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不条理な恋愛ゲームから降りたかった28歳のわたしの選択

生まれてから20代半ばくらいまでは、自分だけの人生を生きてたはずだった。それが20代も後半にさしかかると、だれかと生きることが当然と言わんばかりの空気を感じるようになる。それが周囲からなのか、世間からなのかはわからない。もしかしたらどちらもかもしれない。
そんな空気に飲まれて、一人でいるのがまるでおかしいような感覚がしてくる。ただ生きてるだけなのに。わたしは20代後半が一番生きづらかった。

26歳のわたしには、7年付き合っている彼氏がいた。しかし、結婚目前での破局。わたしの若くて輝かしい時代は全て彼に捧げてしまった。
後悔はなかったが、この微妙な年頃でフリーになるのはいろいろと考えてしまうものがあった。「もう若くない」と言われる年齢。だが、何かを諦める年齢ではない。十分すぎるほどに若い。
長い恋愛が終わったことだし、ここは新しい恋愛をたのしもうと思った。今ほどメジャーな存在ではないマッチングアプリで恋活をしたり(当時は真面目な気持ちしかなかったので、omiaiだった気がする)、試行錯誤したりした。

マッチングアプリでの恋愛はうまくいかなかったが、予定調和のように次の交際相手が現れた。元夫である。
高校の同級生で、10年ぶりの再会だった。怒涛の勢いで付き合うこととなり、付き合った翌日には「結婚したい」と言われた。わたしの一人暮らしに彼がなだれ込む形で半同棲も始めた。わたしはとにかくハッピーだった。
彼のことは大好きだったし、結婚以外考えられなかった。絶対に彼と結婚したいと思った。予定よりは遅れてしまったものの、28歳には結婚ができた。
だが結婚生活はうまくいかず、30歳には離婚が成立した。昨年の話だ。好きな人とはいえ、人との暮らしがここまで自分に向いていないとは思わなかった。持病はどうにもならないほどに悪化し、絶望的だった。

結婚して半年ほど経ってから、わたしはなぜそこまで結婚がしたかったのかを考えた。
好きな人と安定した愛のある暮らしをしたかったーー嘘ではない。安定したかったのも本当だ。だが、もともと結婚願望があまりない自分が結婚したいと思った強い原因の根底には、7年の交際と破局があった。
初めて結婚したいと思った人と結婚できなかった辛さ。不確かな恋愛をもう懲り懲りだと思った。恋愛市場からの撤退をつよく願った。この不条理な恋愛ゲームから降りたい。問題が起きる度に交際継続の可否を検討しなければいけない、神経を擦り減らすこのゲームから降りて、結婚という契約を結びたい。そしたら好きな人と安定した生活をして、幸せになれるんじゃないかと信じた。いや、信じたかったんだと思う。

だが、現実はそうはうまくいかない。おそらく恋愛に適性があるように、結婚にも向き不向きがある。わたしは圧倒的に向いていない。端的に言うならば、神経質であるからだ。また健常者では理解できないような精神疾患特有の傾向がいくつもあるからだ。ふつうの人(ここでは何かしらの病気に罹患してない人を指す)だって結婚生活を継続させるのは難しいのに、自分にはあまりにも問題がありすぎだった。

個人的な動機や問題を憂うことは簡単だが、振り返ってみるとやはり感じることがある。その当時の自分の皮膚にまとわりつくような空気感である。20代後半の時に感じた生きづらさ、息苦しさが確実にあった。
少なからず年齢について言及してくる人もいた。若者に年齢で難癖つけてくる輩というのは、他に言うことがないから言ってる場合が多い。若者であったわたしは、年長者に敬意を払ってありがたくお言葉を傾聴していたが、今となってはほとんど意味のない言葉だったなと思う。大体の人は自分より少し長く生きてしまっただけだ。だから20代後半の若い女性が、呪いのように「もう若くないんだから」「結婚しないの?」と言われることに無性に気分の悪さを感じる。「お前に関係ないだろ」ーーこの一言に尽きる。言える相手には言ってほしいくらいだ。
どうかこれを読んでる人は負けないでほしい。結婚なんてしたけりゃすればいいし、したくなければしなきゃいい。人からとやかく言われるものではなく、自分で決めるべき問題なのだから。


ちなみにわたしは結婚したことも離婚したことも、結果的にはよかったと思ってる。わたしは“コレ!”と決めたらやらないと気がすまない性格だから、いい学びになった。不名誉なバツはついてしまったが、わたしの人生にまでバツがついたわけではない。
わたしは失敗してもなお結婚っていいものだと思っているし、いつかまたしてみたいとも思う。一人で生きる心地よさを知ってしまったから、しばらくはいいけれど。なんなら今は不条理恋愛ゲームをたのしみたい心境。

30代になってからのほうが気分がいいと感じる、今日この頃である。


おしまい


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