マガジンのカバー画像

マノミコト

88
こころのおくのほう。毎日更新。     マルハダカ。
運営しているクリエイター

2021年7月の記事一覧

2021/7/30 「思うこと」

伝えたいことがある。「思うこと」がこんなにも私の近くに居座るのは、決して私の意志ではなかったということだ。 「思うこと」が私の両肩を抱いて少し後ろに立っている。私の外側にいて、その手を放そうとしてくれない。がっしりとこの身を捕らえ掴んでいる。 けれど嫌な感じはしない。二人で一つ、たまたま目に映る存在が私であっただけ。生きることというか、何かを成し遂げようとすることに熱があるのはむしろ彼の方で。私はただその力に押されているだけ、という感覚だ。 なぜ、この世界の地に足を着け

2021/7/26 「月見る夜」

実はあの前日の晩、私は月を見ていた。いつもは見ない場所に光が真っすぐ差し込んでいて、不思議に思い、月を見たのだ。まん丸で大きくて、月の光にはめずらしく強さを感じた。 満月か、と思っていたのだ。カーテンの隙間から窓を覗いて上を見て。前日の晩は一人だった。 深夜の。自分が放つ音しか聞こえないこの時間に、普段は見られない光を見つけ、興奮していた。薄青い光が白壁に沿うようして屈折し現れるあの空間。身近なところに存在した神秘さの味わいは舌に残ってしまう。 だから、今日が満月だと聞

2021/7/21 「フラット」

この雑誌はカタカナがよく出てくるなと毎回思う。暗闇に光を落とせばすぐ消えて。また落としたと思ったら、またすぐ、暗闇に戻っていく。そう、いうなればホタル。カタカナがホタルのように一つ一つの文章の中に潜んでいて、私は毎回、アッ!アッ!と光の誘いにまんまと乗っかってしまうのだ。 わざとだと思う。多分、距離をとるために。文字が文字としてそこにある。 文章を書いていると、ここぞ!という時に妙な力が入る。伝えたい私からのメッセージに、良い言葉とか美しい言葉を多めに、そして大胆に。「見

2021/7/17 「初心」

思って、感じ取ることが好き。面白い見方、私なりの見方は要らない。相手の本当の一部分に近づけたらそれが一番良い。これ以上の嬉しさはないのである。 「本当」に指先で触れてみたい。掌全体ではなく指先で、皮膚に触れないよう産毛だけにタッチしてみたいのだ。「本当」はきっと青い炎だ。それを守るのが皮膚で、産毛は何だろう。守ることはできないが、体温を保つために外側から柔らかに包み込むのがそれだろうか。 汚い外界の空気に全面が触れ「守る者」や「本当」が腐ってしまわぬよう、無数の仲間と、高

2021/7/12 「鋭さ」

愛が重いほど、その愛は鋭さを増して心に突き刺さってくる。突き刺された一点から涙が溢れ出るのは当然のことだ。相手は泣かせてしまった、傷つけてしまったと思ったかもしれない。でもむしろ、今は物凄く光栄なことで。それくらいの愛を受け取れるのと同時に、吐き出してしまいたいほど膨れ上がった愛を外へと自然に流してくれた。 涙が出るのは、ある沸点に到達した時だと誰かのインタビューで見た。沸点が低すぎるのか、常に沸点に近い位置で留まっているからか。どちらにしたって、とにかく沸点にたどり着く回