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実践して効果のあった「ビジョン54」のゴルフ練習法を厳選紹介【メンタルトレーニング】

普通のゴルフ練習とは一味違う、メンタルやマインド、セルフコントロールに焦点を当てた練習法を提唱しているビジョン54(Vision54)。世界中のあらゆるレベルのゴルファーから注目されていますが、日本では宮里藍さんの紹介で一躍有名になりました。

この記事では、そんな世界的に注目されているビジョン54の練習法のなかから、特にわたしが実践してみて効果を感じた練習法を厳選してご紹介します。

ビジョン54ってなに?

ビジョン54(Vision54)は、スウェーデン出身のゴルフコーチ、リナ・ニールソン(Lina Nielson)とピーア・ニールソン(Pia Nilsson)が共同で開発したゴルフのメンタルおよびパフォーマンス向上に特化したトレーニングプログラムです。アメリカ、アリゾナ州スコッツデールにあるトーキングスティックゴルフクラブ(Talking Stick Golf Club)を拠点としています。心身のバランスを保ちながら最高のパフォーマンスを発揮することを目指し、ゴルファーにとっての「54」という理想的なスコア(各ホールでバーディをとることで達成可能な最小スコア)を目標にしています。(Vision54 Websiteより)

また、ビジョン54は、技術的な側面だけでなく、ゴルファーそのものの「ヒューマンスキル」に焦点を当てることで、重要な場面でよりよいパフォーマンスを発揮できることを目指しているそうです。定期的に開催されるメンタルトレーニングやコースマネジメントに特化したワークショップには、世界中から多くのプロやコーチが参加しています。

主なコンセプト

①包括的なアプローチ
ビジョン54は、ゴルフの技術的な側面だけでなく、メンタル、感情、フィジカルの要素を統合してプレーヤーのパフォーマンスを最大化することを重視しています。

②プロセス主義
また、その瞬間に最善を尽くすから結果としてスコアが向上するとして、プレーに対するプロセスを重視することを推奨しています。

③ヒューマンスキルの強化
ゴルフに必要な技術を補完するのがヒューマンスキルだとし、集中力の強化、ポジティブな自己対話(セルフトーク)、プレッシャーへの対応をおこなうことで、メンタルや感情を含むヒューマンスキルを強化することを目指しています。

④自己成長とゴルフを楽しむ
ゴルフの技術向上だけでなく、メンタルの成長やゴルフそのものを楽しむことを重視することで、ゴルフの長期的な継続を促しています。


実際にやってみて効果の高かった練習法5選

①五感に注意を向けるマインドフルネス練習

意識的に自分自身や周りの状況に注意を向け、現在の瞬間を意識的に体験することに焦点を当てた瞑想的な練習。

現在の状況に注意を向けるために、目、耳、鼻、触覚、味覚など、五感に意識を向けます。周りの景色や音、風の感触、空気の匂い、クラブの感触などに意識を向けることで、現在の瞬間をより意識的に体験することができるはずです。まずはじっくりと時間をかけて自分を観察することから始め、徐々に自分の感覚に対して敏感になっていくことが大切です。

わたしが実践していたのは、(1)ノートに書き出す、(2)コースで注意を払い観察、(3)リラックスした環境で瞑想、という手順でおこなうマインドフルネスです。

(1)ノートに書き出す
具体的には、まずコースや練習場での五感に関連することをノートに書き出します。ティーグラウンドで見えるコースの風景、色や形、距離、風の音や芝のにおい、ショットの感覚や打音、グリップの重さ、指先の感覚など。


(2)コースで注意を払い観察
そして、コースや練習場でも意識的にノートに書き出したことを感じ取れるよう意識的に注意を払い実践します。

(3)リラックスした環境で瞑想
帰宅後、自宅でのリラックスした環境で、コースをイメージしながら瞑想をおこないます。好きなホールや練習場を思い浮かべて、五感に集中しましょう。このとき、五巻と成功しているイメージを結びつけるとより効果的です。これは「ビジュアライゼーション」と言われる瞑想のテクニックの一つですが、さまざまなスポーツのトレーニングで用いられており、成功体験と五感を結びつけることで自信を向上できるとされています。


②集中力を高めるカウンティング呼吸法

ショット前など緊張感が高まっている場面でゆっくりと深い呼吸をしてみましょう。吸う時・吐く時に数を数え、4秒間かけて息を吸い、2秒間止め、6秒かけてゆっくりと息を吐く「4-2-6呼吸法」は、心拍数を下げることで、緊張を和らげ集中力を高める効果があります。また、呼吸をするとき「吸っている」「吐いている」と感じながら呼吸に集中することで、不必要な思考を排除し、ショットに対し集中力を高めることができるんだとか。

重要なショットやプレッシャーのかかるパッとを打つ前には、過剰な緊張を防ぎ、冷静な判断をくだすことができますし、ミスショットの後なら感情の乱れを最小限に抑え気持ちを切り替えることに役立つので非常におすすめです。

普段の練習から取り入れ習慣化すると、コース上でこの呼吸法が必要な場面でスムーズに実行できるでしょう。


③体のパーツに意識を向けるボディースキャン

ボーディースキャンでは、スキャンするように頭から足先まで、身体の部位一つひとつに意識を向け、緊張している箇所をリラックスさせていきます。現在の身体の状態に気付きを持つことで、リラックスを図ると同時に、自己意識を高めることを目的としています。

具体的には、プレー中に緊張感やストレスを感じたとき、呼吸を整える目的で自分の体へスキャンするように意識を向け、緊張している箇所を見つけたら、そこを意識的にリラックスさせます。これだけで自分の状態を客観的に見ることができ、自己意識を高めることができます。

ボディースキャンも、プレー中に速やかにおこなえるよう日頃から習慣化することが大事です。座わったり、横たわった状態で、自分の身体の感覚に注意を向け、足先から頭まで順番に体の部位に意識を向けていくプロセスを日頃から繰り返してみましょう。ストレスや疲労の軽減、リラックス効果もあるので、寝る前の練習がおすすめです。


④目を閉じてスイングし感覚に全集中する練習

ビジョン54が推奨する代表的な練習法の一つに、「目を閉じてボールを打つ練習」があります。

目を閉じることで視覚情報に頼らずにスイングすることを目的としています。スイングのタイミングやフィーリングをより感覚的に捉えることができるため、身体の感覚をより鋭く研ぎ澄ますことができると考えられています。

おすすめの練習方法は、課題を意識し目を閉じてスイングする練習です。スイングを撮影し、視覚情報がないときのスイングフォームの癖を確認してみましょう。目を閉じ、自分だけに意識を向けたとき、自分へのどんな命令が課題を解消できるのか探っていきます。自分が感じている動作と、実際の動作の差を認知し改善できるとても効果の高い練習法だと感じました。


⑤打った手応えで距離を推測する練習

練習場でボールを打った直後、飛距離を推測し声に出す練習方法です。ショットの手応えと実際の飛距離の差を認識することで、より繊細な縦距離のコントロールができるようになります。

特におすすめなのが、先ほどと同様に目を閉じておこなう練習です。目標距離を決めたら目を閉じてボールを打ちます。そして打った瞬間に、手応えから飛距離を推測します。「70ヤードだ」など。すぐ目を開けて推測と実際の飛距離がどれくらい近いか確認します。目を閉じ、視覚情報を遮断するだけで、クラブフェースの向きやスイングに対する感度を高めることができるため、スイングのタイミングやフィーリングを向上させることができます

ただし、この練習は安全面に注意が必要なので、周りに他のプレイヤーがいる場合や、危険な場所での練習は避けるようにしましょう。


普段から練習場や自宅で意識的に瞑想的な練習をすることで、実際のラウンドではスイングに集中し、ストレスマネジメントを向上できるため、本来の自分の力を存分に発揮することができるようになります。


ビジョン54について学べるおすすめの書籍

ビジョン54の考え方やメンタルトレーニングについて、詳しく知りたい方には以下の書籍がおすすめです。

ドローが打てる、飛距離がアップするなどのテクニックの話ではなく、あなたが持つ潜在能力を最大限に引き出すコツを学べるはずです。

1番のおすすめは、ビジョン54の創設者であるPia NilssonとLynn Marriottが共著で執筆した「Every Shot Must Have a Purpose: How GOLF54 Can Make You a Better Player」です。

この本では、ゴルフのスコアアップにつながるプレーの考え方や、メンタル面の強化方法、具体的な練習方法などが紹介されています。また、PGAツアーで活躍するトッププロたちの成功の秘訣についても取り上げられています。

過去にこのブログで何回も紹介していますが、個人的に英語のオリジナル版がダイレクトに理解できるのでベストですが、日本語でも関係書籍が出版されているので、英語が苦手な人でも手軽にビジョン54の哲学について学ぶことができます。


おわりに

ビジョン54の練習法は、従来のゴルフ練習法とは異なるものが多いですが、非常に効果が高いことから多くのプロゴルファーやメンタルゲームコーチに採用されています。

メンタルトレーニングに出会う前のわたしは、テクニカルスキルに90%くらいの比重を置いていたため、安定して競技で70台を出すことができず伸び悩んでいました。メンタルトレーニングやマインドフルネスを取り入れてからは、自分のメンタルやフィジカル、技術力への理解が深まったため、プレー中に「なぜこうなったのか?」と結果に対しストレスを感じることが格段に減り、結果として感情の波が安定したことでパフォーマンスが上がりました。

スコアに伸び悩んでいる人や平常心を保ってゴルフすることに難しさを感じている人、ゴルフをネクストレベルで楽しみたい人には、今回紹介した練習方法がとてもおすすめです。ぜひお試しください。



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