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続:恋愛技術
はじめに
古代ローマの詩人プブリウス・オウィディウス・ナソ(紀元前43年~紀元後17年または18年)は”Ars Amatoria”という本を著しました。時代で言えばパクス・ロマーナと呼ばれていた頃です。
この”Ars Amatoria”は邦訳すれば『恋愛技術』『恋愛指南』でしょうか。タイトルでは『恋愛技術』としましたが、岩波文庫では『恋愛指南』と邦訳されているので本記事ではこちらを記載することにします。
オウィディウスは『変身物語』の方が有名です。世界史の授業で一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。蝋で固めた翼で太陽を目指したイカロスの話とかが書かれているやつです。
この本は全3巻(岩波文庫では一冊の本にまとめられています)から構成されており、訳者である沓掛氏の解説文を抜粋すれば各巻のタイトルはこのようになります。
第一巻「男はいかにしてこれという女を見つけ、ものにするか」
第二巻「ものにした女をいかにして保持するか」
第三巻「女はいかにして男を籠絡するか」
前回記事は第一巻の紹介でした。本記事は第二巻の紹介です。『恋愛指南』の詳細な紹介については前回記事をご参照ください。
前回記事
※2400文字くらい
本編
君は自分からすすんで、日傘の骨を開いて彼女にさしかけてやりたまえ。自分からすすんで、彼女の行くところ雑沓の中に道を空けてやりたまえ。
以下、座る場所は綺麗にしろよとか、自分の手がどれだけ寒くても彼女の手は温めろとか、待ち合わせ場所には約束の時間より早く着けとか、彼女に会いたいと言われたら直ぐ行け、などと続きます。
怖いわ。これ本当に2000年前の本か?
なお、日傘をさす行為などは本来は奴隷がやるものなのですがオウィディウスは「恥と思うかもだけど楽しいよ♡」「ヘラクレスだって女に尽くしてたんだぜ。気にすんな」とフォローも欠かしません。
恋愛は戦いの場である。
どっかで聞いたフレーズですね。
![](https://assets.st-note.com/img/1686455242277-7yVbJFogVX.jpg?width=1200)
『かぐや様は告らせたい』か?2000年以上前に既にこのワードが出ていたことに驚きを禁じえません。
ちなみにラテン語では”"Millitae species amor est.””と書きます。最初の””Millitae””は第一変化名詞の単数属格-aeです。””est””は不規則動詞””sum/esse””の直説法・現在3人称単数です。
よって本文は「戦いの/場(所)/恋愛は/である」となります。こんなん覚えてるの地球上で800人くらいしか存在せず、語っても「はぁ…」にしかなりませんけど(大学でラテン語を履修していて久々に実利を得た)。
閑話休題。次いきます。
意中の女性には値の張る贈り物をせよ。などと私は言いはしない。ちょっとしたものでいいのだが、ちょっとした品で、これぞぴたりというものを抜かりなく選んで贈るがいい。
怖いわ~~~。また書きますがこれ本当に2000年前の書物か???つまり相手のことをよく見てプレゼント選べということでしょう。
さらに「マメに贈り物して、ちゃんと君のこと忘れてないよってアピールしろ」とか「詩なんて贈っても意味ねーよ。プレゼント渡せ」とも書かれています。
ただし「女性から詩をプレゼントされたらめっちゃ褒めろ。奴隷に大声で朗読させろ」とあります。この辺の事情は勉強不足のため不明ですが、平安時代のように恋の気持ちを送る文化があったのでしょうか。詳しい人いたら教えてください。
余談ですが少し前に万葉集に関する本を読んだのですが、人妻に恋心を抱く詩が多すぎてビビりました。なんか全世界的に人間の考えることって同じなんですかね。
私は村上龍の「人妻は相手にするな。既に男から色々与えられているのになんで追加でこっちが与えないといけないんだよ」って意見が好きです。私は結婚すらしていませんが…次。
だが、君がどんな人物であろうとも、女を引きとめておこうとの心配りがあるのなら、その美貌に身も心も奪われているのだと、思い込ませることだ。
この後に色々書かれていますがつまり「彼女の服はめっちゃ褒めろ」とオウィディウスは記しています。ご丁寧に「下着姿なら”めっちゃ燃えてきた”と言ったほうがいいよ」「風邪ひかないようにと心配しろよ」とも。これは少し臭過ぎる気もしますが。
「そんなん口だけ褒めても仕方ねーだろ」と思うかもしれません。オウィディウスは「ちゃんとマジでそう思ってる風に言えよ。適当に言ってると見破られたら信用失うから」と最後に述べています。こちらの考えは全部見通されています。
私の友達はデート中に彼女のマスカラとかネイルとか靴とか褒めまくったところ「今日は少し変えたんだ!全部気付いてくれて嬉しい!」と言われて「これ気付かなかったらヤバかったな…」と思ったと言っていました。
古代ローマ時代もこういう男女のやり取りがあったのでしょう。もう現代人との違いなんてスマホ使用しているか否かでは?
欠点はもっともそれに近い美点で隠してやるがいい。
太っていたら豊満だ、痩せていたらスラリとしている、など。言い方を変えたら欠点も和らぐということ。僕はこの言葉がすごく好きで気に入っています。
相手の欠点を見つけたりら、それを言語化するよりも、相手のことが好きなら「誉め言葉」に変換したほうが人間関係的にも長続きするでしょうし。知らんけど。
おわりに
第三巻「女はいかにして男を籠絡するか」については気力が無くなったので触れません。気になる方は是非『恋愛指南』をご購入ください。なんか「経験豊富な男とウブな男で対応ちゃんと分けろよ」とか書かれています。
脱線しますが最近は『正反対な君と僕』を読んで「○にてぇ~~~」となりました。
ウーマンエキサイトのモラハラ夫図鑑を読んで心を整えようと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
以上
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