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オーストラリア2400km自転車旅17日目後半🚴‍♂️

17日目後半 「盗難」

夜の1 0時頃、カーラッサRHにようやく着いた。
これでパースまでの3分の1走った!
驚いたことにそこには人がたくさんいた。
ちょうど長距離バスが休憩をとっていて、たくさんの観光客のカラフルな服装をみると変な気分がした。
おとぎの村とは正反対で、現実を見た気がした。晩飯に持っていた缶詰を食いたかったが、間違えて缶きりが必要なやつを買ってしまっていたので、それを借りるためレジに並んだ。
レジにはオーストラリアでは珍しく列ができていた。俺の容貌は、バス旅行者達の中でかなりういていた。近くに日本人の女の子達がいた。あのバスで旅行しているのだろう。
彼女達は何かこそこそ話をしていたが、丸聞こえだった。
「ねーあのひと日本人?」
「いやーインド人じゃん!?」
「(えっ!?インド人? )」と思った。別にそれが嫌という意味ではなく。
バツが悪いなーと感じ、とっとと缶切りを借りてその店を出た。結局俺は何人ってことに落ち着いたんだろう?そんなことを考えながら芝生の上で缶を開けるのに悪戦苦闘していた。なんとか缶詰を開け、食べて、足を揉んだ。
3分の1走ってこれた・・・足たちにありがとうを言った。
それから缶切りを返しにいった頃にはすっかり静かになっていた。もうバスも出発したのだ。ショップの中に貼ってある地図を見ながらこれからどうするか考えた。
次のRHまで90キロ、時間帯としてはまだまだこれから走り時だが、すごく疲れた。
今日の暑さは普通じゃなかった。
眠かった。とりあえず少しここで眠っていこう、と思った。
ここのRHにはアコモがあった。ちょっと惹かれたが、もう屋外で寝るのも慣れたし節約しようと思い、アコモの手前の芝生の上にマットを敷き、いつものように横になった。
ここでケチってアコモをとらなかったのが、失敗だった。
ちょっと寝るつもりでいつものように貴重品を入れたバッグを枕にし、目をつぶった瞬間に眠りに落ちた。

・・・・・・・・・・

しばらくして目が覚め、リュックの中から腕時計を取りだし時間を見ようと思った。手探りで頭付近を探したが、カバンがない・・・
あ、あれ、おかしいなぁ
・・・どっかに蹴飛ばしたか?と寝ぼけながらあたりを見回した。あれ?やっぱりない・・・
寝起きの頭が状況を理解するのに時間がかかった。
「・・・・・盗られたっ!」
石で頭をどつかれたように一気に目が覚めた。
相棒は!?すかさず自転車に目をやった。相棒はしっかりと柱にロックされていた、、、
・・・良かった、、、がしかしカバン。
バッと腰を上げ必死にあたりを探した。よく見えない。あっ、眼鏡をかけねーと・・・どこだ眼鏡・・・
眼鏡もない!?やられた!うそだろオイ!?
・・・四つんばいであたりをくまなく探し続けた。
ただでさえ視力がないのに暗くてよく見えない。
「チクショーー、うそだろ、うそだーーー」

心の中で何度も叫んだ。
「チクショー ・・・金ならくれてやるよ、
けど眼鏡は、、、眼鏡ないと何にも見えねーじゃねーか。
自転車できねーじゃねーか・・・
いいよ、わかった、眼鏡もくれてやる。
けど時計は返してくれ。それはまずいよ。
時計は返してくれよーー」
涙が込み上げてきた。時計は俺がオーストラリアに発つとき、高校来の親友が皆でお金を集めて買ってくれた餞別だった。
Gショックのいいやつだった。

・・・上を向いた。星空が濁っている。

まいった。。。。。

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