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働くということいわないこと③

ずっと以前に、ある商店街の婦人靴専門店で働いていたことがあります。

実は社会といわれる世界に出るまでは、基本的に区外に出たことがありませんでした。

もともと臆病な面がある上に、地名を覚えるのが本当に苦手で、そうすると公共機関によくある○○方面や○○経由がどうしても覚えられなかったのです。

たまにバスの経由を間違えて、外の景色を見てパニックになって飛び降りては、降りてみたら目的地とは違っていたものの、知っている場所でトボトボと歩いて帰ったりなどということを、大人になってからもやらかしておりました。

ちょっと遠出したために、普段は着ないおしゃれめのワンピース姿で工場地帯に降り立って、釣具屋さんの餌の自動販売機の灯りに集まり座り込んでタバコをふかしているヤンキー達(※決してニューイングランドの住民をさすものではありませんのでご理解ください。)の前を通る瞬間は本当に辛かった。

気のせいかもしれませんが、凄く見られてた。

カフェとかショッピングとか行きそうなワンピース姿で工場地帯を歩く女。
腕にはショッピング行ってきました!とばかりの紙袋を下げて。
絶対に、あの女、ヤバいと思われたに違いない。
違法な闇取引とかしてる人だって思われたに違いない。

まぁ、そんなものは、実際には存在しない現象を見聞きしたり、理由のない感情を持ったりするなど、原因が自分の心の持ち方にあること、つまり、気のせいでしょうけれどもね。

ちなみにそれ以来、公共機関を利用した時は、降りるまで外の景色を油断なく見張っております。
間違いなく乗ったかどうか自分で自分を信用してないわけです。
こと目的地に到達するという件に関しては自分ほど信用できない人物はこの世に存在しないであろうことを、かなり確信を持っている次第でありますので。

私が住んでいたところは半島になっていて、区外に出るには、船に乗るか、車、バスで橋を渡るか、電車、車、バスで遠回りをするしかありませんでした。
子供の頃はこの橋を歩いて渡ることもできたんですが、車線を増やすためにそれもできなくなってしまいました。

ただ子供の頃から本が好きで、友達から区外に出ると色々と楽しい本があることを教えてもらってからはちょこちょこと。
必ず近所に住む友人を誘って。
それだと帰りも安心なので。

あとアニメにも凄くハマった時期があったんですが、地元にはアニメイトなんて洒落たものがなかったので、それも近所の友達に住所を教えて連れて行ってもらっていました。
その友達は片道2時間かけて博多のアニメイトに行ってたみたいですが、私には片道1時間足らずのそこがいっぱいいっぱいでした。
交通費もバカになりませんしね。
ついでに言うとハマってたのは、聖闘士星矢と鎧伝サムライトルーパーです(笑)
世代が知れちゃいますね。

ちなみに区内の電車は単線でした。
目的地に沿っていなかったので、あまり乗ることはありませんでしたけど。
乗り継ぎに使うにも、隣の区にでた方が他の区への繋ぎが早くて多かったんです。

バスはうちの前を通るバスにさえ乗れば、どんなに間違えても最終的には我が家から徒歩15分ほどのところにある営業所に戻ってきてくれるのでなんとかなりました。
区外にさえ出なければ(笑)

そんな私ですが、バイオリズムのせいなのかなんなのか、時々、発作的に、どこか遠くに行ってみたい気持ちがむくむくと湧いてくる時があるんです。

そして突然区外で就職先を探し始めたんですが、勿論、私の能力のなさも原因なんでしょうけれど、どこに行っても、就職されるよりご結婚されては?と言われる始末。

何が原因かは今でも分かりませんが、中身と外見が全く違うとはよく言われますので、外見でそう判断されたのか、外見に中身が透けて見えたのか、判断がつきません。

外見で人様からよくいただく言葉は、優しそう。大人しそう。
中身で人様からよくいただく言葉は、根性で形成されてそう。ロボットみたい。
このあたりのどこかが就職に向かない要素を含んでいるのやもしれませんね。

それを受け入れてくれたのが冒頭の婦人靴専門店でした。

実はこれ面接の日に店長がお休みしていて、社長の娘さんが面接をされての採用だったんです。

というか何故、店長がお休みの日に面接の予定が組まれたのかは不思議なんですが、店長は基本ギャルしか採用しないので、もし店長の面接だった場合、私は面接には落ちていたでしょうね。

ちなむと取り扱い商品はマダム系の靴がほとんどでした。

ということで、マダム系婦人靴専門店で、眠そうな目をした中年男性の店長、普通の主婦っぽい年配女性である社長の娘、4人のギャルと、通信販売をやってそうな若者に見えない若い男性1人達に、大人しそうな?眼鏡の私が加わることになりました。

一応続く予定です。

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