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2021/5/12 「自傷行為」

なぜ自傷行為は受け入れられないのだろう。「自分のことをもっと大切にして欲しい」言葉が付き纏う。「メンヘラなだけでしょ」安っぽい言葉が付き纏う。

自分で自分の檻を作って、そこに自分自身を閉じ込めている。だからこそ、その檻は一生付き纏う。映画の中でオードリーヘップバーンがしていたことも同じ自傷行為だ。

でも、彼女は美しかった。何を言っているのか、彼女の語りの内容はほとんど分からない。最高に頭のおかしい女性だった。でも全然退屈じゃない。どんな人間よりも最高に惹かれる、檻の中で美しく舞う最高に自由な蝶々。この世に存在するたくさんの色たちの一番の保有者。素敵すぎた。

やっぱり檻の中が一番自由でいられるの

自傷行為なんて名称つけないでほしい。自分を苦しい場所から救ってあげられる、自分でできる、自分から自分自身へ向けられる唯一の愛。自分自身でいることが一番の苦しみなのに、もっと大切にしてあげてほしいなんて、言ってきた人に殺されるようなものだ。

やっと見つけた方法なのに、どうして奪われなければいけないの。

実際、白の服を着たオードリーヘップバーンは、最高級につまらない女になっていた。彼女自身がいったのに。自分から白を羽織る瞬間なんて絶望を感じるようなものだった。黒に白を覆いかぶせるなんて最低だった。自分自身で。

あんなに美しく変わるのに。自由になれるのに。どうしてやめなければいけないのだろう。実際、幸せじゃないって言っているようなものだった。実際、幸せになんてなれるわけないのだ、この人生において。私は聴いた。ちゃんとこの目で聴いたのだ。人では幸せにはなれない、。ものになるべきで、それだけが方法なのだ。

生きているのが怖いだけだろう?って、本当にその通り。核心を突かれている。怖くなければ、別に幸せになんてなれなくても、自由になれなくてもただ単純に生きていればいい。それだけだ。

幸せを求めるのも、自由を求めるのも、やりたいことを見つけるのだって。

生きていることが怖くなければ、どうだっていいことだったんだ。

彼女は震えてた。何度も何度も震えてた。たった一人で。体を震わせながら必死に耐えていたのだ、生きる怖さに。その支えがなくなるなんて恐ろしい。生きていくことより恐ろしいことなんだ。

雨の中、彼女はまた震えだす。どの時よりも、一番暗くて寒い狭い場所で。それでも猫がいた。名前のない猫といっしょに震えることができたのだ。ネズミではない男の人と猫といっしょにいることができたのだ。

彼はきっと幸せになる。猫はきっと幸せなる。彼女はきっと、幸せになる。

自由と引き換えに。多分、つまらなさを手にして。
彼女への期待がまた、彼女を苦しめる。

彼女はきっと幸せになる。









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