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#日記

同調のバラバラ。

同調のバラバラ。

「何歳なの?」「三十歳」「結婚はしていなる?」

過去数えられぬほど浴びた同じ質問のおかげで、相手の社会常識や普通を壊すことなく曖昧に躱すことは、習性のように染みついている。けれど十四歳の少女が選ぶ慎重な口調は、僕に逃げを恥じらわせた。

「一度も」「恋人は?」「過去には」

尋ねる瞳は、ウガンダの文化、風習に育まれ同情的だ。

「結婚しないと、男になれないよ」

ここに於いてそれは合理で、当然の

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波間の狐。

波間の狐。

崩壊したり変容する世界で、静かな日常が説明も少なに過ぎていく閉鎖空間を描いた作品が好きなので、当に今その作品の一部となっている自分がなんだかふわふわと現実感を喪失していくのは仕方のない事に思う。
映画の主人公がゾンビや怪異、異常気象、地球外生命と戦う様に、仕事に出なくてはならないインフラにまつわる人達が日常を維持して、多くの医療従事者が患者に対応し、政治行政の関係者が知恵を絞り、誰かの肉体がウイル

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齟齬のまにまに、

齟齬のまにまに、

かつて僕と定型社会に存在した過干渉は、奇妙なほど静謐に、掴み所がない狂騒として生活の各所に現れている。歩きながらこの文章を書く心中は凪いだ海よりも静かなのに、無意識が、目から飛び込む川の瀬の、洲を侵食する様が光を帯びヌメるその姿を描く言葉を探し出して、戻れなくなってしまう。思考が社会生活と形而概念理解力の揺蕩う均衡を描く図式の、組み立て中に挿し挟まる。

多層で同時並行的に起こる思考や感情はすべて

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