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ドレーン卒業。



術後4日目

 術後4日目の朝。トイレに行った後、手を洗っているときにふと鏡を見るとドレーン周りのガーゼに少し血がにじんでいました。傷の少し下にドレーン用の穴が開けられているのですが、そこを被っているガーゼが赤くなっていました。
 寝ている間にドレーンを引っ張ってしまったのかも…。
 ドレーンが抜けていたらどうしよう…
 不安になって、病室に帰ってからナースコールを押しました。来てくれたのは男性看護師さん。とても気さくな方なので、自分の中では「お兄さんナース」と呼んでいます。首元を見る前に「女性の看護師の方がいい?」とわざわざ聞いてくれました。私からしたら気にする場所ではないので、そのまま見てもらうことに。
 ガーゼとドレナージポンプ内の血を見て、血腫ができていないか触診をして、大丈夫そうだと教えてくれました。ドレーン周りは軽く糸で留めているけれど、日が経つと糸が緩んできてガーゼに血がにじむことがあるそうです。ガーゼに染みた血も、ドレナージポンプの中身もカスカスなので大丈夫だろうとのことでした。丁寧に見てもらえて、安心しました。
 この日の日勤さんは、私の受け持ち看護師さんでした。「ドレーンによる痛みがつらい。」と伝えると、術後すぐに取ったレントゲン画像を見せてくれました。ドレーンは手術部位から上に向かって伸びていて、先端は顎の近く、鎖骨の7cm上くらいにありました。こんなに長いものが入っていたら、痛いはずです。ポンプにほとんど血液が入っていないのでドレーンを抜けないか看護師さんが主治医に交渉してくれましたが、ドレーンを抜くのは予定通り次の日、術後5日目になりました。

術後5日目

 ついに、ドレーンを抜く日を迎えました。ガーゼに血のにじんでいる範囲がじわじわと広がっていましたが、問題ないと言われました。「午前中にドレーンを抜くので病室にいてください。」と指示があったので、呼ばれるまで待っていました。
 呼ばれたのは11時ごろ。病棟内にある処置室に行って、ドレーンを抜いてもらいました。首元を触られるので処置中は何をされているのか見えず、怖さ倍増です。痛いか痛くないかの予測もできません。看護師さんによって保護フィルムが剥がされた後に、主治医がドレーンを抜きました。ドレーンを抜くときは、抜かれたのが分からないくらい痛みがありませんでした。むしろ、ドレーン周りのガーゼとテープを剥がすときの方が痛かったです。ドレーンを抜いた痕には大きな絆創膏みたいなものを貼るだけ。これで、ドレーンともドレナージポンプともさよならです。とても身軽になりました。

 異変が起きたのは、病室に帰ってすぐでした。ドレーンを抜いた直後は何もなかったのに、突然気分が悪くなりました。頭から足に向かって血液が一気に下りているような感覚で、喋るのも難しい感じ。「もしかして血圧が下がっているのでは?」と気づきました。何度か同じような状態になったことがあったのです。とりあえず横になって、慌てて足を上げて。ナースコールを押すか悩みながら横になっていると、話せそうなくらいには回復してきました。ナースコールを押すべきか、余計に悩みます。悩んだ末に看護師さんを呼んで気分が悪いことを伝えると、「ドレーンを抜いた刺激で気分が悪くなったのかもしれない。」と言われました。お昼ご飯が来るまでうとうとして、頑張ってご飯を半分くらい食べて、また寝て。2時間ほどゆっくり休むと復活しました。
 「体調が良ければ入浴可能。」と主治医から許可が出たので、さっそくシャワー室の予約を取って入院日以来のお風呂に入りました。頭を満足に洗えて、さっぱりしました。夜ご飯には、お粥食だったために食べ逃したイチゴが付いていて幸せを噛みしめながら食べました。このときは、次の日から気持ちががくんと落ち込むなんて思ってもいませんでした。


▽ 続き

▽ まとめ


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