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ディグ・モードvol.36「ディデゥ(DIDU)」

ディデゥ(DIDU)は、2019年に中国人デザイナーのディ・デゥ(Di Du)が設立した、パリと上海を拠点とするウィメンズウェア ブランド。アントワープ王立芸術アカデミーを卒業した彼女は、未来的な視点を持ち、作品を通して政治的権利やジェンダーの自由を発信しながら、女性をエンパワーメントしている。


留学のきっかけはアントワープ・シックス

2020年春夏コレクション(Courtesy of DIDU)

上海の近くで育ったディ・デゥは、北京でファッションの学士号を取得し、中国のデザイナーブランド、サンクアンズ(SANKUANZ)で少し働いた後、アントワープ王立芸術学院に留学した。その背景には、「アントワープ・シックス(Antwerp Six)」の影響が大きく関係している。

アントワープ・シックスとは、アントワープ王立芸術学院出身のファッション デザイナー、アン・ドゥムルメステール、ウォルター・ヴァン・ベイレンドンク、ダーク・ヴァン・セーヌ、ダーク・ビッケンバーグ、ドリス・ヴァン・ノッテン、マリナ・イー6名の総称である。マルタン・マルジェラもこれと並び称されることが多い。

とくにマルタン・マルジェラを尊敬している彼女は、最初アントワープへの留学は手の届かないことのように思われた。学士号を取得するまでは学校に関する情報が少なく、周りに入学方法を知っている人もいなかったからだ。ディ・デゥはアントワープ王立芸術学院のファッション学部に入学し、在学中に修士号を取得しながら自身のレーベルを立ち上げた。

ファッションの勉強はジェットコースター

(Courtesy of DIDU)

彼女にとって、ファッションの勉強は楽しくて、難しくて、とても中毒性があり、まるでジェットコースターに乗っているようなものだった。スムーズに進まないこともあるが、興奮や挑戦に満ちているからだ。

比較的保守的な環境で育ってきたが、アントワープに留学したことでいろいろな物事に心を開くようになった彼女は、常に限界を超えようとしている。過去の自分と現在の自分が互いに戦っている状況だとデザイナーは説明する。

ジェンダーの平等や自由を達成したい

(Courtesy of DIDU)

ディ・デゥのコレクションに影響を与えている価値観には、若い世代、文化的影響力、政治的権利、ジェンダーの自由がある。

1990年代初頭の中国は、現在とは大きく異なり男性優位の社会だった。その影響もあり、彼女はジェンダーの平等や自由を達成しようとしていた。そのバックグラウンドから、デザイナーには女性に力を与えたいというビジョンがあり、これまで発表したコレクションでフェミニンなパワーや政治的メッセージ、平等に関するストーリーを取り入れてきた。

テクノロジーがファッションの可能性を広げる

(Courtesy of DIDU)

今までとは違うものや新しいものを扱うことを好むデザイナーにとって、テクノロジーはファッションの可能性をさらに広げてくれるものだ。たとえば、地球のそばにある別の惑星に旅行できるという考えは、彼女にとって常に魅力的に映る。いつの日か、その機会がより一般の人々も利用できるようになることを彼女は願っている。

「私が興味をそそられるのは、私たちの世界以外のまったく異なる世界を探索するテクノロジーと可能性です」とフランス・オートクチュールおよびファッション連盟(Fédération de la haute couture et de la mode)』のインタビューでディ・ドゥは語っている。

ファッションで重要なのは未来

(Courtesy of DIDU)

彼女にとって新しいデザインやコレクションを思いつくことは、未来を表現するデザインを通じて、アイデアやイノベーションを推進することを意味する。ディ・ドゥはコレクションを作成するとき、将来について考えている。それは現在何が重要であるかを特定し、未来への解釈または解決策を示すことだ。

未来とは変化を意味し、無限の可能性を秘めていると同時に、問題解決や成長のチャンスでもある。ファッション業界は時間の概念と深く関係している業界だ。毎シーズン今後のトレンドを分析し、コレクションをプレビューする。ファッション業界は常に時代を先取りしているため、彼女はファッションでは未来が重要だと考えている。

次のコレクションを見据えて進み続ける

ディ・ドゥ(Courtesy of DIDU)

ディ・ドゥはファッション業界の未来について、世代交代が非常に早く、巨大な流れの中で生き残るのはますます難しくなっていると感じており、「もう少しゆっくりできればいいのですが、そうは思いません」と『HUNGER』で語っている。

自分のブランドを立ち上げた彼女にとって、ブランドの成長と経験から学ぶことは、他のファッションハウスで働くよりも効率的だ。学ぶことや順応することはたくさんあるが、着実に良い道へとつながると彼女は説明し、「最も当面の計画は次のコレクションです」と『METAL Magazine』のインタビューで語っている。

この記事は、フリーランスで翻訳や海外アパレルブランドの日本向けPRをしている𝐡𝐢𝐫𝐨𝐤𝐨が、自身のファッション業界に対する見識を広める目的で書いたものです。

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