地域について学ぶことは「学び直し」「学び増し」に適している!
はじめに
今回の『J NOTE』は、日本経済新聞とnoteの共同企画である「#私の学び直し」をテーマにして書いていきたいと思います。
私がこれから書く話は、あくまで教養や自分自身の考え方を広げるために「学び直す」という話です。何か学位や資格を取るために学び直したいと考える人には、あまり向かない話になってしまうかと思いますので、あらかじめご了承ください。
さて、私がこのnoteの記事を通じて言いたいことはタイトルの通り、地域について学ぶことは「学び直し」「学び増し」に適しているということです。
とくに高校や大学で学んだことをもう一度勉強したい、そこに+αで知識を得たいと考える人にとっては、「地域学習」はまさにぴったりな勉強テーマだと思います。また、今住んでいる場所と違うところで第二のキャリアを探したい、地元にUターンしたいと考えている人にとっても、地域学習は情報収集にもなるので本当におすすめです。
では、なぜ地域学習が「学び直し」「学び増し」に向いているのかについて、私なりの考えを述べていきたいと思います。
地域について学ぶことが「学び直し」「学び増し」に適している理由
私が地域学習を「学び直し」「学び増し」に適していると考えた理由は主に3つです。
理由①:「学びのテーマ」が身近にある
1つ目の理由は、「学びのテーマ」が身近にあることです。
地域学習はその名の通り「地域」を学ぶわけですから、必然的に自分の生活に身近なものを学ぶことになると思います。つまり、勉強の取っかかりが身の回りにたくさんあるため、学習を気軽に始めやすいといえるでしょう。
また、「SDGs」や「カーボンニュートラル」などの世界共通の目標から地域学習を始めるのも手です。その共通目標に対して、私が住んでいる街や都道府県はどう考えているのだろう?と考えると、おのずと学習のテーマが見つかるのではないかと思います。
例として、愛知県では「SDGs」や「カーボンニュートラル」には以下のように取り組んでいます。
そのため、普段の生活の中で興味関心を持ったものを、そのまま学びに繋げやすい点が地域学習のメリットであると思います。
そして、地域学習には様々な分野があります。地域経済や地域政策をはじめ、福祉、観光、行政……など、地域学習は人文社会科学系の数多くの学問分野にまたがっています。
よって、どこかで必ず自分にあった学びのテーマを見つけることができるのではないかと私は考えています。
(下の「文科細目表」では、全ての学問が一覧になっています。)
理由②:先行研究が見つけやすい
2つ目の理由は、「先行研究」が見つけやすいことです。
学問を本格的に学ぶには、やはりそれ相応の参考書や専門書が必要となりますが、地域学習の場合はそのような本を簡単に入手することができます。
例えば、公立図書館を利用する方法です。都道府県立の公立図書館には数多くの専門書が所蔵しており、ここ20年の間に刊行された専門書であればほとんど置いてあります。また、住んでいる地域の問題について勉強するのであれば、市町村立の図書館に所蔵してある専門書でほぼ事足りてしまいます。
また、CiNii(https://cir.nii.ac.jp/)で論文を検索することもお勧めします。学術雑誌にしか収録されていない論文を探すことができますし、なかにはオープンアクセスジャーナルとして無料で公開されている論文もたくさんあります。ただ、検索したワード次第では膨大に論文がヒットしてしまうため、ある程度勉強したいことが固まってきてから検索することをお勧めします。
理由③:学びを実感しやすい
そして3つ目の理由は、学びを実感しやすいことです。
地域学習を行うことで、政治や地域のニュースや社会問題に対する理解度がいっそう深まります。そして、理解した実感があると、勉強をしたという満足感を得ることができます。
「いや、メリットが少ない!」と言われてしまうかもしれませんが、勉強によって得たこの実感と満足感は非常に重要です。それこそ、資格勉強など他の学びへの意欲にもなりますし、普段の生活のモチベーションも上がります。
以上が、私の考える地域学習を「学び直し」「学び増し」に適している理由です。学びへのハードルが高くなく、そして学びを実感しやすいところが地域学習のメリットだと私は考えています。
しかしその反面、地域学習には勉強するうえで注意する点もいくつか存在します。
地域について学ぶときの注意点
注意①:地域学習に正しい答えはありません
まず1つ目の注意点は、地域学習に正しい答えはないということです。
小学生から高校生の勉強では、採点をしなくてはならないため1つの答えにたどり着く設問が多いと思います。しかし、地域学習をする際には「正しい答えは出てこない」ことを念頭に置いて勉強したほうがよいでしょう。
例えば、市議会で「歳出はどこを一番削減すべきか?」という議題があったとしたら、党派や議員によって意見が大きく分かれるかと思います。議員の間で議論が交わされ最終的に予算案を可決することになりますが、果たしてその予算案が本当に最善だったのかは誰にもわかりません。
そのため、地域学習をしても「たった1つの正しい答え」は出てきません。よって、真実を知りたいであったり、必ず正解を見つけ出したいという気持ちで地域学習をすることはおススメできません。
注意②:1つの思想にこだわらないこと
2つ目の注意点は、1つの思想にこだわらないことです。
勉強のための資料やデータを集める際に、自分の都合のよいものばかり集めることは大変危険です。自分自身の考え方や視野が広がりませんし、かえって陰謀論などを信じやすくなってしまう危険性があります。
また、地域政策や福祉などを勉強する際には、どうしても政治思想が絡んできてしまうことがあります。そのため、1つの思想にこだわらずにあくまで中立的、かつ客観的な視点から勉強をすることをおすすめします。
以上の注意点に留意して、「学び直し」や「学び増し」に取り組む必要があると私は考えています。
おわりに
これまで、地域について学ぶことが「学び直し」「学び増し」に適しているという話をしてきました。また、地域学習を行う上での注意点もいくつか述べてきました。
地域について勉強することは本当に楽しいと思います。私も観光や地域行政について勉強することが楽しくてしかたがありません。
読者の皆様も「学び直し」「学び増し」をするときは、ぜひ「地域学習」も候補に入れてみてください。
たくさんの学問分野の中から、きっとあなたが学びたいものが見つかります。