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思考

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前頭葉を使ってかいたので、読んでくださると嬉しい。
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#小説

燃

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一枚の紙を燃やしている。部屋に燃やした後の独特な焦げ臭い匂いが漂う。少し息苦しく、少し心地の良いそんな匂いが。

あたしは死ぬべきである。

大切なものを、人を、失いながら、壊しながら、亡くしながら、この世界に存在する意味など有るのだろうか。

「XXXXXX」

そんな言葉を、人間は何を根拠に、誰も予知できる筈のない未来を解いているのか。

約束など馬鹿馬鹿しい。叶う筈など無いのだか

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浴槽

浴槽

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人間は理想ばかりを求める。あれが欲しい。これが欲しい。使えないものは捨てる。使わないものは買わない。自分にとって不利益かつデメリットになるものならば回避することで収める。自分の事しか頭にない人間は得をする。損得勘定がしっかりしていて、他人のことなどすぐに裏切ることができるから。社会の地位もお金も権力も自己中心的に考えられる人ほど手が届くものだろう。情に流されずしっかりと自分を持って自

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無知は愛である

無知は愛である

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曇り空の下で僕は問う。

「愛ってなんだと思う?」

君は言った。

「辞書で引いたら?」

「冷たい、少しは考えてよ。」

「……」

スマートフォンの明かりがついた。

「個人の立場や利害にとらわれず、広く身のまわりのものすべての存在価値を認め、最大限に尊重して行きたいと願う、人間本来の暖かな心情らしいよ。別に深く考えることじゃないんじゃない?」

最も。そんな哲学的な話、前頭葉をフ

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救済

救済

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息をすることさえ苦痛な人生だった。毎日何かに追い詰められている感覚を覚えては、深夜に虚無感で潰されて涙を流すのにはもう慣れていた。

一人で部屋に閉じこもり、嗚咽で呼吸が出来なくなりながら自問自答を繰り返していた。

「存在価値が無いのにどうしてまだ生きているのだろうか。怖いから?痛いのが嫌だから?親族に迷惑をかけたくないから?」

痛みはもう感じられないほど感覚を失っていた。怖さ

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