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マノミコト

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こころのおくのほう。毎日更新。     マルハダカ。
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#エッセイ

2021/7/12 「鋭さ」

愛が重いほど、その愛は鋭さを増して心に突き刺さってくる。突き刺された一点から涙が溢れ出るのは当然のことだ。相手は泣かせてしまった、傷つけてしまったと思ったかもしれない。でもむしろ、今は物凄く光栄なことで。それくらいの愛を受け取れるのと同時に、吐き出してしまいたいほど膨れ上がった愛を外へと自然に流してくれた。 涙が出るのは、ある沸点に到達した時だと誰かのインタビューで見た。沸点が低すぎるのか、常に沸点に近い位置で留まっているからか。どちらにしたって、とにかく沸点にたどり着く回

2021/6/13 「上の者」

守るとか幸せにするとか助けるとか、簡単に使わない方がいいだろう。それは決して、言葉にすると安っぽく聞こえるからとかいうものではない。(これは言う、言わないの問題ではなく、どのくらいの思いなしによって出来上がった思いなのか。という部分が重要だと考えられるからだ。思いなし度合いは、そこに費やした時間には必ずしも比例しないのではないだろうか。) 上の立場に上がるにつれてその数は減っていく筈だ。それなのに、少ない上の者が、倍どころではない数の下の者達を「守る」「幸せにする」「助ける

2021/6/8 「創作」

クララとお日さま。村上春樹。主人公と男の子が一緒につくる場面が好き。女の子は絵を描いて、リックがそこに言葉を添えるの。後者は絵を見て書くけれど、それがすごく難しそう。よく書ける時もあれば、そうでない時もあって、たまに困っている。 でも、ジョジーは、待っていて。言葉が書き足されていくことを心待ちにしている。何なら、言葉を添えてもらうために、絵を描いているんじゃないかと感じるくらいに、待っている。 2人での創作も光景も、こちらが見ると、お花畑に包まれる空間を見ているみたいに愛

2021/6/5 「写真と文章」

私にとって、写真を撮ることは文章を書くことと同じなのか。と、こういう問いが生まれてしまったものだから書き始めた。課題も積んでしまっているし、こんな夜更けの時間でもあるし。いったい私は何をやっているんだろう。とは思っていないし。もし、「何してるの(笑)」と誰かに言われたとすれば、「何してるんだろうね。」と笑って流せる余裕と、その自信がある。何故だかは、わからない。 写真を撮ることと文章を書くこととを考えていたら、夢中と集中。この2つの語が出てきた。写真を撮っている時の私は、特

2021/6/3 「汚れまみれ」

「作り物の世界で一瞬の本物を。」「僕らの作っているものはすべて作り物。」 あの世界は真実じゃない。作っている本人達も、占い師も、父も。みんなそうやって言っていた。「嘘を息のように吐き出してる。」こんな感じで言っていた人もいたなと、眠気覚ましのカフェラテを作っている時に思い出した。スプーンで泡を混ぜる。そろそろ冷たい飲み物にしたいと、それが最近の願望。 作り物の中に本物を。ってこれはすごく面白い。その一瞬があるらしい。私にはわからない。でも、その瞬間が好きだと言って、それを

2021/5/31 「叶えたい夢」

もし、自分が本当に夢を叶えたら。自分のやりたいことをやれるようになったら。誰か涙を流してくれるような人は目の前にいるのだろうか。ふとそんなことを考えてしまったわけである。そんな暇はないというのに。調子に乗ってしまっているのかもしれない。 これだけやってきて、やっと夢が叶うという時に、自分以外の人が一人も喜んでくれないかもしれないという光景を想像すると悲しくなった。想像できてしまったことが何より私を苦しめた。 もし本当に、つくることができて名前が載ることになって、本当にそれ

2021/5/27 「人生とは舞台」

水を汲みに来るお客さんの姿が映る。コップを探していたけれど、見つけたみたいだ。自分の分と友人の分。あ、注ぎ口もう少しちゃんと閉めて。と心で伝えてみる。あ、後で、閉めに行こう、と心に刻む。 カップルで来たお客さんが席移動の希望をお願いしてくる。もちろん、オッケーである。お二人のために、と思い、流し入れた生地はいつの間にかきつね以上の色になっていた。まぁ、大丈夫だろうと思いながらも若干の不安を抱えたが、上からかけていくメイプルシロップにいつも以上の愛を込めて上書きすることにし

2021/5/23 「脳みそ出血」

これは昨日、文章を書き終えて、さぁ眠りに着こうとしていた矢先に起きた出来事である。些か珍しく、この先グロティスクな文体になってしまうことをここらへんでご了承いただき、先に進んでいただけるとありがたい。なお、そのグロティスクな文体にも、暖かさや、澄んでいる世界を。と思いつつ描いていこうとは思っているので、もしよければ、ここで終わらずに進んでもらえると幸いである。 早朝4時になっていたかもしれない時間帯だった。詳しくは覚えていないのだが、確かそのくらい、一瞬でも眠りにつけたのか

2021/5/22 「笑ってる」

「らおたん、笑ってる」と、私の叔母はよく言います。らおたんとは、トイプードルとチワワがミックスされた、10月25日生まれのワンちゃんですが。「どしたの、嬉しいの」と、まるで孫をあやすかのように話しかけるわけです。今日もまたうちに遊びに来て、たかいたかいをして、抱っこしながら部屋を探検し、そそくさと自宅へ帰っていきました。 従姉もまた同じように、「らおたん、笑ってるねぇ」と言うわけです。表情が豊かだって言うのです。 たしかにらおたんは、去勢手術の後うちへ来た時、どこか不安そ

2021/5/20 「鳥かご」

鳥かごの中の人間ってたくさんいる。数的じゃない。種類的。数的にもなのかな。みんな、どこにいるの。私は、どこにいるのだろう。 あの人は、檻を自ら創って、自らその中に閉じこもっているように見える。それは私も同じなの。 出ていきたくない。もしこの鳥かごが開いて解放されたとしても、私はまた鳥かごを作り、その中に閉じこもる。そのようにしか生きられないの。誰かが助け出そうとしてくれても、きっと無理。幸せなんてどうでもいい、自由になりたい。 あの人が鳥かごを創っているのは、人のことを

2021/5/17 「論理」

綺麗ごとばっかりいうよね。理想だけは高いよね。言われ続けた長い月日です。なんだかんだずっと夢を持ち続けて生きてきましたが、その時々でかけてもらった言葉たちに、今はもう、どれだけ本気で言ってくれてたのかなと疑いを持ってしまうような人間になりました。 自分でも、綺麗ごとだよなと疑い始め、前置きをするようになりました。それでも「そんなことないよ」って嘘つかれて、綺麗に打ち返されるよりはよっぽど信頼できたけど。綺麗ごとっていう人も、前置きをする自分のことも。 綺麗ごとだったのか、

2021/5/16 「告白」

「貴方のレジュメ、私好きです。」告白されました。私。ついに。文章の中か上で生きる私、興奮いたしました。受取人として相手の告白を直に頂戴した生身の人間である「私」、あまりに予想だにしていなかった出来事で、あはは~という薄笑いと、戸惑いの表情をお返しするので精一杯でございました。 これがもし、文体×文体の文章上であれば、こんなことには致しません。倍の倍の倍以上の、愛文体でお返しできたはずなのです。それが、顔対顔の画面上だったものだから。相手のお顔も確認できておりまして。想像以上

2021/5/12 「自傷行為」

なぜ自傷行為は受け入れられないのだろう。「自分のことをもっと大切にして欲しい」言葉が付き纏う。「メンヘラなだけでしょ」安っぽい言葉が付き纏う。 自分で自分の檻を作って、そこに自分自身を閉じ込めている。だからこそ、その檻は一生付き纏う。映画の中でオードリーヘップバーンがしていたことも同じ自傷行為だ。 でも、彼女は美しかった。何を言っているのか、彼女の語りの内容はほとんど分からない。最高に頭のおかしい女性だった。でも全然退屈じゃない。どんな人間よりも最高に惹かれる、檻の中で美

2021/5/2 「21年の勘違い」

私は最近、おかしいです。「そうありたい。」という思いなしかもしれません。それはそれでおかしいですが。 ある映像を撮りたいと思って、お花を買いに行きました。この時期だから、切り花と言っても品ぞろえは、大体がカーネーション。か、もしくはお供え用の花、でした。カーネーションと一言で表されてはしまうものの。色には種類があって、「お母さんになったら、この色のカーネーションを母の日にもらいたいなぁ」なんて考えてしまいました。子供がもし男の子だったら、絶対お花送ってほしいです。それだけで