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#29 「時を戻そう」のその先

【前回の内容】↓

ボナムがしつけ教室に行ってから
沢山の時間が増えた。

増えたという表現は正しいのだろうか。
ただ、ボナムの来る1ヵ月前に戻っただけだ。

もう私はジャック・バウアーにならなくていいし
う○こを喰わせない努力をしなくてもいい。
なのにどうしてだろう、夜中に目覚めてしまう。
居ないはずのボナムを探してしまう。

30年間、ワンちゃんなんて居ない暮らしをしてきたのに
たった1ヵ月で人生のすべてが変わってしまった
もうボナムの居ない生活が思い出せない。

それを思うのは旦那も一緒だった。
最初はあんなにもボナムを毛嫌いしていた旦那が
2言目には
「ボナムは元気でしているかな?」と発している。

時を戻そう!
あなたがあんなにも悪態をついたのは
スキの裏返しだったのかもしれない。

心の中で、私の松蔭寺(ぺこぱ)が旦那に
そうツッコんでいた。

幸いなことに、しつけ教室と自宅は
歩いて行ける距離にあったので
夜の散歩と第して、しつけ教室の周りを
毎日散歩した。

まるでストーカーのようだが、
それだけ深い愛ということだ
By 心の松蔭寺

私たちは、遠くからしつけ教室を眺めては
ひと目でもいいから、ボナムをチラ見出来ないか
何度も願った(実際見れたことはない)

まるで覗きのようだが、
それだけ深い愛ということだ
By 心の松蔭寺

しつけ教室では、週1回飼い主だけのしつけ授業が開講され
そこでボナムの近況を聞いたり
今後どのようにしつけていくかを学んだ。

もちろんその時にボナムは居ないのだが
なにか少しでもボナムを感じようと
床を見渡しては
「もしかして、これはボナムの毛ではないか!?」と
白い毛を見つけて狂気乱舞したり
(実際ボナムの毛かは不明)

すれ違いでも、私はここよ!ボナム、ボナム!
とテレパシーを送って帰ったり
私が来た証として、この部屋に体臭を留まらせようと
我が全体臭よ!! 根を張り、この部屋に留まり続けよ!!」と
黒魔術のような呪文を心の中で唱えた。

まるで呪いのようだが、
それだけ深い愛ということだ
By 心の松蔭寺

どんな気持ち悪い思考をしていても
なぜか心の中の松蔭寺は私を肯定し、
励ましてくれる。
誰も傷つけないツッコミって令和の大発見だと思う。

そんなことをしつつ
しつけ教室のトレーナーさんに懇願し
毎日ボナムの様子を携帯に送ってもらっていた。
その1日1回届く映像が私の癒やしだった。

ボナムは私の生きる理由となっていた。
この命を私は旦那と一緒に
全力で育てるんだ。
戻ってきたら、もう2度とこんな長い間
離れて暮らすことのないよう
今度は自分がボナムを導くのだ。

その一心で、しつけ教室での授業は沢山メモし
メモは更にエクセル化した。
わからないことは、鬼のように師匠(トレーナーさん)に聞いた。
これから先、違う問題行動が起こったとしても
もう2度とうろたえることはないだろう。

時を戻そう。
心の中の松蔭寺が言う。

時は…戻さなくていい。
ボナムを知る前に戻さなくていい。
ボナムを知る前の人生と
知ってからの人生とでは、全く違う人生だから。

真夜中の要求吠えも
紅の血便も
進撃の食糞も

完璧なドッグライフのスタートじゃなくても
ここから前へ進めばいい。

時を戻さずに、すべてを肯定したその先には
また新しい始まりがあるのだからーーー。

サポートしていただきありがとうございます!サポートは全てボナム(愛犬)に還元しようと思います^^