見出し画像

No.11 行動の毒薬「無気力の歴史」2

前回は犬が無気力感を学習するかもしれん....ということを説明して今回は「学習性無気力感」が発見されたエピソードについて話していきます。

前回の「無気力の歴史」のパート1はこちらからhttps://note.com/_genki5/n/n9357fa7f0395

なぜ僕がこの話をするのか?
無気力感というものはメンタルの弱さでも性格の問題でもなく科学的にも証明されている現象だと知ってほしいのです。

衝撃の事実の発覚

不安

大学院生だったセリグマンがなぜ犬が「超えられるはずの柵」を超えようとしなくなったのかを確認するために「とある実験」をしました。

それは30匹の犬を3グループに分けた実験で電気ショックを回避するために隣の部屋に逃げ移るのかという実験です。それぞれどのような条件なのかを確認すると
1つ目のグループは
(i)ハンモックにくくりつけられて
(ii)床から電気ショックを60回ほど与えられた。
(iii)横にあるパネルを鼻で押して電気ショックは止められる。

スクリーンショット 2022-03-15 22.20.36


2つ目のグループは
(i)ハンモックにくくりつけられて
(ii)床から電気ショックを60回ほど与えられた。
(iii)横にあるパネルを鼻で押しても電気ショックは止まらない。

スクリーンショット 2022-03-15 22.20.33


3つ目のグループは
(i)ハンモックは無し
(ii)床から電気ショックを60回ほど与えられた。
(iii)無装着だが電気ショックを受ける

スクリーンショット 2022-03-15 21.20.49

この手続き学習させた後に同じように「柵を飛び越えるか?」を実験しました。その結果どうなったのか....

【結果】
1つ目のグループはほぼ100%超えで柵を乗り越えた結果になり

2つ目のグループは25%で乗り越えた結果になり

3つ目のグループは90%程度で柵を乗り越えた結果となったのです。

スクリーンショット 2022-03-15 21.21.36

この実験で、1つ目と3つ目のグループはほとんどの犬が隣の部屋に回避したのですが、明らかに2つ目のグループだけが大幅に下がっており犬が自ら行動することができるはずなのに自分から行動せずに無気力になったことが証明されたのです。

自らの行動ではコントロールできないことを学習したからであると確信されたのです。このときに「学習性無気力感(learning helpless)」という現象が起こったのです。

ヒトでも証明

またこの現象はヒトでも陥ることが確信されたのが(Hiroto,1974)による実験で大学生の被験者を3つのグループに分けた実験でした。

1つ目のグループは                                                                                                  (i)イヤホンから非常に不快な音を聞かされたが                                                (ii)目の前に置かれた箱にあるスイッチを押すと音を消せる

2つ目のグループは                                                                                                  (i)イヤホンから非常に不快な音を聞かされたが
(ii)目の前に置かれた箱にあるスイッチを押しても音が消えない。

3つ目のグループは特に何もしない。

この手続きの後に3つのグループに不快な雑音を止める課題がそれぞれ同じように与えられました。

【結果】
1つ目のグループは87%の確率で不快な雑音を止めることができ
2つ目のグループは50%ほど
3つ目のグループは89%だった。

スクリーンショット 2022-03-15 21.53.30

やはりイヌのとき似たような結果が出たのです。このことからイヌに限らずヒトも自ら行動することができるはずなのに自分がコントロール不能だと思うと行動せずに無気力になったことが証明されたのです。

スクリーンショット 2022-03-15 21.58.11

とある疑問点

そこから人間を対象にしている「学習性無気力」の研究が進むととある疑問点がでできました。それは、人によって個人差がみられることでした。

そこから研究は進み個人差によって学習性無気力感が発生することが判明したのですが、では一体、どんな人が無気力になりやすい特徴なのか?....        次回、最終章です。お楽しみに!

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?