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Yes の『Close to the Edge』を聴いてみた編

こんばんは、内山結愛です。

今回はYes の『Close to the Edge』を聴いてみた編をお届けします。

苛烈で緻密な演奏、独創的で美しいメロディ、目まぐるしく移り変わる展開、踊る変拍子。

プログレッシブロックの一つの到達点とされた一枚。

ぜひ、読んでみて聴いてみてください!

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1.Close To The Edge 「危機」

i) 着実な変革 "The Solid Time Of Change"

小鳥たちのさえずりと水のせせらぎ(屋外で2日間かけて録音されたらしい)。輝かしいエレクトロな自然。0:53〜めっちゃ格好いいギターの音が飛び込んで来てビックリした…ベース太ッ!!1:24〜ギターの後ろでちょこまかと可愛らしい音が転げ回っている。2:02〜突然の神々しい「ア〜〜」。複雑に緻密に色んな音が絡み合っている。3:00〜展開に心と体が着いていかない。ひたすらに美しいメロディが繰り広げられているギター。

ii) 全体保持"Total Mass Retain"

4:15〜リズムが独特。とても難しいことが起きている気がする。5:00〜ベースから重機みたいな音が出ている。変拍子で繰り広げられている演奏の上を、美しい歌声がリズミカルに舞っている。ずっと奇妙でとても美しい。6:29〜リズムヤバすぎる。誰が正しくて誰を信じればいいのかわからなくならないの…?

iii) 盛衰 "I Get Up, I Get Down"

ボーカルが華やかで一際目立っている。8:13〜静けさに包まれ、壮大なパイプオルガンの音が響く。シンセサイザーによる無重力空間が広がる…気持ちいい…ふわふわ…。気づいたら9分も経ってるけど、まだ真ん中なの(この曲は18分超え)!?10:12〜天国からお迎えが来たと錯覚する歌声。囁くような、語りかけるような歌声…神。12:10〜完全に召された。怒涛のパイプオルガンの音に乗って、さようなら…!宇宙。

iv) 人の四季 "Seasons Of Man

急展開。展開が凄すぎる。色んな音で混雑している。テクニカルな変拍子。15:00〜キーボードのソロ、この場を一気に支配していて格好いい。テーマメロディが繰り返し歌われる。第1章に戻ってきた感がある。歌詞は、ある時に見た現世から黄泉へと旅立つ瞬間を元にしていることを知って、色々納得した。色々な伏線回収。16:39〜最後まで容赦のない展開。ダイナミックな歌声。クライマックス。鳥のさえずり、自然に包まれ最後を迎える。

アンダーソンは、ジャン・シベリウス作曲の「交響曲第6番」と「交響曲第7番」を聴きながらJ・R・R・トールキン著の『指輪物語』を読んでいる時に、この曲の着想を得たらしい。


2.And You And I「同士」
i) 人生の絆 "Cord Of Life"

また全然雰囲気が違う。アコースティック。牧歌的だけど、なんか近未来感がある。温かでハスキーな歌声。「人生の絆」という副題に相応しいポジティブなメロディ。3:00〜突然こういう奇妙な、どこかひっかかるような、違和感あるメロディを奏でるから面白い。

ii) 失墜 "Eclipse"

3:51〜一気に見える景色がスローになった。そして拡張していく。スペイシーでリヴァーヴィー。 また浮いちゃう。壮大。

iii) 牧師と教師 "The Preacher The Teacher"

5:51〜牧歌的な雰囲気、アコースティックギターが戻ってきた。エレクトリックなギターにバトンタッチ。ベースが相変わらず低く重く響いている。暴れたら一番ヤバそうなのに、ずっと優し土台を支えている。

iv) 黙示 "The Apocalypse"

終盤の盛り上げ方と終わり方、ダイナミックでクライマックス感が強くて満足感ある。

3. Siberian Khatru

なんだかファンキー!ベースの音がやっぱり素敵…!キーボードの音も楽しい。0:52〜このフレーズ大好き。お茶目で耳に残る。1:31〜ここのギター最高。リズムとか構成が複雑なのに、楽しげにひょいとやってのける演奏能力の高さ。勝手に緊張してしまう。2:52曲調がコロコロ変わって本当に面白い。3:20〜一つの世界観を作るために注がれるこだわりと集中力がエグい。4:00〜ギターが天才。5:25〜さっきまで楽しくやっていたのに、緊張感のある儀式が始まった。歌声も自分の知らない言語に聞こえてくる。展開変更がストイックすぎる。演奏メンバー血反吐吐いちゃわないか…?収録されている全曲。一曲に詰め込んでいい情報量を大幅にオーバーしている。

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特徴的なバンドロゴが初めて使用されたアルバム。

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Yesは、1969年にデビューしたイギリスのロックバンド。 1985年度グラミー賞を受賞、2017年には「ロックの殿堂」入りした。本作は1972年に発表された5作目のアルバム。曲のアレンジが日を追うごとに複雑になっていったことから、翌日全員がそのアレンジを忘れてしまう事件が起きたという。このことから、リハーサルのたびに全て録音しなければならなくなったが、その作業をしたのにも関わらず、一曲も完成した曲が無かったとか。この状況はまさに 「Close to the Edge」だったとドラムのBill Brufordは語っている。



一曲一曲が長くドラマチック。全く退屈しなかったです…!! 一曲目なんて18分もあったのに…

目まぐるしく変わりまくる怒涛の展開、高まりました。

各曲の各パートを通しで録音→その都度メンバー間で議論を繰り返す→全員が納得いく物が出来上がるまで修正を何度も繰り返す

というサイクルでやっていたみたいです。ストイック!そりゃあ、あんなに複雑で緻密な構成・展開が出来上がるわけですね…

これを、ドラムのBill Brufordは重労働と感じ、不満を募らせ、バンドを脱退してKing Crimsonに加入してしまうから凄い。

こっちからしたらどっちもヤバそう。

当時を振り返って、「民主的な選挙をずっとやっているようで、何かあると毎回選挙活動を展開しないといけない。本当に恐ろしく、驚くほど不快で、信じられないくらいの重労働だった。」とコメントしているくらいだから相当なものだったのでしょうね…

壮大で美しい展開、想像力を刺激してくる旋律、演奏しているメンバーの一体感や緊張感…

プログレの世界、とても面白い!渾然一体とした演奏にハマりつつあります。

次回は Genesis の『Lamb Lies Down on Broadway』をお届けする予定です。お楽しみに…!



最後まで読んでくださり、有難うございました。

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