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つながることの安心感。



抜糸

 術後7日目の夕方、処置室に呼ばれて主治医に抜糸をしてもらいました。痛みはほとんどありませんでしたが、処置されている部分がまったく見えないのがやっぱり怖かったです。私の顔がこわばっているうえに身動きひとつしないので、看護師さんが声をかけてくれていました。抜糸後、朝の採血結果について主治医から聞きました。「副甲状腺がしっかり残せたので、カルシウムを補充する薬は少しずつ減らしましょう。」とのことでした。薬が減って、少し嬉しかったです。抜糸後初めてのお風呂はドキドキ。泡で優しく傷口を洗えば、特に痛みは出ませんでした。

伝えてつないでくれる人

 抜糸の後に日勤の看護師さんが部屋に来てくれました。心の調子も考慮して診断書を出せること、「最初から仕事に遅れてしまう方が不安なのではないか。」と主治医は考えていることを教えてくれました。
 何となく、相談したいことを主治医にうまく伝えられないままこの日まで来ました。私はゆっくりじっくり考える癖があります。大切なことであればあるほど、話を聴いた後に自分の中で消化してから考えを伝えたいのです。考えるのに時間がかかるので、主治医と話せる限られた時間では言いたいことを上手にまとめられないのかもしれません。なので、関わる時間が長い看護師さんにしっかり話して主治医に伝えてもらう方が私は楽でした。

緩和ケア認定看護師さん

 そして、気持ちについて聴いてくれる専門の看護師さんが部屋に来てくれました。笑顔が柔らかくて明るい雰囲気のベテランさんで、彼女は緩和ケア認定看護師さんでした。お願いしたその日に来てくれるとは思っていなかったので、びっくりしました。退院日が決まって時間がなかったので、すぐつないでもらえて本当によかったです。
 万全でない状態で働くのが不安なこと。家族にうまく気持ちを伝えられないこと。声が思うように回復しなくて、退院後の生活が不安なこと。不安について話しているとまた涙が出てきました。お風呂の時間が迫っていたのでゆっくり話せませんでしたが、相談先がひとつ増えたことが安心感につながりました。認定看護師さんから聞いて知ったのですが、「いち香さんの様子が普段と違う。いつもニコニコしているのに、今日は表情が暗い。退院も近いしどうしよう。」と日勤さんが慌てた様子で連絡してきたので飛んで来てくれたそうです。私ひとりのために一生懸命動いてくれた人がいるのが嬉しくて、ありがたくて。泣いたり笑ったり忙しかったです。

 この日は、抱えている不安を看護師さんへ具体的に伝えるという小さな一歩を踏み出せた日でした。このときに伝えられていなければ、不安が解消されないまま退院していたかもしれません。
 色々な人に動いてもらえるのは、退院まであと1日。解消されているようでされていない不安を抱えたまま、静かな夜を過ごしました。


▽ 続き

▽ まとめ


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