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読書メモ_デンマークの女性が輝いているわけ

”働くことと子育てがフツーに両立できる国がある”


■引用) デンマークの教育や自律に対する考え方


P.18 デンマーク人に資源とは何?と聞くと、大半の人がまず「人」と答えるでしょう。 〜19世紀のできごと---敗けて学んだもの

P.30 デンマークでは、「三人寄れば、任意団体ができる」とよくいわれます。(中略)地域のスポーツ団体、土地所有者組合、集合住宅居住者組合、消費者組合、職業別労働組合、保育園や学校の保護者会、各種ボランティア団体など数限りなくありますが、デンマーク人でこれら団体に全く所属していない人はいないのではないか、と思わされるほどです。

P.42 デンマークの生産年齢(15歳以上65歳未満)にある女性たちの最新就労率は、76.6%(2018年)
P.57 国の公共サービスに占める教育費の割合は、およそ13%です。(中略)「むかし私の息子が大学生だった頃、大学にいくことをよく『仕事に行く』といっていました。それは、大学で勉強することが当時の彼には仕事で、国から支給される奨学金は給与のようなものだと考えていたからのようです

P.151 デンマークの出生数に占める婚外子の割合は、2017年のデンマーク統計局のデータによると出産した女性の67%で、33%が婚内出産だそうです。

P.57 デンマーク社会に長年暮らしていてつくづく思うことは、この社会で生きていくためには、資格を持つことが重要だということです。若者を対象とする教育の最終目的は、若者が社会が必要としているさまざまな職業に就いて自分を活かせるように、それぞれの職業に必要な知識や技術を身につけるための資格教育にあります。

P.194  近年の傾向としては、高校進学を選ぶ比率が増え、2018年には高校進学率が73.1%になり、職業専門学校は19.4%でした。(中略)この結果に対して、当時の文部大臣は「非常に問題だ!」と語ったのですが、何が問題だったのでしょう。(中略)「進学率がまだ低いことが問題なのでは?」と考えるかもしれませんが、大臣が問題視したのはその反対で、高校への進学率がここまで高くなることを問題視したのです。それはなぜかというと、「サラリーマンばかり育ってしまえば社会が回らなくなるので、若者には多岐にわたる資格教育を受けてもらいたい」また「若者が、将来のことをあまり真剣に考えずになんとなく高校へ進学するようでは困る」と考えたからです。これは大臣個人の意見ではなく、労働組合も、また多くのデンマーク人もそう思っています。そしてデンマークの伝統であるクラフトマンシップを守るためにも、職業専門教育をより魅力的なものにして、2025年までに義務教育を終えた若者の30%が職業教育に進むことを目指しているのです。

参考)
https://chikirin.hatenablog.com/entry/2020/06/21/無理して大学進学しても報われないわけ

P.182 「日本では、一人ひとりの成長や状態が違っていても同じことをするのが「平等」ですが、デンマークでは、それぞれのちがいを認めて個々に合ったものを提供するのが『平等』なのだと知らされました」


■考察) デンマークのいまを作ってきた要素はなんだろうか?

(※個人的な所感であり、evidence-basedではない)
・①19世紀以降の戦争による亡国の危機感 → 人が資源であるという覚悟
・②ジャンテ・ロウ等の共通認識 → vision,value基盤が明確ならhowは柔軟でOK
・③フラットな組織と対話 → 意思決定プロトコルに合意がある
であろうと思う。(あえて日本と比較すると「①まだGDP3位」「②言語化しにくい日本らしさ」「③儒教的上意下達・低迷する投票率」であろうか?)

外から見ていて、いまのデンマークに感じることは、”両利きの経営(Ambidexterity)”でいうところの、「深化(既存価値の磨き込み)」と「探索(未来探し)」双方が国としてうまく回っている印象を持つ。
それには本質的に”遊び(余白)”が必要だということが、彼彼女らにはわかっているのではないか。
Hyggeもそうだが、その余白を生み出すための、「flexicurity」「複線化した人生」(帰属、時間軸が多様であること)が象徴的な施策であるように感じられる。教育は社会とつながっているので、これらの社会の仕組みを、教育が反映しており、したがって意思決定プロトコルが共通認識として醸成されていく、という流れは自然なことだろう。また、どのインタビューにも顕著であるが、「教育のゴールは納税できる労働者を育てること」という設定があることが潔い。(ただし、ここまで150年かかっている)

■では日本にどう活かしていくのがよいだろうか?
フォローがうまい日本は、セカンドペンギンとして優れているはず。空気をつくるために、まず共通認識を持つ、経験する。同じ釜の飯を食うことで「やっていいんだ」というMindsetを獲得できるはず。

未来を見たときに、いま、どの単位で何をやればよいのか?
・2040年の予測、のシビアさを片目で見ながら、
・「実はクリエイティブなんだ、私たち!」というアプローチが面白そう。

#モリゼミ

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