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ディグ・モードvol.24「ピーエイチファイブ(PH5)」

ピーエイチファイブ(PH5)は、2014年にニューヨークで設立されたニットウェアのレーベル。クリエイティブ ディレクターのミーヤ・ジャン(Mijia Zhang)がデザインを担当し、創設者のウェイ・リン(Wei Lin)が中国の東莞にある家族が経営する工場で生産を監督している。鮮やかな色彩をはじめ、毛玉や伸びに強く、洗濯や手入れが簡単な機能性が特徴。


友達からビジネスパートナーになりブランド設立

2018年秋冬コレクション(Courtesy of PH5)

ミーヤとウェイは、一緒にブランドを作るつもりで出会ったわけではない。2010年、二人はニューヨーク市マンハッタンにある地区フィナンシャル・ディストリクトで、ルームメイトとして出会った。ミーヤはパーソンズ美術大学でファッション デザインを学び、ウェイはデロイト コンサルティング(Deloitte Consulting)でビジネス コンサルタントとして働いていた。

2年後、ウェイは仕事を辞め、故郷に戻って家業を継ぐことを決意。それは中国の東莞にあるニット工場だ。彼女は工場を活用し、ニットウェアの実験室として機能するブランドの作成を目標に掲げた。

2023年春夏コレクション(Photography by Dan McMahon)

「非常にハイエンドなブランドもありますが、価格帯がはるかに低いブランドもあり、どういうわけか同じ黒、白、ベージュの、チャンキーなケーブル編みのオーバーサイズ ニットだけを扱っています。私は新しさを渇望していました」とウェイは『FASHIONISTA』で語っている。

工場は既にあるが、適切なデザイン チームを必要としていた彼女は、ミーヤとチームを組み、ニューヨークでブランドを設立。2017年春のコレクションでファッション ウィーク デビューを果たした。二人の役割は、ミーヤがクリエイティブなデザインを考え出し、ウェイが工場での生産のディレクションを担当している。

モダンアートがデザインのデータベース

2022年秋冬コレクション(Photography by Hyunwoo-Min)

ピーエイチファイブは、アートの影響を強く受けている点が特徴のひとつだ。ミーヤは、さまざまなアーティストの視点を探求し、コンセプトを自分なりに解釈することを好んでいる。

「多くの場合、アーティストは社会のトレンドを最初に見つけ、自分の見解を敢えて表明しようとするものです。ファッションデザイナーは彼らの作曲や色、素材から多くを学ぶことができます」と彼女はシンガポール版『L'OFFICIEL』で語っている。

2018年プレフォール コレクション(Courtesy of PH5)

一般的にニットウェアは織物よりも複雑であり、各シーズンはミーヤが選んだテーマに関する研究プロジェクトのように機能する。デザイン プロセスは適切な糸を選ぶことからスタート。アイデアを思いついた後、糸のサイズや数、色を吟味して、シーズンのコア糸を選ぶ。その後、工場の開発センターでテストステッチがおこなわれる。

約4~6週間かけてテストした後、シーズンのコア ステッチを決定し、ようやく服のデザインがスタート。デザインしたシルエットのニットパネルをコンピューターでプログラムし、パネルを編んで服に縫い付けたら、思い描いたスタイルに合わせて修正する。こうしてピーエイチファイブのニットウェアは形成されている。

モダンな働く女性のためのニットウェア

中国の工場にてウェイ・リン(左)とミーヤ・ジャン(中央)(Courtesy of PH5)

ピーエイチファイブのターゲットは、モダンな働く女性だ。独立心が強く、よく旅をし、オープンマインド。ファッションと同じくらいディテールや快適さ、機能性に気を配る。賢く、あえて人と違うことをする。自分の感覚でスタイルを楽しみ、常に興味深くスマートなデザインを探している。そういった女性にピッタリなアイテムを提供している。

ピーエイチファイブはニットウェアの従来の捉えられ方に挑戦し、それが冬に着る分厚いセーター以上のものであることを知らせたいと考えている。彼らの手にかかれば、ニットウェアは通気性が高く、軽量で、カラフルで、ファッション性の高いものになり得るのだ。

この記事は、フリーランスで翻訳や海外アパレルブランドの日本向けPRをしている𝐡𝐢𝐫𝐨𝐤𝐨が、自身のファッション業界に対する見識を広める目的で書いたものです。

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