【完全解説】パフォーマンスが上がるプロのプリショットルーティン!
皆さんこんにちは!
いきなりですが、今回は有料級のお話をします。
「練習場ではいい球が打てるのに、コースだといまいち実力を発揮できない」と安定したパフォーマンスに悩んでいるゴルファーは多いのではないでしょうか?
社会人ゴルファー、家庭を持つゴルファーなど、皆さん忙しい日常を送っているため、なかなか練習に時間を費やせないのが現状だと思います。
今回は、プロゴルファーや中・上級者を対象に「プリショットルーティンの重要性と手順」について解説します。
※プリショットルーティンは、筆者がアメリカのゴルフ留学で最も衝撃を受けたことですが、個人の経験談をもとに解説しています。さらに詳しく学びたい方は専門家に相談してみましょう。
■プリショットルーティンとは?
プリショットルーティンは、ショットの前におこなう「決まった一連の行動や思考の流れ」のことを指します。
イチローや五郎丸さんのアレが有名ですよね。
ゴルフにおいてプリショットルーティンは非常に重要な要素の一つです。この行動と思考の流れを手順を守り実践することで、プレイヤーは自分自身をコントロールすることができるため、より正確なショットを打つことができます。
そして、このプリショットルーティンを「どれだけ毎回正確におこなえるか」がパフォーマンスに大きく影響するとわたしは考えています。
■プリショットルーティンの役割
プリショットルーティンの最大の役割は、ショットの遂行に向け、プレイヤーの体と心をプレイモードへ切り替え準備することにあります。これを専門用語では【キュー・合図・スイッチトリガー】と呼びます。
スポーツ心理学で、このルーティンは「Focal Cues」と呼ばれ、自動的想起の役割を果たすと言われています。
・フォーカルキュー(Focal Cues)
フォーカルキューは、スポーツにおいて、アスリートがパフォーマンスを向上させるために意識的に利用する視覚刺激のことを指します。主に、注意を引き集中を促し、パフォーマンスの質を向上させるために用いられます。
例えば、ゴルフのパッティングでは、カップをフォーカルキューとして利用することができ、パターをストロークする前に目を向け、目標とするカップを意識することで、正確なストロークをおこなうためのフォーカルキューとなります。
・自動的想起とは
自動的想起は、過去に繰り返し経験したことや、日常生活でよく目にする情報などが、自動的に想起される現象です。例えば、自転車の乗り方は自動的想起が働くことによって、簡単に思い出すことができます。
自動的想起は、長期記憶の一種であり、情報や動作が何度も繰り返し強化されたとき自動的想起されるため、その内容は自動的に動作へと変換されます。
このため、ショット前にプリショットルーティンを繰り返し行うことで、プレイヤーは自身の体と心を自動的にプレーモードへ切り替えることができるようになります。
■プリショットルーティンの構成
プリショットルーティンは以下の3つの段階から構成されています。
シンキングフェーズ
リハーサルフェーズ
エンゲージメントフェーズ
・第一段階:シンキングフェーズ
置かれた状況でのベストショットを選択するために情報収集をする段階です。
ボールのとこに到着してから、またはボールの近くへ歩いていくときにこのフェーズがスタートします。
・ピンポジ
・ハザード
・風
・ライなど
ショット選択に必要なあらゆる要素をチェックします。
ここで、①ショットの成功率②ショットが失敗したときに負うリスク③ショットが成功したときの恩恵を考慮し、自分の確信度が1番高いショットを選択します。
・打ってOKなエリアはどこか?
・成功率が高く自信があるショットはどれか?
その日のコンディション、ショットの調子、天候、コースレイアウトによって選択肢は大きく異なるので、ケースバイケースです。ショット選択は数十秒で終えることができます。
・第二段階:リハーサルフェーズ
ショットへ向け準備を整えます。
シンキングフェーズで選択したショットを遂行するために、どんな動作感覚が必要で、何に意識をむければいいのか?どんなテクニックが必要なのか?これらを整理し素振りを行います。(※素振りについては「実践するときのポイントの項をお読みください」)
このとき、あれこれ多くのことを意識しないことが大切です。ショットの前に意識を向ける課題は多くて2つまでにしましょう。たくさんの問題に意識を向けるのは練習場で、コースではシンプルにが鉄則です。
本番のショットでは何も考えなくていいように、ここでしっかり意思を固めます。ここでは自分の選択したショットに100%の自信と確信があること、そして明確なイメージができていることがポイントです。
このフェーズで積み上げた感覚と集中力を、そのまま本スイングまで持っていきます。
・第三段階:エンゲージメントフェーズ
ボールへ向かって歩き始めたら、もうすでにこのフェーズに入っています。
ここでは思考を静め、さきほど素振りで作り上げた感覚やイメージを再現することだけに集中しましょう。
もし、ここで急に何かが頭をチラついたり、先ほどの素振りで意識していなかったことを急にやろうとするのは、本スイングの障害にしかなりません。迷いが出たらもう一度、第二段階からやり直すことをお勧めします。
考え方
ビジョン54が、これを「シンキングボックス・プレイングボックス」とボール周りの空間を2つの箱に分けて考えているのは有名な話ですよね。
今回解説しているプリショットルーティンは、ボールの近くに到着してからショット遂行までを「タイムラインで考え」時間を3つに区切り、段階を踏みながら移行していく考え方です。
プリショットルーティンの考え方は一通りじゃないってこと!
皆さんも自分好みにアップグレードしてください。
■実践するときのポイント
・アマチュアのポイント
素振り:ショット前の最後の素振りは本スイングと同じスイングをします。これにより、素振りの感覚をそのままショットで再現すればいいだけなので、余計な調整をする必要がありません。
動作・テクニックへの意識の向け方:そのとき取り組んでいる課題の中で、一番ショットの成功率が高くなる課題を1〜2個ピックアップし第二段階の素振りに取ります。
ローポイントのコントロール:ローポイントはアマチュアのショットの成功率を大きく左右します。素振りではローポイントを明確にイメージし、そのイメージに一致する素振りを行うのが望ましいです。
(ケーススタディ)
ピンまで165ヤード、右奥のピン、150ヤードを7番アイアンで、軽く左からフェードのイメージでランで寄せたい…というシナリオ。
このときゴルファーAは、薄くターフを取りたいから…と明確なローポイントの深さと位置をイメージします。ボールの真下からボールの先5cmくらいまでの間で、深さは1cmくらいがいいな〜とローポイントの許容ゾーンを考えます。
色の違う芝や枯れ葉などをボールに見立てたスパットととし、素振りをおこないます。クラブヘッドと芝の摩擦で、今おこなった素振りのターフの深さや位置を確認します。
深く入ると穴が掘れますし、薄すぎると芝の葉先しか擦れないので、簡単に正確なフィードバックを得られます。
納得のできる素振りができたら、そのまま第三フェーズに移行してボールを打ちます。
・プロとアマチュアの違い
テレビ中継などで目にする、ショット前にプロが行うゆっったりとした素振りは、リラックスすることや動作感覚を刺激することが目的でおこなわれます。
アマチュアの素振りの目的は、本スイングの再現性を高め、やること・考えることを極力少なくし、集中力を高めることにあります。
プロゴルファーの場合、これまでに何万回と同じスイングをしてきているため、アマチュアと比べると練習量やスイングの再現性に雲泥の差があります。
「ショットの成功率を高める」という目的から見たとき、意味のない行動を無意識に行うことは控えることが賢明ではないでしょうか。
■プリショットルーティンは超基本であり超重要
「練習場で積み上げるのはテクニカルスキル、コースでそのテクニカルスキルを発揮できるかはメンタルゲームにかかっている」
・確実性と不確実性
余談ですが、皆さんは物事の「確実性」と「不確実性」について考えたことがありますか?
物事には自分で「コントロールできること」と「コントロールできないこと」があります。つまり「確実性」と「不確実性」があります。
そして人間は確かでない不確定要素を恐怖と捉える性質を持っています。ゴルファーがスコアやショットの結果といった不確実性に執着し、それを基軸に自己評価を続けるとパフォーマンスが上がらないばかりか、ゴルファーとしての成長は簡単に打ち止めになってしまいます。
ショットルーティンは、自分で確実におこなえる=コントロールできることなので、ショットルーティンという行動に明確な目標があると、苛立ちやストレスをコントロールでき、最高の集中力でショットに臨むことができます。
ショットルーティンを達成・成功したその先にいいショットや望んだスコアがあると考えられれば、確実性を積み重ねることで、不確実性を払拭できると気づくはずです。
ショットルーティンには、おそらく皆さんが想像するより遥かに多くのことが盛り込まれています。脳の認知処理・注意の配分・感情反応・モチベーションや集中力・パフォーマンス不安の管理などなど、ゴルファーが最高のパフォーマンスを引き出すために欠かすことのできない要素をポジティブに働かせる力がショットルーティンにはあるんです。侮れませんね。
おわりに
以上が、プリショットルーティンの効果的な手順です。
プレイヤーは、この手順を実践することで、自分自身をよりコントロールし、より正確な動作を打つことができるため、安定して質の高いショットを打つことができます。また、自分のプレイに影響を与える要素と戦略を毎回確認することで、より効果的なプレイができるようになります。
自分に最適なプリショットルーティを作りたい、または、プリショットルーティンを見直したいという方は、上の画像のようなチェックシートを活用してみてください。
自分に必要な「行動・思考・目標」の関連性や流れを、もう一度しっかり整理してみるといいかもしれません。(ここからダウンロードできるよ)
慌ててボールの前に行って、いろいろ考えながらショットを打つのではなく、理にかなったプリショットルーティンを確立し、ショット前の行動・感情・思考をコントロールできると、練習の成果をコースでもしっかり発揮できるはずです。
ということで、今回はプリショットルーティンの解説でした。
メンタルゲームを勉強できるおすすめの書籍
オススメのメンタルゲームに関する書籍は以下の4冊です。
Pia Nilsson『Every Shot Must Have a Purpose』
Pia Nilsson『Play Your Best Golf Now』
Dr. Michael Lardon『Mastering Golf's Mental Game』
Dr. Glen Albaugh『Winning the battle within』
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?