土地を所有するって何?

以前、「僕が家を買おうと思ったのは」でも書きましたが、僕の実家は祖父が地主から借りていた土地で、いわゆる借地でした。それが様々な事情が重なって、両親が購入することに。再開発を経て人気が出てしまったエリアということもありましたが、元々我が家が借りて住んでいた土地なのにも関わらず、購入に当たっては、数千万円請求されました。そんな金額を両親だけでは工面できず、祖父や兄のお金をかき集め、一家でヒーヒー言いながら購入しました。


両親から「土地を購入した。」という連絡を受け、しばらくして実家を訪れる機会がありました。そこにあったのは、僕が約20年過ごした実家と何も変わらない姿でした。唯一変わったのが、役所などが発行する公的な書類だけ。テンションの上がった両親が見せてきましたが、たしかに、書類上は我が家の土地になったようです。しかし、上機嫌な両親を横目に冷静に考えると、「役所の書類の所有者を書き換えてもらうだけ」で数千万円も掛かったということです。そのときに、「土地を買うってなんなんだろう?」と強く感じました。


そして、前回「オーナーさんは良い人?」の中で書きましたが、僕が現在居住しているアパートでは、同じ敷地内にオーナー(地主)さんの家の他、アパート等が複数棟あります。それら全てがオーナーさんの所有物件です。賃貸物件だけで、計30世帯くらい住んでいます。我が家の家賃+駐車場代が10万円なので、オーナーさんには単純計算で300万円前後の「不労所得」があると思われます。一方、僕の仕事は、通勤時間も考慮すると、1日当たり約12時間、月~金まで拘束されています。合計、一週間のうち60時間を仕事に費やしています。ここで、オーナーさんの不労、つまり働かずに得られる所得と、僕の勤労所得を比べてみました。

僕の勤労所得の「一年分」<オーナーさんの不労所得の「2ヶ月分」(※税金などの諸々の費用は無視しています。)


これに気づいたときにはやるせない気持ちになりました。僕は現在の仕事内容にあまり不満を抱いていませんが、こんなに頑張って働いても、オーナーさんの不労所得の足元にも及ばないなんて。「土地の所有」の有無で、これほどまでに理不尽な格差が生まれる仕組みってどうなんだろう?


オーナーさんは、周辺環境から想像すると、元々農家で、畑だったところに賃貸住宅を建てたんだろうなと思います。近年天候不順ですし、炎天下や真冬の屋外作業は過酷だと思います。なので、頑張って不安定な農業を営んでいくよりも、アパートを建てて、不労で月数百万稼げるのであれば、そっちの方が良いとなるのはある意味当然だとも思います。ただ、「そっちの方が楽に稼げるから」とか「管理が大変だから」という理由で、畑が安易に住宅になっていくことは、日本全体で考えたときに果たして良いのでしょうか?昨今コロナやウクライナの問題があったように、食料を輸入に頼りっぱなしでは、国の未来は危うい気がします。農家はずっと農家をやるべきということではなく、この山だらけの日本で、僕らの祖先たちが開墾した畑を安易に潰さないよう、「土地の所有」なんて概念に縛られず、農作業をしたい人たちが畑を守っていった方が自分たちのためになると思います・・・。(住宅の話からだいぶ逸れてしまいました・・・。)


ぼんやりと、土地は全て管轄する市町村が管理・所有すべきだと個人的には思っていて、「市町村から土地を借り」、その上で家を建てたり、農業をすればいいのでは?と思っています。そして、固定資産税の代わりとして「土地の使用料」を自治体へ支払う。そうして、個人、法人が土地を所有するという概念をなくす。土地の管理を自治体が一括で行うことができれば、街づくりの観点からもメリットが大きいと思います。
素人の僕がぼんやり考えた程度のものなので、絶対こうすべきと思っている訳では全然なく、どんな形でもいいので、格差が生まれず、誰もが生きやすくなるような仕組みや世の中に変わってほしいと願っているという話です。(近年、中国の資産家が日本の不動産を買い漁っているというニュースも見ますし、それも怖いですよね・・・。)両親が土地を購入して大喜びしているのに、「土地は個人や法人が所有すべきでない」とその息子が考えているなんて、なんとも親不孝な話です(笑)。

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