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ディグ・モードvol.19「アシュリン(ASHLYN)」

アシュリン(ASHLYN)は、 2021年にニューヨーク在住の韓国人デザイナー、アシュリン・パーク(Ashlynn Park)が設立したウィメンズウェア ブランド。ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)やアレキサンダー ワン(ALEXANDER WANG)で経験を積んだ彼女は、着る人のことを最優先に考えてデザインし、自信やエレガントさを与える服を作っている。


ヨウジヤマモトはブートキャンプだった

2021年秋冬コレクション(Courtesy of Ashlynn Park)

韓国ソウルで生まれ育ったアシュリンは、もともと建築家になりたいと思っていて、大学の専攻は建築を選択していた。1年目の夏休みにファッション イラストのレッスンを受け、韓国の産業大臣が主催するファッション コンテストにデザインを提出したところ優勝し、彼女は専攻をファッションデザインに変更した。

2006年、奨学金を得たアシュリンは母国を離れ、日本に留学。文化服装学院で修士号を取得した。2008年に装苑賞を受賞した後、ヨウジヤマモトで働く機会を得て、そこで3年間デザインやパターンを学んだ。そこはブートキャンプのようだったと彼女は振り返っている。

アシュリンがヨウジヤマモトで1年目におこなったのは、ひたすら同僚のサンプルを縫うこと。アトリエの配置は軍の連隊のようで、スタッフは気が逸れないように全身黒のユニフォームを着用し、騒音を最小限に抑えるためにフラットシューズを履いた。

誇りと品質へのコミットメントを師匠から学ぶ

2022年秋冬コレクション(Courtesy of Ashlynn Park)

彼女はヨウジヤマモトで、自分がデザインしたものすべてに疑問を抱くことを学び、その姿勢は自身のブランドを立ち上げた今日も変わっていない。「デザインのレビュー中、全員が板のように直立していました。耀司が指一本でも動かしたらすぐに駆け寄り、それが何であれ修正しました。とても良いトレーニングになりました」と『i-D』のインタビューで語っている。

師匠である山本耀司については、「私はいつも、デザインとパターンメイキングの両方を完成させた師匠である山本耀司のようになりたいと思っていました。彼は、ファッションにおける過剰生産と過剰消費が当たり前になっている世界に立ち向かう、誇りと品質へのコミットメントを私に植え付けました」と『Numéro』のインタビューで語っている。

母になったことで地球の未来への責任感が増した

2023年春夏コレクション(Courtesy of Ashlyn)

アシュリンは、2人の子どもを持つ母親だ。ブランドを立ち上げる前は、別のデザイナーの下でフリーランスとして働くことが娘たちにとって最善であると考え、サステナビリティは二の次になっていた。しかし、長女から「ママの夢は何?」と質問されたことをきっかけに、彼女の考え方は変わった。

「娘たちが成長したとき、彼女たちは夢を実現しなければなりません。そのために私はできる限りのことをします。 だから、彼女たちの模範になることが私の使命でした。ファッション業界をより良い方向に変えるために何ができるかを考え始め、この使命を念頭に置いて自分のブランドを立ち上げました」と、アシュリンは香港版『VOGUE』のインタビューで語っている。

そして、2021年秋冬コレクションと並行して、カプセルコレクション『Zero Waste』をローンチ。責任を持って調達されたリネンやオーガニック コットンなど、環境に影響の少ない天然繊維を用いた製作に加えて、オーダーメイドの仕立てを提供している。

ブランドと子育てを両立する夢を決して諦めない

アシュリン・パーク(Courtesy of ASHLYN)

アシュリンは、娘たちに伝えたい教訓のひとつ「決してあきらめない」を自ら実行中だ。「家族を養いながら、自分のブランドを立ち上げるという夢は決して追求できないだろう」と多くの人から言われてきたが、彼女はチームのメンバーと効率的に仕事をおこなうことで、自身だけでなくチーム全員が私生活も楽しむことを可能にしている。

母となったことでより強い使命を持ったアシュリンは、今後も自身に問いかけ続けながら、ファッション業界や地球の未来を変えていくはずだ。

この記事は、フリーランスで翻訳や海外アパレルブランドの日本向けPRをしている𝐡𝐢𝐫𝐨𝐤𝐨が、自身のファッション業界に対する見識を広める目的で書いたものです。

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