生活のゆとりについて考える

僕はこのノートで何度か「移住したい」旨を書いています。その理由は様々あり、数年前から願望はありましたが、願望の域を出ず、ただ漠然と「したいなぁ。」と考えていただけでした。しかし、昨年、「本気で移住しようかな」と意識した出来事がありました。

僕と妻は旅行が好きで、よくどこかへ出かけています。ガイドマップを握りしめてメジャーな観光地を巡るというよりは、穴場的な場所を含め、居心地の良い場所や美しい風景を求めて出かける感じです。そしてその視点は、移住先探しという側面もあります。

そんな旅行の中で、昨年高知県を訪れました。高知の中で人気のあるスポットというわけではないですが、夫婦共に気に入った町があり、そこで滞在し、その町の飲食店のマスターと何気ない会話をしていたときでした。そのマスターは「去年、九州から移住してきた。」と言っていたので、移住に興味津々の僕たちは思わず食いついてしまいました。移住した理由を尋ねると、「この町は生活費がとにかく安かったから。」と言っていました。高知にもその町にもお縁もゆかりもないそうです。現在、町営住宅に住んでいるそうですが、家賃がなんと1万5千円!しかも、ぼろいとか狭い家ではなく、空き家を町が買い取り、リフォームした上で貸し出しているそうで、「一軒家だし、水回りは新品だったよ。」と言っていました。子育て支援も手厚いようで、小学生の子どもがいるマスターとしては、それも大きいと言っていました。これまで全国をふらふらする中で、趣味、子育て、夢、家族のためなどの理由で移住した人とはたくさん出会いましたが、「生活費のため」は珍しく、新鮮でした。色々聞いた後、最後に、「移住してどうですか?」とマスターに尋ねると、「生活にゆとりができた。移住して良かった。」と言っていました。(その後、思わず役場の移住支援をしている部署に行ってしまいました(笑)。)

僕は独身時代、仕事の関係で、東北で一人暮らししていたことがあります。車必須の割にガソリンは高めだし、暖房費やガス代も高く、スーパーなどに行っても、生鮮食品以外は都会の方が安いと感じていました。しかし、当時会社の社宅に住んでいて、家賃は月7千円でした。前述のとおり色々お金は掛かっていたものの、今思い返してみると、金銭的にかなりゆとりがありました。(独身で若かったこともあり、浮いたお金は飲み代などに散在してしまいましたが(苦笑)。)マスターが移住理由として、開口一番「生活費が安い。」と言っていたように、生活費のうち、住宅費はものすごく大きいです。それが格安で済めば、生活にゆとりが生まれるというのは納得です。

給料の水準は、全国の最低賃金を見ても、地方より都会の方が高いと思います。一時期、お金に関する図書やYouTubeを良く見ていましたが、「地方ではお金持ちになれない」と言う意見もあります。しかし、例えば、都会で年収500万円で家賃が月10万円の暮らしと、地方で年収400万円で家賃が月1万5千円の暮らしだと、どちらがゆとりある生活でしょう?
・月10万円×12ヶ月=120万円。500万円-120万円=380万円。
・月1万5千円×12ヶ月=18万円。400万円-18万円=382万円
「心の豊かさ」みたいな観点は抜きにして、「自分で自由に使えるお金」という物質的な観点でも、地方の方がゆとりを持って生活できる可能性があります。今まで、「心の豊かさ」を求めて地方移住したかったけれど、お金や仕事の面が引っかかっていました。(決して、お金持ちを目指している訳でないです(笑)。)実際ネットで見ていても、メジャーどころの積水ハウスのシャーメゾンや大和ハウスの賃貸などは、地方と言えど、結構なお値段します。空き家バンクなどもありますが、「ぼろくてまともに住めないんだろうなぁ」という先入観がありました。しかし、こうして格安の公営住宅で快適に生活している人と出会ったことで、様々な選択肢があることを実感し、金銭面での不安を少し取り除くことができたので、地方移住がグッとリアルに感じられました

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