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企業風土、組織カルチャー的なもの


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コロナへの対応に、各国や日本国内各県で違いが出ているという報道を見て、何がその理由なのか考えていた。政治制度設計やリーダーの資質ということもあろうが、文化の違い、ということも大きいように思う。


文化とは何か。
結論、暗黙の行動規範が”文化”なのだろうと考えている。

では、文化とはどう生まれ、育まれていくものかということに興味がある。
企業人事として大きな持ち場でもある。

M&Aや組織統合、分割などに関わった経験から、
ハード面での事前DD〜統合PMI(資産評価や各種ガバナンス規定や業務プロセス統合など)についての知見はある程度確立されているものの、
ソフト面(統合後の社風統合、働く人のモチベーション確立、異分子の包摂、イノベーション誘発など)については、統合された理論や知見がないと感じる。

正確に言えば、ソフト面のPMIについては理論があっても原論・定石なので、現実で出てくる問題は全て「応用問題」なのだ。
定石に照らして考え抜くが、情と理の間で、もしくは計画と実行の間で矛盾や乖離が常に生じてしまうところを、なんとか必死に納得解を導き出して前進していくしかない。絶対的な解などそもそもない。

そこで大きな鍵となるのが企業文化である。言語化された制度統合ができたとしても、「音楽性の違い」「生活習慣の不一致」とかで、簡単に離縁してしまう事例は世に余りある。

新しい文化は意図して創れるのか?
2つの企業体を統合して、「いいとこ取り」なんて、本当にできるのだろうか?

自分の経験からは「変えてはいけないことを定めて、それ以外は全部変える(変わってもよいと決める)」ことが最適解であった。
少なくとも、変えてはいけないこと=新企業体の強みである。ここに立脚して全てを作っていくことが戦略の根本である。

どんなフレームワークでもいいが、例えば、
・Customer intimacy(顧客粘着性)
・Price leadership(価格競争力)
・Product Innovation(製品イノベーション)
のうち2つを兼ね備える企業は強いと言われるが、
では自社はどうなのか。
その強みを象徴するような行動規範はあるか。

それが人事制度でもいいし、管理職がよく言う口癖でもいいし、従業員の入社動機でもいい。思想に基づいて設計され、口癖などの行動に現れ、制度で拡大再生産するという構造、これを理解し、意図して仕掛けることが重要である。

よくあるのが時間感覚の差異に気づかないこと:
「なるはやでやっておいて」(なるべく早く仕上げて成果物を見せて)
に対する期待締め切りの違いである。

A)遅巧よりも拙速を尊ぶIT企業などの場合は
「その日中に進捗を教えて」だろうし、
B)間違いが許されない食品衛生や銀行などの場合は
「1週間後にどう進めるかの計画表を見せて」
かもしれない。常識は異なるし、合理的ならABどちらでもいい。ただし、その常識は差異が見えるまでは暗黙知なのだ。

これがすなわち暗黙の行動規範=文化であり、
これは意図して創れるものなのか?
例えば「学年ごとの学級でみんな同じ向きに座って、一通り先生が教科書を講義することで終わらせる」常識を、どう違う文化にリデザインすべきか?

”カルチャーは創れないがスタイルは創れる”と言ったサーファーがいた。
”Do's(やること)とDont's(やらないこと)を言語化・シーン化してカルチャーブックを作る”と言ったコンサルタントがいた。

どちらも、暗黙の行動規範を、明示化言語化する取り組みだと感じる。

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つまりこんな構図になるのかもしれない。
大事なことは一貫していること。見える化、意図すること。新たな言語化された思想・文化に沿って、上司の口癖も、褒められる行動様式も、それをサポートする制度もアラインメント(均整)がとれていなくてはならない。

カルチャーデザイン、面白くて難しくてやりがいのある分野である。

そして、いまだにこの本がバイブル。




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