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残像日記4

七月某日

フィリップ・フォレスト『さりながら』を読む。小林一茶についての話が暗い。しんどいと思いつつ惹かれるものがあり、読むのをやめられなかった。

露の世は 露の世ながら さりながら

「さりながら」はフランス語のcependant[とはいえ]にあたるそうだ。フィリップ・フォレストと小林一茶は、子どもの死という共通点がある。

七月某日

パク・ソルメ『未来散歩練習』を読む。過去に起きた歴史に残る事件を、今現在も「自分事」として考え続けることは易しいことではないと思うが、軽やかな語り口と毎日の生活に組み込みながら描かれていて、好きな作品。みんなよく食べよく飲む。

七月某日

青野暦『冬の森番』を読む。堀江敏幸を父にもつ画家の堀江栞さんの表紙につられる。「トゥー・マッチ・ハピネス」「ノヴェンバー・ガール」「お見舞いの日」「『すずむし』と反省」何度も読む。

七月某日

はじめての花火大会に行く。五年ぶりということで人が多いのか、いつもこのぐらいなのか、よくわからないまま中心地からひたすら右手に行く。水中花火というものをはじめて見る。切れ目なく打ち上がる花火を、わたしの脳が受け止めきれなくなっている。いい具合の年齢になってきたなあと、しみじみ思う。






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