ごろ、ひとまず山小屋に到着。
ここで素朴ながらも楽しいランチタイム。
パンにフムスペースト、チーズ。かじるミニトマト。おやつにウエハース。
なんの変哲もないラインナップだけどお外パワーはすごい。おいしい。

気分はピクニック。るんるん、語尾に音符がついちゃうね。

休憩して初めて気づいたけど動いてかなり暑かったから汗でTシャツがびしょ濡れだった。
木の影は涼しく風が冷たかった。動かないと寒い。
休憩もそこそこに、展望台にむけて再スタート。
終バスに間に合わないと生身の野宿、ゆっくりはできない。

山小屋からスタートしてからはしばらく森の中が続いた。
小さい滝があったり川を渡ったりと涼しげな道だった。

食後すぐなのでなだらかな道が続くのはありがたい

木漏れ日の中を行くのんびりとした雰囲気の道は1時間半ほど続いた。
そこを抜けるとクライマックスである難所、最後の1時間。
かなり急な坂に石とか岩がごろごろ転がっている道のような道じゃないようなところを進む。

足場の悪さレベルは最骨頂

体力に自信がないわけじゃないけれどトレッキング初心者。
時間に追われ競歩を続けたので疲労が押し寄せてきた。
ただ諦めるなんて選択肢はない。ヒィヒィ言いながらただ登る。

人も多いので譲り合いながら登る

そして、ついにトーレスデルパイネが近づいてきて、急に湖が見えた。
ゴールに到着。
展望台の手前、目の前に大きな岩があってゴールの全貌が見えなかったので、その岩を越えると突然見える。
馬鹿っぽい言い方だけどほんとに、ばーん!ってかんじだった。
ばーん!!うわー到着した!すごいーーー!!!だった。

「おつかれさま」

穏やかな蒼い湖、強かな3本の岩峰。
なんというか、俗っぽくなくて垢抜けている山だな。と思った。
造形美や絵面の良さがある。
例えば、デザイン性の高いRPGの背景や部屋のポスターなんかにすると映えるだろうなと思った。
つまりはお洒落なんだ。自然に対してお洒落だなは初めての感情だった。

美しい景色を目の前にしてとにかく達成感が気持ちよかったが、まだ早い。
終バスに間に合わないと野宿。本当のゴールはバス停である。
写真を撮ったりのんびりオレンジ食べたりしていたらそこそこいい時間になっていた。

急げ、Uターン、下山。
崖を飛び降り、つねに早歩き。いやもうほとんど走っていた。
膝に負担をかけている感覚が少し不安だった。
心拍数も上がるし、肩も痛くなってきた。

時間がタイトなことははなから知っていたけれど。
辛いとは思って挑んだけどやっぱり辛かった。

そして、終バスの時間5分前にバス停に到着、無事野宿をまぬかれた。

あさ5時半に起きて街の宿に帰ってきたのが23時だった。
パタゴニアの日は長い。日没が21時頃なので自然の中で遊べる時間がたっぷりある。
全身筋肉痛、疲労感でおかしくなりそうだったけど関節が痛くなるとか怪我はなかった。
ありがとう身体。これからも大親友だと思って大切にします。

今日はまたひとつ山の良さに触れた。
爽やかな空気の中、豊かで暖かい景色を眺めながら身体を動かすのは気持ちがいい。
競歩は辛かったけれどほんとに楽しかった。
そして野宿にならなくてよかった。

クタクタの身体でベッドにダイブ。
シーツにたくさん虫がいて、あれちょっと野宿ちっくじゃない?となったが気にする体力は残っていなかった。

プロフィール:

1996年、サブカルインドア人間として大阪にて誕生。
服飾専門学校卒業後テキスタイルデザイナーを務めるが都会的な暮らしや流行に嫌気がさし退職。
2021年、沖縄県の宮古島に移住。
趣味だったハンドメイドウィービングや料理の仕事に就く傍ら、フリーダビングにはまり毎日海で泳ぐ。
さらなる自然への興味と世界を深く解釈したい欲が矢を放ち、世界を駆ける。
ラジオとゲーム実況が好き。

良ければインスタグラムも覗いてみてください。
https://www.instagram.com/_maryo.san_


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