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読書感想文:中野京子『「怖い絵」で人間を読む」NHK出版

 『怖い絵』の「怖い」を怖がって、手にとってこなかった『怖い絵』シリーズでした。久し振りに再開した高校時代の友人との会食で、ヨーロッパに行っても教会の美術に関しては知識がないからあまり近寄っていない。中世をもう少し学びたい。という話をしたとき、彼女から、
 「中野京子さんって知ってる?」
 「うーーーん?もしかして、あれ?怖い絵シリーズの人?」
 「そうそう!私めっちゃ好きやねん!」
友達が言うには、そこでヨーロッパの王朝についても学べるといいます。「えーーー!そうなん?読んでみるわー!」と答えたのが最後、ついにこの時が来たか。と「怖い」に向き合うと腹を括ったのでした。
 数日後、他の新書を探しに図書館に行った際、目当ての本よりも先に手にとっていたのが今回の本でした。「怖い絵」に焦点が当たっているわけではなく「人間」に焦点が当たっているのかな?と言う、少し「怖くないかも…」の期待と共に(まだ「怖い」が怖かったのです)借りることにしたのでした。そして今の気持ちは「友達、おすすめしてくれてありがとう!、ついに中世を学べる気がする!」でした。
 今回は、エリザベート皇后やマリー・アントワネットに対し、それぞれ30ページほどでまとめられていたので、それぞれの良いイントロダクションをしてもらえたと思います。他の章にはゴヤなどの本当に視覚的に「怖い、、、」と思う絵も出てきますが、読み進めるにつれ、どうしてこんなに怖い絵を描くことになったんだろう。と言う興味が湧き出し、全部の章を読むことができました。また、視覚的に怖い絵、プラド美術館では怖くて目を逸らしたほどの絵も、背景を知ると怖くなかったのかも。と思えました。
 美術館での滞在をより楽しいものにし、またヨーロッパ旅行を考えておられる方にはより現地を楽しめるようになるのではないでしょうか。大変おすすめです。

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