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ようやく日本のもの魅力に気づいた私がこれからやりたいこと|宇治探訪記


ずっと憧れはヨーロッパだ。なんだか古くさくて地味な日本のものよりも、華やかでモダンなヨーロッパに憧れがあった。
というのも、私自身がthe日本人顔で、地味なことにコンプレックスがあったからかもしれない。長く住んでいた街が少なからずヨーロッパに影響を受けているからかもしれない。わからないけれど、何せずっとヨーロッパの憧れがあった。

でも、最近はヨーロッパ要素もほしいけど、日本のものを知りたいと思うことが多くなった。日本に根差しているものの魅力に気づき始めたようだ。私が思っていた古くささを感じてしまうような伝統的なものとは違ってどんどん現代の暮らしにマッチするようなもの、例えば器やホテル・建物になんかに落とし込まれている。そういう発見がおもしろい。


和のものが好きな友人とこの前宇治に行ってきた。
最後に行ったのは3年ほど前。そのときは日本らしいものにちょーーっと興味が出てきたくらい。京都の中心部とはまた違った落ち着いたのんびりした雰囲気がいいな~~と思った記憶がある。

お昼に行きたいね~と言っていた中村藤吉本店のランチに。早めの10:30に待ち合わせしていたのにも関わらず、既に大行列だったのが人気の高さを伺える。
明治29 年築の本店、旧焙炉場を修理改修した店内には煎茶、ほうじ茶だけでも使いやすいティーバッグもあればスイーツもあって、パッケージもモダンだ。新茶の季節だったようで「どうぞお試しください」と渡されたお茶は淡くすきっとした緑色で、いつも飲む緑茶と違ったみずみずしくもぐっと苦みがあった(味音痴でうまく表現できず…)。

期間限定の茶そばは絶品。細目のお蕎麦に汁が絡んでめちゃくちゃ美味しい。ぱりぱりなのはお茶


そんな中村藤吉は安政元年に創業されたらしい。1854年と言われてもぴんとこないが、ペリーが来航し日米和親条約を締結した年だ。歴史の教科書で出てくるような時代に創業されたお店が170年もここにある。
伝統や歩んできた歴史を守りながら、好みも生活も大きく変わった現代人に合うように変化を遂げて、長い間その場所で営みを続けるというのは私の想像の範疇を超えている。

ただただ伝統が~とか歴史が~とかではなく、ふらっとお店に入っても魅力的で、調べてみると大きな歴史があったみたいな、さりげなさが私みたいな世代には合っているのかもしれない。


打って変わって、世界遺産の平等院鳳凰堂は厳かだ。
藤原頼通によって創建されたその建物は修繕を繰り返しながらも確かに目の前にある。

私が行ったときに中学生の団体と会ったが、校外学習の王道コースと言っても過言ではない。ただ学生のときにはその良さはわからず、ただただ教科書で出てきたところだと思うまでなのがオチな気もする。今であると当時にこのような建物を作り上げることに感服するし、彫ったとは思えない仏像の細かさや鮮やかな彩色は溜息が洩れるほど美しい。
これらには現代的な親しみやすさはある意味不要で、当時の人がつくり上げたものの美しさを堪能するだけでいい。逆にそれを楽しむことができなかった、魅力に気づけなかったから、少し前の私は日本のものに「古くささ」を感じ、もっと親しみと憧れが入り混じったものに惹かれていたんだろう。


外国の人が多く日本にやってきているという話をを何度も耳にするようになり、街には明らかに旅行に来ているんだろうというこの1,2年で見かけなかった風貌の人たちが多い。テレビの向こうの人たちはみんな口を揃えて日本のおすすめ場所やいいところを語っている。「来たい!」と思えるような場所であることが嬉しいし、私たちが知らない魅力を彼らは知っている。
あまりにもディープなことを知っていたり、彼らの方が日本愛が強かったりするとなんだか悔しい。

確かに京都や奈良、金沢などの職人が手掛けるものや風景、文化は日本らしさがあっていいなと思う。表面上の美しさ、風情だけでは感じられない奥ゆかしさというものはそれぞれの背景に詰まっているのだろう。なかなか興味を持たなければ知ることもない。
また、伝統と歴史などずっと受け継がれているものと、私を同じ世代が魅力に感じる利便性やモダンなものが融合されたプロダクトも数多くあることも最近知った。そんな身近に感じられる自国のものは、住まう土地由来のものだからか暮らしに寄り添い馴染みあるものだなと感じる。

私が生活する家もそんな感じだ。
日本のものとフランスや北欧のものが融合する部屋、古いものと新しいものが行き交う空間、そんな何でもアリな場所だから新たなことに気づく瞬間も多くある。

これからもっともっと日本のいろんなものたちを知って、まだその魅力を知らない人たちへ、もっと知りたい人たちへ、私というフィルターを通してつなげられたらいいなとぼんやり思った日だった。


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