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「ルミナス」第五話(最終話)
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拝啓 田中様
日々厳しくなってゆく寒さの中、田中様はいかがお過ごしでしょうか。こちらはあれ以来母娘ふたりでつつがなく暮らしております。
先日は玲子のリハビリを担当してくださり、本当にありがとうございました。不安定だった玲子の感情もリハビリ以降落ち着いて、最近では夫の仏壇に手を合わせられるようになりました。
玲子は小さい頃からお父さんっ子だったもので、急な病で夫を亡くした当初は私も手を付
「luminous[BB検閲済]」第四話
BBの声が、午前10時になったことを知らせる。外は冬の乾燥して澄んだ空気が流れ、雲ひとつない青空が広がっているというのに、この部屋の空気はまるで地下牢のように重たく苦しいものになっている。
この1か月間、いろんなことを話したし、見てきた。彼女のことをそれなりに知っていると言えるくらいの関係にはなったつもりだった。それなのに、今目の前にいるタダさんの言いたいことだけが、全くわからない。
“……説
「luminous[BB検閲済]」第三話
ずいぶん低い所を通るようになった太陽が彼女を背後から照らし、綺麗な顔立ちだけが薄く陰る。風は相変わらず髪をさらい、白黒の街並みと滑らかに動く髪のコントラストが美しい。
彼女の顔を見つめる。冗談を言っている様子ではない。
「この村がなくなる」とは、どういう意味なのだろうか。取り壊される〈更地にされる〉ということだろうか。しかしこの村は二か月前に始まったばかり。こんなにすぐに取り壊される〈更地にさ
「luminous[BB検閲済]」第二話
この村は、ひとつの社会実験から生まれた。
近年のインターネットの発達により、人々は深く結びつくようになった。もちろん、いい意味での結びつきも増えたが、悪い意味の結びつきが大きな問題となった。違法薬物の蔓延、誹謗中傷による自殺の増加、闇バイトに応募する若者、家出少女の売春。挙げればキリがない〈どうしても、様々な点で至らないことが多くありますね。今後改善されていくことでしょう!〉。
そんなインター
「luminous[BB検閲済]」第一話
(この作品はSNSアプリ「DYSTOPIA」の広義の二次創作にあたる作品です。アプリの責任者である大森氏が二次創作を許可しているため公開していますが、著作権等、公開に問題があると筆者が考えた場合は予告なく削除します。また、筆者はSNSアプリ「DYSTOPIA」のオマージュ元である『1984』を読んでいないことを理解した上でお楽しみください。)
「村民の皆様、おはようございます。本日の天気は晴れ、